JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツ便り

アラカン隊員のバヌアツを行く~笑顔に包まれる毎日 パンゴ村の子どもたち~(#6 野田順子/職種:小学校教育)

私は、南太平洋の島国バヌアツの首都ポートビラの隣にあるパンゴ村の小学校で活動しています。バヌアツに派遣されてから、気がつけば十か月が経ちました。振り返ると、あっという間だったようにも感じますが、一日一日がとても濃く、心に深く残る日々でした。私は四十歳を過ぎてから日本で教員になり、日本の子どもたちと過ごした日々も本当に楽しく、毎日が喜びでした。だからこそ、今こうして再び子どもたちと共に過ごせているこの活動を、心から幸せに感じています。

 バヌアツの子どもたちは、日本の子どもたちとはまた違う、素朴でまっすぐな可愛らしさに溢れています。顔全体で表現するような満面の笑顔を向けられると思わず抱きしめたくなるほど愛おしく、「ああ、幸せだなあ」と思いが湧いてきます。バヌアツでは、前日に時間をかけて授業準備をしていても、急な予定変更で授業ができなくなることが珍しくありません。そんな時ちょっと憤ってしまいますが、子どもたちと一緒にいるとそんな気持ちは吹き飛んでしまいます。休み時間には、遊具のない校庭を思いきり走り回り、棒切れや葉っぱ、壊れた棚板さえも遊び道具にして楽しむ姿があります。物がなくても、子どもたちは想像力で遊びを無限に生み出します。そこには確かな豊かさがあります。

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放課後になると、近くのビーチで泳いだり、サーフィンをしたりする子どもたちもいます。スイミングスクールも水泳の授業もありませんが、誰に教えられなくても自然と泳げるようになっています。パンゴ村の子どもたちは、先生や親、祖父母、近所の親戚など、身近な大人に頼まれたことをきちんとやり、毎日の暮らしの中で当たり前のようにお手伝いをしています。そうした日々の積み重ねの中で、子どもたちは人と関わりながら生きることや、誰かの役に立つ喜びを自然と身につけているように感じます。活動後、村の中を歩いて帰宅する際に、そうした日常の光景を目にするたび、私は深い幸福感に包まれます。イギリスのニューエコノミック財団が発表した幸福度指数でバヌアツが世界一になったことがありますが、この風景こそがそれを物語っているように思えます。

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一方で、バヌアツには昔から続く男性優位の価値観が今も残っています。また、西洋文化の影響も、統治されていた時代から長くこの国に入り込んできました。光と影、その両方を併せ持つ中で生きる子どもたちがこれからも笑顔を失うことなく、自分たちの文化や誇りを大切にしながら成長していけることを、私は心から願っています。

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