JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツ便り

OFCプロリーグについて①(#14 高橋利幸/職種:編集)

前回少し触れたOFC(オセアニアサッカー連盟)プロリーグ について、今回は詳しく書きますね。以下の写真は、20252月にプロリーグの運営責任者(左) がバヌアツを訪れ、説明会を開いたときの様子です。右にいるのは OFC会長。すべてはここから始まりました。

運営責任者は日本でも日本代表選手を含むエージェントとしての経験を持っています。彼からプロリーグの全体像の説明とバヌアツからの参加の勧めがありました。20261月に開幕するこのリーグは、オセアニア各国のクラブチームが参加するもので、イメージとしてはJリーグの国際版といえるかも。

しかし説明会の後、締め切りまでにバヌアツ国内リーグのクラブチームは、いずれも参加を表明しませんでした。理由のひとつは、年間で約1億円もの費用がかかること。さらに、アカデミー(将来のプロ選手を育てるための学校のような組織)の運営が求められる点です。実際、バヌアツのクラブにはアカデミーを持つところがありませんでした。

そこで我が職場、バヌアツフットボール連盟(VFF) はひらめきました。「アカデミーを唯一持つVFFが、新しいクラブチームを作って申請しよう」

動き出すと早かったです。VFFは子会社を設立し、その中にクラブチームを立ち上げました。OFCの参加基準は厳しく、財務面の安定も求められました。当初は国内のインフラ気企業など5社と政府を巻き込んで「総バヌアツカンパニー」とする計画でしたが、最終的に子会社の株式比率は VFF51%、バヌアツ政府49% に落ち着きました。

7.jpg

そして7月、子会社が設立したバヌアツユナイテッドFCとして、OFCに正式に申請しました。参加を希望した国・地域とクラブ数は全24クラブ、以下の通りです。

ニュージーランド6、オーストラリア4、パプアニューギニア4、フィジー4、ニューカレドニア2、サモア1、ソロモン諸島1、タヒチ1、バヌアツ1クラブ

ちなみに、OFC内では、ハワイのチームも参加させたいという声がありました。これは、アメリカからの資金提供によって大会をより盛り上げたいという狙いによるものです。また、オーストラリアは現在AFC(アジアサッカー連盟)に所属しており、通常はOFCの大会には参加できませんが、今回は特別枠として1チームの参加が認められました。その後、申請チームは途中で12チームに絞られ、8月末にはバヌアツが最後の8チームに残りました。最終的に残った国・地域とクラブ数は以下の通りです。

ニュージーランド2、オーストラリア1、パプアニューギニア1、フィジー1、ソロモン諸島1、タヒチ1、バヌアツ1クラブ

落選した既存クラブは「なぜウチが落ちた!」と新聞をにぎわせましたが、各国のバランスも考慮された結果と思われます。

4.png5.png

その後、私はVFF本部のメディア長としてOFCプロリーグへの支援を要望され、現在は毎週のようにプレスリリースを作成し、クラブチームのロゴ決定や代表監督の発表も担当しています。幸運なことに、クラブ設立前の段階から関わることができ、ジェネラルマネージャーや新監督の募集、チーム名の投票など、メディアチームとして多くの活動に携わってきました。クラブロゴ作りの苦労話など、そのすべてが貴重な体験となっています。

写真に写っているのは、新たに就任したドイツ人のバヌアツユナイテッドFC監督です。彼は今後、ナショナルチームの監督も兼任する予定です。前回の記事でも触れましたが、当初はバヌアツ人のナショナルチーム監督が任命されていました。しかし、ナショナルチームの選手がクラブチームにも所属する方針となったため、体制が一本化され、このドイツ人監督の指揮下に統合されました。

さあ、いよいよ2027110日、ニュージーランド・オークランドで開幕です。公式発表会は1029日にOFC本部で開催され、8チームすべてが参加する初公開イベントとなります。ぜひご注目ください。実は、発表会以前の段階ではまだお伝えできない話や、書けないことがたくさんあります。イベント終了後に、あらためて詳細をお届けしますね。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ