JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツ便り

バヌアツ便り~病院食の改善~

初めまして、2023年度4次隊(20245月~)栄養士としてバヌアツの離島サント島に派遣されている冨岡愛子です。趣味は映画鑑賞です。

私の配属先はバヌアツ全6州の内北部3州の中核病院となる北部州立病院です。

今日は私の1日の活動の様子と、配属先で行われている「Farm to Hospital」というプロジェクトを紹介したいと思います。

1日の流れ

朝は8時頃に病院へ。病棟回診が始まるまではキッチンの皆さんと井戸端会議。ここでは同僚の愚痴から道ならぬ恋の話も聞けたりします。病棟回診は外科内科小児産婦人科の順に回ります。ドクターと相談しながら患者さんの食事の様子を確認し、必要な対応を考えていきます。 回診が終わるとキッチンに戻り、情報を共有。配膳の時間にはキッチンスタッフと共に特別食を確認し、一緒に盛り付けを行います。配膳車を見送って、高校球児のごとく盛大に盛られた昼食を食べ、午後は病棟に栄養指導へ。時間に余裕のある日は教材づくりや病院食の改善策、自分がいなくなった後も続いていくような仕組みにするためにはどうしたらいいか、そんなことを考えています。

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Farm to Hospital のこと

北部州立病院では「Farm to Hospital」というユニークな取り組みがあります。病院に農場を併設して野菜や魚、卵を育て、それを病院食に使うというものです。新鮮な食材を確保できるだけでなく、食材料費も抑えられるというメリットがあり、1年の半分が雨季で、サイクロンも来るこの国では非常食としての役割も果たせます。バヌアツではここ北部州立病院だけが行っているプロジェクトだそうです。

とても素敵なプロジェクトですが、私の着任時にはプロジェクトの開始から随分時間が経ってしまっていたこともあり、協力者も減り、広い畑や養殖池、鶏小屋があるにもかかわらず、計画的な運営がなされず、土台があるのに十分に活かされていない状態でした。そこで「病院食に必要な野菜や魚や卵の目安」を栄養士として提示してみたところ、老いた鶏しかおらず老鶏ホームと化していた鶏小屋にインキュベーター(孵卵器)が導入され、2人しかいないファーマーも少しずつ意欲を取り戻してくれるようになりました。今では月に一度だった魚の収穫も週に一度になり、色々な野菜を植えたりするようになっています。

畑で採れた野菜や新鮮な魚を使った料理は患者さんにとても好評です。「kala kala(バヌアツの言葉でカラフル)だね」「美味しいね」と喜んで食べてくれる姿を見ると、やはり大切な取り組みだと感じます。まだまだ目標とする収穫量には届いていないものばかりだし、課題もありますが、少しずつ前に進んでいるのを感じます。私自身も、この活動に関わりながら患者様が食事をおいしく、しっかり食べて、一日でも早く家族の元に戻れるように、「病院の食事がどうすればもっとよくなるか」を考え続けたいと思っています。

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冨岡愛子(2023年度4次隊 /栄養士)

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