JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツ便り

バヌアツ便り~防災教育①(配属先編)~

こんにちは。

2023年度3次隊(2024年2月から)防災・災害対策でバヌアツに派遣されている干場 圭(ほしば けい)です。JICA海外協力隊に参加する前は、消防隊員として勤務していました。

任期も残り半年を切り、活動はいよいよ終盤に差し掛かっています。今回は、訓練用消火器を用いた防災教育の取り組みについて報告します。

私の配属先は首都ポートビラにあるバヌアツ教育訓練省(日本でいう文部科学省に相当)の防災部門で、現地職員と協力しながら学校防災教育の推進や災害リスク削減に取り組んでいます。

バヌアツは自然災害の多い国で、サイクロンや地震、津波、火山噴火などの自然災害に加え、医療・インフラの脆弱性に起因する二次的な被害リスクも増加し、特に2015年3月のサイクロン・パムでは甚大な被害を受け、JICAの国際緊急援助隊の医療チームが派遣されたこともあります。2024年12月には、首都ポートビラを中心としたマグニチュード7.3の地震が発生しました。この地震により建物の倒壊や道路の損壊、電力・水道などのライフラインの一時停止が生じ、市民生活に大きな影響を及ぼしました。私は教育省の防災部門の一員として、翌々日から被災状況の把握のために島内を回り、学校やコミュニティの被害を確認しました。その後は災害対応訓練の支援にも携わり、現地での防災・災害対応の脆弱性や課題を肌で実感する貴重な経験となりました。

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このような背景から教育訓練省では、子供たちが適切な防災知識を得ること、自分自身の命を守るためにはどのような行動を取るべきかをテーマに学校防災教育(SBDRR:School Based Disaster Risk Reduction)を実施しています。

この活動をさらに充実させるために、日本の訓練用消火器(本物は粉末消火剤とガスですが、訓練用には水が入っています)を取り入れた訓練を実施することにしました。子どもたちが将来、災害に対して自助できる力を養う機会を提供したいと思ったからです。火災は命だけでなく、住宅や家族、大切なもの、つまり広い意味での財産を失うリスクがあります。日本と比べ、火災報知器の設置や迅速な消火サービスが難しい環境であることを踏まえ、早期に初期消火ができる人材を増やすことが、バヌアツ全体の安全につながるはずだと考えています。JICAグローバル・アジェンダ「防災・復興を通じた災害リスク削減」に沿った事前防災投資モデル事業の具現化を通じ、社会の根本的な災害リスク削減を目指します。

バヌアツでは手に入らない訓練用消火器はJICA海外協力隊応援基金を活用することで、日本から入手することができました。JICA海外協力隊応援基金は、JICAが設けている寄附事業の一つで、JICA海外協力隊の活動を資金面で支援するための仕組みです。日本国内の個人、団体、企業などからの寄附金を原資として、活動国・地域で行う小規模な活動やプロジェクトを支援するものです。要するに、「JICA協力隊が現地で“もう一歩”活動を進めるためのサポート資金」として活用されます。

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2025年8月に訓練用消火器が届き、職場の同僚にも実際に使用してもらいました。

今後は学校を巡回する際に活用し、現場での防災教育に役立てていく予定です。次回は、子どもたちが実際に使用している様子をご紹介したいと思います!

Ale,tata! (それでは、また!)

干場 圭 (2023年度3次隊/防災・災害対策)

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