JICA海外協力隊の世界日記

ベトナム便り

Ep2 | コンクオン日記 〜観光と暮らしの記録〜 「織物の村で、日本語が聞こえた日」

こんにちは。JICA海外協力隊としてベトナム・ゲアン省コンクオン郡でコミュニティ開発(観光開発)に携わっている鵜木です。

今回は、観光の現状調査のために訪れた「モンソン村(Môn Sơn)」での出来事をご紹介します。

国境の村へ

モンソン村は、ベトナム北部最大のプーマット国立公園内に位置する村で、隣の国ラオスにも近いです。村が位置するプーマット国立公園は、世界で初めて幻の動物と言われる「サオラ」が発見されたことで知られるくらいに原生の自然が残る場所です。村の多くの人々は少数民族のタイ族(Thái)で、今もなお伝統的な暮らしが残っています。

そんなモンソン村では、高床式住居をホームステイとして開放し、訪れる人々にタイ族の文化や暮らしを体験してもらうコミュニティツーリズムが行われています。さらに、村のすぐそばを流れるザン川では、川下りやカヤックなどのアクティビティが楽しめ、特に夏場は、多くの観光客でにぎわうエリアです。

伝統技術に触れる

モンソン村は、織物文化が根付いていることでも有名です。訪問した際、地元の女性たちが織物をしている姿を見せてもらい、私も少し体験させていただきました。彼女たちが織る布には、虎や象、鹿、蟹、糸車といった伝統的なモチーフが施されており、それぞれに意味が込められています。

例えば、虎のモチーフには「力強さや健康」、鹿のモチーフには「自由や忠誠」の意味があるそうです。伝統技術の美しさだけでなく、その背景にあるストーリーにも惹かれました。

国境の村で出会った“九州”

ちょうど訪問した日は「国際女性デー」であり、村の人々が集まってお祝いをしていました。私もその場に参加させてもらいました。コンクオンに来て思うのは、私のような見ず知らずの外国人を温かく迎え入れてくれることのありがたさです。言葉や文化が違っても、私のベトナム語が拙くても、笑顔で迎えてくれる村の人々の優しさに支えられながら、私はこの土地での活動を続けています。

そして、ここで思いがけない出会いがありました。村の方々と話していると、「日本で働いていたことがある」という方が3名もいたのです。さらに驚いたのは、うち2名が九州で働いていたということでした(大分県と鹿児島県)。

私は福岡出身で、大学院を卒業するまで九州で過ごしてきました。そのため、遠く離れたベトナムの村で、九州とつながる人々と出会えたことに強い親しみを感じました。「福岡にも遊びに行ったよ!」「日本の仕事は大変だったけど、貴重な経験だった」など、日本での思い出を一緒に語り合いました。久しぶりに電話やオンラインではなく、対面で日本語を話すことができ、改めて日本とベトナムの交流の深さを感じました。

ちなみに好きな日本料理は、唐揚げとお寿司とのことでした。

モンソン村のこれから

モンソン村は夏の観光シーズンには多くの人が訪れますが、冬から春(12月~3月)の間は閑散期であり観光客が減るという課題を抱えています。実はこの冬から春になると客足が減るというのは、コンクオンの課題でもあり、コンクオンが属するゲアン省の課題でもあります。実際に訪れてみると、観光客の少ない冬の静かな雰囲気の中でゆったりとエコツーリズムや文化体験を楽しめるのは、むしろ魅力なのではないかと感じました。

これから、こうした「静かな観光」の魅力をもっと発信し、国内外からより多くの人に訪れてもらえるような仕組みづくりを考えていきたいと思っています。ベトナムの伝統文化に興味がある人には、本物の文化が残っているコンクオンは理想的な場所かもしれません。

次回もまた、新たな発見や素敵な出会いをご紹介できればと思います!ではまた!

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