2025/10/24 Fri
文化 生活
ベンバ族伝統の結婚式へ

みなさんはじめして。
幼児教育の隊員として活動しております、2025年度1次隊の河原と申します。
私の活動先ルアンシャはザンビアの首都ルサカからバスでおよそ7時間。 ルアンシャは、田舎のよさがそのまま残る穏やかな町です。 人も土地もおだやかで、ゆったりと時間が流れる。そんな心地のよい場所です。 訪れた瞬間にこの町に一目惚れしてしまいました。
赴任して初めての週末、大家さんのご好意で結婚式に参列させてもらいました。
■ベンバ族の伝統的な結婚式
ザンビアのベンバ族の結婚は「家族と家族を結ぶもの」と考えられています。 そのため、いくつもの儀式を通して、家族の絆と感謝を確かめ合うのが特徴です。
- ●ロバラ(Lobola):花嫁の家族へ感謝を伝える贈り物
- ●チランガ・ムリロ(Ichilanga Mulilo):花嫁の料理の腕前を披露する大宴会
- ●キッチンパーティー:女性たちが花嫁へ知恵と贈り物を渡す会
- ●当日のセレモニー:歌・踊り・食事でみんなが祝福
今回は、教会やホテルではなく、新郎新婦それぞれの家で伝統的なセレモニーが行われました。 最近は教会やホテルでのモダンスタイルを選ぶ若者が増えているそうですが、 昔ながらの結婚式に参加できたことは、とても貴重な経験になりました。
印象的だったのは、新郎新婦がそれぞれの家で儀式を行っていたため、ほとんど顔を合わせていなかったこと。 家族が中心となって準備や儀式を進め、当日のセレモニーでようやく二人がみんなの前で祝福を受けました。 その流れから、結婚を“家族や周りの人たちと一緒に育むもの”と考えるザンビアのあたたかい文化を感じました。

■女性たちの力と笑顔
私は3日間に渡り、チランガ・ムリロ、キッチンパーティー、当日のセレモニーに参加しました。
チランガ・ムリロでは、花嫁の家族や親戚の女性たちが、30種類ほどの手料理を丁寧に作り、新郎家へと届けます。これは「花嫁の料理の腕前を紹介し、感謝を伝える」という意味をもつ大切な儀式なのだそうです。チランガ・ムリロで振る舞う、料理の準備を手伝い、親戚の女性たちと貴重な時間を共にしました。
歌は生活の一部のように、どこからともな自然に始まります。まるでゴスペルのような力強さと明るさにあふれ、キッチンの中も庭先も、終始にぎやかで笑顔でいっぱいでした。
15人ほどの女性たちの明るい声に包まれ、ザンビアの女性のたくましさと優しさを感じました。
その光景は、どこか幼い頃に祖父母の家で見たお正月やお盆の風景と重なり、懐かしく、心がほっこりとしました。

■日本との違いと共通点
どちらの国も両親への感謝や、親戚・友人との絆を大切にする気持ちは同じ。
ただ、今回のザンビアの結婚式では、家族の家そのものが会場でした。 親戚や近所の人たちが集まり、歌や踊り、手料理で祝う。 まるでコミュニティ全体が一つになってお祝いしているような温かさがありました。 日本の結婚式はホテルやチャペルなど、特別な場所で行われることが多いけれど、 どちらも根底にあるのは「感謝」と「家族への想い」。
形は違っても、伝えたい心は同じだと感じ嬉しく思いました。


写真は新郎の家へ届ける料理の数々。一品一品に新婦への愛情が感じられました。
セレモニー当日は、日本の結婚式と同じように感動的。 参加者がみんなでおそろいのチテンゲ(ザンビアの伝統布)を身につけて祝う姿は、本当に美しく、一体感にあふれていました。 私も同じ柄のチテンゲで仕立てたワンピースを着て、仲間に入れてもらいました。

「家族を想う気持ちは、世界中どこにいても同じ」そう感じた3日間でした。 来たばかりの私をあたたかく迎え入れてくださるザンビアの人たちに、心から感謝しています。
ザンビアのみなさんは、とてもあたたかい方ばかりです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
SHARE





