2024/07/13 Sat
文化 言語
カメルーン弁? カメルーンのフランス語方言とは。
Bonjour ! こんにちは。カメルーンのナンガエボコという地域に赴任している美淋です。
カメルーンには250以上の民族グループや言語が存在していて、「カムフラングレ(Camfranglais)」[英: カムフラングリッシュ(Camfranglish)]という、フランス語、英語、現地語をベースとしたスラングもまた頻繁に使われています。
今回は主観ではありますが、"カメルーン弁・カメルーン方言"と表現されるような、任地で日常会話で頻繁に耳にするそんな特徴的なフランス語の10のフレーズ、いくつかの発音について紹介します。
*カタカナでも表記しますが正しい発音ではないことをご了承ください。
①"C'est comment !?" -(セ・コモン?) 調子はどう?-
話し言葉で"Comment tu vas?","Comment vous allez?"(調子はどう?)の代わりに仕事や日常でも、どんなシーンでも知り合いであれば頻繁に使用されています。
返答として、"C'est bien!(良い感じ)"も私の任地ではよく耳にします。
②"Tu me gardes quoi?" -(トゥム・ガラドゥ・クワ)何をくれるの?何かちょうだい?-
友人、隣人、同僚、子どもたち、どんな人もよく言います。子どもたちは親に、"Gardes-moi le bonbon(お菓子買って)!"とおねだりします。
旅行、買い物、お出かけをしてきた人に対して高い頻度で投げかけられています。
③"On est ensemble." -(オネ・アンサンブル) またね。-
直訳すると"私たちは共にある"という意味です。"Au revoir"の代わりに使用されています。
仕事で誰かと別れる際に使われているイメージです。人によっては、"Nous sommes ensemble!"という人もいます。
ちなみに私の任地であるナンガエボコの現地語では"びぬさまん"と言います。
④"Ça dérange!" -(サ・デランジュ) めんどくさい!うまくいかない!-
仕事でうまくいかない時や面倒な時に特に使われています。
日常会話でも、誰かがちょっかいをかけてきた時に、"Ne dérange pas!(邪魔しないでよ〜!)"と使われることも多く、"Déranger(邪魔をする)"という単語は頻出です。
⑤"Bonne arrivée!" -(ボン・ナリヴェ) ようこそ!-
フランス語でようこそ!といえば"Bienvenue"ですが、私としては"Bonne arrivée!"が高い頻度で使われている印象があります。
配属先や警察など地域の公的機関に初めて挨拶をしに言った際にも、この言葉から歓迎されました。
⑥"Ça fait depuis !" -(サフェ・ドゥピュイ) 久しぶり!-
この形は略されていて、原型は"Ça fait longtemps!"です。
日常生活や仕事、どの場面でも久しぶりに会った人に対して使われています。
⑦"Ekié !" -(エケー!) えぇ[驚き]!?-
これはフランス語方言の一種というよりカメルーン土着の言葉だとは思いますが、どの場面でも驚いた際のリアクションとして、"Ekié!"と発されています。
話し言葉のみならず、SNSなどのメッセージアプリ等でもカメルーンでは使われています。
⑧"Tu dis?" -(トゥディ?) 何て言った?-
日常会話で相手が何を言ったか聞こえなかった時に、何て言った?という聞き返しの意味でよく用いられています。
仕事では"Pardon?"と聞き返すのがベターかとは思います。
⑨"Assia" -(アスィア) お大事に-
これも方言というよりはカメルーンで広く使われている言葉ですが、フランス語の"Prends soin de toi(お大事に)"と同じようなイメージで話されています。
赤ちゃんが泣いている時、親があやす際にも用いられます。
⑩"Mon combi","Ndolé","Amigo" -(モン・コンビ, ンドレ, アミーゴ) 友達-
仏語で"Mon ami!" "Mon frère!"と友人を呼びかける際に使われる言葉として、上記の3つもカメルーンでは良く使用されています。
何故かスペイン語で友人を意味するAmigo(アミーゴ)もよく耳にします。
また、カメルーンの国民食である"Ndolé(ンドレ)"と、仲の良い友人に対して呼ぶことも多々あります。
微妙に違う!? カメルーンでのフランス語発音とは。
アフリカにはフランス語圏があり、カメルーンも含めた22カ国の公用語として使われています。
そして、公用語には指定されてはいませんが、アルジェリア、モロッコ、チュニジア等でもフランス語が通じるのです。
英語でも、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語等と表現されるように、フランス語も同じく少しずつ発音も異なることがあるので、その事例についていくつか紹介したいと思います。
①inの発音 -500(cinq cent)"センソン"を事例に-
inは仏語では鼻母音として知られていて、本来は「アン(ɛ̃)」と発音されますが、任地では「エン」と発音されることがあります。
そのため500(cinq cent)は「サンクソン(sɛ̃ksɑ̃)」となるはずですが、カメルーンでは「センソン」と発音されています。
②Rの発音 -ラリルレロでも通用する!?-
日本人仏語学習者が最初につまずくポイントはRの発音にあると思います。喉を薄く鳴らすような発音が本来ですが...
カメルーンでは巻き舌でRを発音する人もいます。地方であればあるほどその傾向は強いのかなと個人的には感じていますが、必ずしもRを綺麗に発音できなくても、聞き取ってもらえることが多いと思います。
③その他事例集:déjà, maintenant, dehors
任地では他にもいくつか特徴的な発音があります。
déjà「デジャ(deʒa)」 → 「デヤ」
maintenant「マントゥナン(mɛ̃tnɑ̃)」 → 「メナン」
dehors 「ドゥオール(dəɔʁ)」 → 「デオール」
今回は、カメルーンにおけるフランス語の特徴・方言を紹介いたしました。
日本語にも方言があるようにカメルーンの公用語であるフランス語にも独自の特性があり、興味深いと感じていただけたら幸いです。
この記事を閲覧してくださる読者の方々がいつかカメルーンに来ることがあれば、今回紹介したフレーズをぜひ使ってみてください!
On est ensemble !
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