JICA海外協力隊の世界日記

カメルーン男子の 今日の1ページ

カメルーン共和国(Cameroun) ってどんな国?-基本情報編-

「カメルーン」の国旗が持つ意味とは。~Quel est la signification du drapeau du Cameroun?~


Bonjour à tous! 皆様こんにちは。

「カメルーン」はポルトガル語で「小エビ」が由来となっています。15世紀頃、大航海時代にこの地域でポルトガル人が、エビが群生している様子からRio dos Cameroes(小エビのいる川)と名付け、そこから転訛してCameroun: カメルーンと呼ばれるようになりました。

そんなカメルーン共和国は他の多くのアフリカ諸国でも使用されている汎アフリカ色(緑・赤・黄)の国旗を使用しています。この配色はエチオピアが最初に採用したもので、植民地時代に支配を逃れた「アフリカの星」であるエチオピアの強さにあやかって採用している国が多いようです。

は豊かな自然と国の繁栄を、は国民の団結と独立を、は太陽と富を、中央の1つのは不可分の統一の国家を象徴しています

「アフリカの縮図」としてのカメルーン。"L'Afrique en miniature"


アフリカ大陸の中部に位置しているカメルーンはギニア湾・大西洋に一部面しており、赤道の僅か北側にある縦長の三角の形状をした国です。ナイジェリア、チャド、ガボン、赤道ギニア、中央アフリカ、コンゴ共和国の6ヶ国に隣接しています。

熱帯雨林気候、サバンナ気候、ステップ気候等のアフリカ全土の気候帯が一国にあり、加えて高原や火山、ジャングル、海岸平野などの自然環境に恵まれることに付随して多様な動植物も存在し、250以上の民族も存在していることから、地形的、気候的、民族的に多様性に富んでおり、全てのアフリカが凝縮されているような様子から「アフリカの縮図」と称されています。

カメルーンの社会(言語・地域・宗教) ~Diversité de la société camerounaise (Langue, Région et Religion)~


カメルーンは10つの州に分かれています。

  1. 極北州(Extrême-Nord)
  2. 北部州(Nord)
  3. アダマワ州(Adamaoua): 水資源が豊富。通称「貯水塔」。
  4. 中央州(Centre)
  5. 東部州(Est)
  6. 南部州(Sud)
  7. 西部州(Ouest)
  8. リトラル州(Littoral):沿岸地域・沿岸州の意。
  9. 北西州(Nord-Ouest)
  10. 南西州(Sud-Ouest)

行政区分上カメルーンは10つの地域に分かれていますが、実は村落として現在も伝統的支配や文化が継続されているような小さな王国も点在しています。

また公用語はフランス語と英語とされているものの、9,10の北西州、南西州は主に英語圏であり、それ以外は主に仏語圏として成り立っています。ナンガ・エボコ(Nanga-Eboko)で活動している私も活動では主に仏語を用いています。(是非 ↑ の地図で地名探しをしてみてください。他の共同執筆者の任地①片山 Mbalmayo ②佐藤 Sangmélima ③出町 Eséka)

加えて、約270存在する各部族語・現地語も同様に「伝統語」として制定され、初等教育でも学習される機会があるなど、各言語間に優劣がないことが示されています。

特徴的な言語は他にも存在し、「カムフラングレ(Camfranglais)」[英: カムフラングリッシュ(Camfranglish)]という、フランス語、英語、現地語をベースとしたスラングが全国に拡大しています。

しかしながら英語圏である北西州、南西州では独立の動きが盛んになっており、2016年頃から今日に至るまで治安部隊との衝突が度々生じています。

更に極北州では、ナイジェリアを拠点としたイスラム原理主義で過激派組織である「ボコ・ハラム(『西洋式教育は罪』という意)」や「イラク・レバントのイスラム国西アフリカ州(ISWAP)」が越境して侵入しており、治安機関や村落への襲撃・略奪・誘拐行為が多発しています。

アンバゾニア.png

(英語圏分離独立派勢力「アンバゾニア(南カメルーン連邦共和国)」の「国旗」)

宗教は、キリスト教が60%弱(カトリック30%強,プロテスタント20%強、その他)、イスラム教が30%弱、その他伝統信仰(アニミズムや呪物崇拝等)が存在しています。

但し、信仰による社会の分断はそれ程感じられません。モスクや教会周辺ではある程度、集住している様子が見て取れますが、現体制の要職でも全体的な割合を考慮して任命されており、私の配属先でもイスラム教徒の上司、キリスト教徒の同僚など信教には自由が認められています。

加えて、イスラム教徒とキリスト教徒間での同居や婚姻も認められていて、社会的に穏やかに共存していると実生活から感じます。

アフリカ最大の民族数を有するカメルーンが長期間、比較的安定した政権を維持できている背景が伺えますね!

202208.jpg

今回はカメルーン共和国の概要について、国旗、民族、気候、地理、言語、宗教の側面から紹介しました。

文化や自然、食事、人...実際に住んでいて本当に魅力溢れる国だと感じているので、その一端を少しでも知っていただけたのであれば幸いです。

よりカメルーンに興味が湧いた方は、下記のリンクや他の記事も要チェックです。

A bientôt ! (またね)

カメルーンの都市ドゥアラからギニア湾・大西洋を臨む。の.jpgのサムネイル画像

参考文献・資料の出典


  1. 外務省 カメルーン共和国 基礎データ
  2. 外務省 海外安全ホームページ カメルーン
  3. 在カメルーン日本国大使館
  4. 在日カメルーン大使館
  5. 独立行政法人国際協力機構 カメルーン事務所
  6. 独立行政法人国際協力機構 カメルーン共和国国別分析ペーパー
  7. 国連開発計画(UNDP)
  8. 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科、Cameroon Field Station
  9. 『インサイド・アフリカ-カメルーン報告-』、新井 勉、2012年11月。
  10. 『時事解説: ボコハラム過激化の軌跡』、「アフリカレポート」、島田周平、アジア経済研究所、2014年。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ