2020/02/26 Wed
文化
【文化】㉖職業としての林業家
今回は「蝦名隊員の同僚職員」を紹介します。
<森林研究省ムンダ事務所>
私の配属先である森林研究省は、ソロモン諸島国内の森林・林業に包括的に関わる重要な行政組織です。特に海外企業による商業伐採での関税などが国家歳入として大きな割合を占めているため、中長期的な視点を持ち、安定した森林・林業の確立が求められています。出先機関となるムンダ事務所では、首都ホニアラに拠点を置く本省とは異なり、デスクワーク主体ではなく実際の現場に出て従事する業務が多いです。
現在の同僚たちは計5名、全て男性です。徐々に女性職員が出先機関に着任し始めてはいるものの、いまだに「男性の職場」といった印象が強いことは否めません。
さて、今回はそんな私の同僚の一人にスポットを当てて、日々のお仕事の様子を紹介します。
<ソロモンのフォレスター「FEO」>
FEO(Forestry Extension Officer)と呼ばれており、日本での立ち位置を考えると各都道府県に配置される「林業普及指導員」のような職員に捉えられますが、より現場主体の業務が非常に多いように見えます。
業務としては、造林用種苗の確保・管理、再造林の推進、育林に関する指導、森林伐採に関する検査・モニタリング、木材生産と輸出促進に関する林産分野での助言・普及活動など、多岐にわたる分野で活躍しています。
<海でも森でも>
島嶼国であるソロモン諸島では、あちこちの現場に行くために「ボートの使用」が欠かせません。海ならばどこを走行しても良いのではないか?と思われるかもしれませんが、遠浅の多いソロモンでは周辺地域が珊瑚礁で囲まれており、エンジンやボート本体を傷つける可能性があります。特に干潮時の走行では注意が必要となり、「海の道」をしっかりと覚えておき、誤ることはできないのです。
また、造林用の種子を採取するためには「母樹に木登り」しますし、様々な業務シーンで使用する「チェーンソーの扱い」も得意でなければなりません。
GISや航空測量等をはじめとして様々な分野でデジタル化が進んではいますが、やはり実際の現場に入って仕事をすることは大切なのだなぁ、と改めて感じます。
<写真の説明>
森林研究省ムンダ事務所の「何でも屋」の同僚:Mr.Steven Koloa
【写真①】まずはボートの操縦が必須
足元にはフィッシングリール(釣り糸)も置いている、仕事帰りのひと仕事に…
【写真②】専用の器具を身に付けて、チーク(Teak)の木に登る
この日は特殊伐採のため、高所でのチェーンソー伐採に取り組む
【写真③】チェーンソーの目立て作業中
仕事の相棒であるチェーンソーのお手入れは大切
※ちなみに、ソロモン国内で使用されるチェーンソーの多くは「Stihl製品(ドイツ)」
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