2020/02/28 Fri
文化
【文化】㉘ソロモンにいったい何があるというんですか?:中
今回は「カバ(KAVA)」について紹介します。
<その泥水を飲むのか?>
カバはコショウ科の草本性低木です。乾燥させた根を粉砕し、水と混ぜて成分を搾り出したものが麻酔性飲料のカバで、飲むと口内がしびれて鎮静作用を持ちます。かつては伝統的儀礼や行事に際して飲用されたようですが、現在では日常的な飲物となっている様子。
青年海外協力隊員の間でも、とりわけ「本場のバヌアツ」やフィジーなどの国々では一般的な存在となっているようで、様々なエピソードが既に紹介されているので私からの詳述は遠慮します。
ソロモン諸島では、首都ホニアラであれば数件程度カバを飲めるお店があるほか、私の任地ウェスタン州ムンダではカババー(KAVA bar)というお店があり、いくつかのコミュニティの中でも定期的にカバを飲む習慣があります。
<新産業として>
バヌアツなどのカバが本場の国々ほど一般的ではないソロモン諸島において話題になっていること、それは「飲む習慣」ではなく「原料生産」です。
カバは実生からではなく、挿し木苗(cutting)での生産が一般的なようで、私の職場である森林研究省ムンダ事務所でも試験的に苗木を生育しています。ウェスタン州内でも個人レベルで植栽する取組が始まっており、小規模ではありますが、臨時収入の確保などを目的に考えられているようですね。
現時点では原料となるカバの根っこ1kgあたりSBD300ドル(4,000~4,500円程度)、首都ホニアラに立地する加工会社が買い取ってくれるようです。カバの挿し木苗は植栽後約3年で収穫可能になり、成木3本分の根っこで約1kg程度を確保できるとのことから、地域住民にとっては比較的短期間で現金収入が得られる貴重な存在となりつつあるようです。
<犯罪防止の一助となるか?>
余談ですが、ソロモン諸島国内ではビールなどのお酒を飲む習慣が広まってきた一方、首都ホニアラへの急激な人口流入なども相まって、犯罪率の増加が懸念されています。
お酒とともに同じく嗜好品であるカバには鎮静作用があることから、「お酒を飲んでハイな気分になる」よりも「カバを飲んで落ち着いた気分になる」ほうが良いのではないか?といった意見もあるようです。
なるほど、一理あるかもしれませんね。
<写真の説明>
【写真①】飲料としてのカバを作る様子(ウェスタン州ムンダのカババーの店主が実演)
【写真②】カバの苗木を紹介するムンダの村人
【写真③】カバ1年生幼木の植栽地(ウェスタン州ムンダのドゥンデ地区)
SHARE