JICA海外協力隊の世界日記

世界一暑い国の空から…

126.子どもたちを選抜した意味...。

こんにちは。2018年度1次隊ジブチ派遣(青少年活動)の遠藤浩之です。

今回は文化や習慣の違いで,もどかしい気持ちになった体験についてお伝えします。

ジブチでは,11月21日は「青少年アフリカ国民の日」です。
(※本当は11月1日ですが,今年はジブチ関係者のさまざまな事情で延期になりました。
物事の延期はジブチではよくあります。)
以前にも記事にしていますが,この日のイベントでジブチ国歌を披露するために,各CDC(地域開発センター)から子どもたちが選抜されました。
一人ずつ前に出て歌い,審査されたのです。

そして決まった子どもたちが1枚目の写真の子どもたち。
毎週のようにのどが枯れるくらいに何度も歌い,練習を行っていました。

し・か・し,
なんと急遽この子たちは出場できなくなり,他の中高生が出場することになったのです。


別に当初のメンバーに問題があった訳ではありません。
いわゆる大人の事情,というかお偉いさんの一声でメンバーの変更があっという間に行われてしまいました。

こういうことがここジブチでは,少なくとも私の配属先では多いです。
「鶴の一声」と言えばいいのでしょうか。

当初選ばれていた子どもたちがなんともかわいそう。
大統領の前で国歌を歌えるチャンスだと思い,一緒懸命に練習をがんばっていただろうに。
練習の力の入れ方もすごかったのに・・・(ジブチでは,本番前に何度も練習することは本当にまれなことです。)

そして選ばれた子どもたちが下の写真の彼らたちです。

私はCDCセンター長の週例会議に参加しています。
会議での話の内容からすると,一度選抜を終えてからのお偉いさんの一言により,ソマリ族とアファール族の比率,男女の比率, 年齢層なども考慮して新しいメンバーが決定されたようです。

CDC職員が事前に選抜も行い,毎週子どもたちに練習もさせていたとしても・・・


「上の決定は絶対」。


誰も文句を言うことなく,新しく選ばれた子どもたちの指導に入っていました。

選抜前にきちんと打合せをしたり,計画立てて準備を進める習慣がなかったために,今回のようなことに至ってしまったのだと思われます。

・・・と,わたしの分析の横で,現場の関係者は問題だとは感じていない様子で,こういったことは当たり前だととらえているようです。

私がジブチで活動していてこれまでずっと思ってきたのは,ジブチでは日本ほど「子どもたちのため」という使命感で働く人は少ないということです。


使命感までなくとも,「子どもたちを想って」働くという意識があまり感じられません。
体罰も見受けられ,子どもを傷つけないようにするといった意識はあまり高いようには感じられません。
子どもたちも大人に石を投げ返すなどする訳ですが…。

今回の件で,当初決まっていた子どもたちやその両親とCDCの間で,トラブルなどは一切ありませんでした。
「すべては神が決めることで,私たちにはどうすることもできない」という意識もあるのかも知れません。

子どもたちを選抜した意味は何だったのでしょうか?
職員が子どもたちに練習させていた意味は?
子どもたちが毎週練習した意味は?

なんとももどかしい体験でした。

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