2019/11/21 Thu
文化 活動
122.ジブチの水泳大会
こんにちは。2018年度1次隊ジブチ派遣(青少年活動)の遠藤浩之です。
今回は,活動先で行われた水泳大会の様子についてお伝えします。
ジブチの水泳連盟主催で,各CDC(地域開発センター)から参加者を募り水泳大会が行われました。
ジブチ軍の施設にある20mプールを使って実施されました。
ジブチでは高級ホテルなどに行けばプールはありますが,ジブチ人が普段自由に利用できるプールはありません。
そのため,子どもたちは海で泳ぐことがほとんどです。
今回の大会は,プールで泳ぐのが初めて,もしくは数回目という子が参加者の大半を占めていました。
信じられない光景ばかりで,私にとっては衝撃だらけの水泳大会でした。
なんと,失格者がおよそ4割‼
水泳連盟が主催ということもあって,さすがに審判が複数配置され厳正に審判を行っていました。
失格者は多いですが,私としてはすべて納得の判定です。
①スタートでの飛び込みの失敗による失格
プールで泳いだことがほとんどない参加者たち。
しかし,水泳競技のルール上,飛び込みからスタートしなければなりません。
参加者の多くがこの飛び込みで失敗・・・水面で胸を打ち,スタート時点で助けを求めるような状態に・・・。
練習させてから参加させる,もしくは飛び込みはできるという子どものみを大会に参加させるということはないようです。
この国ではやはり,「練習」という概念が希薄だと感じてしまいます。
救助員がすぐに助けに行けるようにはなっていましたが,なんとも危険だと思います。
もちろん飛び込みに成功して泳いでいる子どももいます。
しかし,胸を打って助けを求めている子どもがいるレーンに救助員が行くためには,ちゃんと泳げている子どものレーンを通らなければなりません。
救助員と泳いでいる子がぶつかったりして,危険な上にタイムも下がってしまいます。
②ルールを守れず失格
水泳連盟の方々が,公用語のフランス語でルール説明を子どもたちにしていました。
「折り返しでは,向こう側の壁をきちんとタッチするように。触っていなかったら,向こう側にいる審判が失格の判定を下します。」
といったような具合です。
しかし,CDCには学校に行っていない子どももいるため,フランス語が分からずソマリ語しか分からない子どももいます。
審判の説明に適当にうなずき,案の定ルールを理解せずに失格になってしまう子どもが多くいました。
語学ができないと不利になることもあるなと感じました。
教育の大切さを感じます。
③失格ではありませんが…。
大会にもかかわらず,多くの参加者が普通の下着で参加していました。
水着が買えないという家庭の事情もあるのでしょう。
「あの子が優勝候補の子だよ」と紹介された子どもの姿を見ると…。
帽子やゴーグルまで身に付けているのに,水着ではなく普通の下着。
(帽子やゴーグルを付けているのは参加者の中で唯一彼だけでした。)
水着をまず購入した方がよいのでは…と思いましたが,これも私の勝手な価値観なのでしょう。
そして結果はこの日に発表されず,全員泳ぎ終わると即座に解散。
後日,各CDCで結果表が貼り出されるようです。
すぐに結果を取りまとめて表彰するということは,私の活動先では少ないです。
なんとも衝撃的な水泳大会でした。
この危険な状況や失格者の多さを見て,「なんとかしなきゃ‼」と感じるジブチ人はいませんでした。
課題意識をもたせることが,協力隊の活動では本当に難しいと感じます。
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