2019/11/11 Mon
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120.ジブチ隊員④看護師
こんにちは。
2018年度1次隊,青少年活動隊員の遠藤浩之です。
今回はジブチ隊員を紹介する記事第4弾です。
現在ジブチでは12名の隊員が活動しています。
職種は小学校教育(3名),青少年活動(2名),服飾,理科教育,体育(2名),柔道,看護師,コミュニティ開発です。
さて,ジブチ隊員紹介第4弾はこちらの方を紹介します‼
(ご本人の許可をいただいて掲載させていただいております。)
名前:塩崎 友恵
隊次:2018年度3次隊
職種:看護師
配属先かつ活動先:ディキル保健センター
私の活動の休日を利用して,塩崎隊員の活動先にお邪魔してきました。
首都ジブチ市からディキル市まで,バスで約3時間。
私にとって2回目のディキル訪問です。
塩崎隊員の活動を見て私が感じたことを3つに絞って,お伝えしていきます。
① 命と向き合う
ディキル保健センターは,ディキル市唯一の病院です。
常に患者さんが押し寄せていました。
実はディキル市は,首都ジブチ市よりもお隣の国エチオピアの方が近い距離にあります。
時折,エチオピアからもはるばるこの病院を訪ねてくる人もいるようです。
1枚目の写真は乳児の体重を計っているところです。
紐の上にはメーターが付いています。
体重によって,投与できる薬の量が変わってきます。
つまり,診察のための大事な一歩です。
赤ちゃんのお母さんも,側で見守っていました。
このあとドクターのところへ連れて行き,診察に入っていました。
看護師隊員はやはり,「命と向き合っているな」という印象を受けました。
ジブチは教育系の隊員が多いです。
私の活動先も,子どもたちはいつも無邪気に元気いっぱい走り回っています。
しかし,病院ではぐったりしている赤ちゃん。
注射で悲鳴を上げる子ども。
骨折で腕を吊っている男性。
子どもの病気やケガを早く治したいと切に願う母親。
普段は見ることのない,ジブチの現状がありました。
現在,塩崎隊員が主に活動している小児科病棟には,多くの子どもが入院しています。
低栄養や小児科疾病のため,治療が必要な子どもたちです。
昨年の10月と比べて患者数は多くなっているそうです。
病院ということもあって,やはりときには悲しい出来事もあります。
先日も乳児2名が,亡くなられたとのことでした。
まだ生後2カ月と生後16カ月の赤ちゃんだったようです。
日本だったら救えた命だったのかもしれません。
ジブチの地方ディキルでできる治療には限りがあるようです。
日本の医療技術を知っている塩崎隊員だからこそ,ディキルの病院でできる治療の限界に,悔しく思ったり,もどかしい気持ちになったりすることも多いのではないかと思います。
② スタッフの一員として
多くの患者さん,けれどもドクターの数は少ない。
よって塩崎隊員も含めた看護師は大忙しでした。
さて現場の様子。ドクターや薬品庫のカギを管理している人が(所用で?他対応で?)どこかに行ってしまうなど,
私も普段感じているようなジブチ人らしいところが,病院の現地スタッフにも少なからずあるようです。
ジブチの看護師は,日本の看護師よりも行なってよい医療行為の範囲が広いようです。
(※JICAの隊員はボランティアの立場であるため、任国での医療行為には制限があります。)
少ないドクターの数では手が回らないという現状から,そのようになっているのかもしれません。
塩崎隊員も薬を取りに行ったり,職員を探し回ったりで,気力だけでなく体力も使って日々の活動に熱心に取り組んでいました。
私が以前ディキルを訪れたときは,塩崎隊員もまだ赴任から間もない頃でした。
現状把握や語学力の向上に努めているところで,まだ具体的な活動は始まっていないといった様子でした。
しかし,あれから半年以上が経ち,今では病院の一スタッフとして活躍する塩崎隊員の姿がありました。
ドクターや看護師,患者さんの中にすっかり溶け込んでいる様子でした。
医療技術だけでなく,心の平穏を患者さんにお届けするのも看護師の役目なのかもしれません。
たしかに,病気やけがで苦しい思いをして来院し,病院でも痛みを伴う治療があるかもしれない。
そんな不安を抱えてやって来た患者さんに,「安心」を提供することはとても大事なことだと思います。
③ 環境改善に向けて
塩崎隊員の主な活動の一つとして,病院内の環境改善があります。
いわゆる「5S」(整理,整頓,清潔,清掃,しつけ)の活動です。
以前,薬品庫も見せていただいたことがあります。
比較的,整理整頓されている印象でした。
しかし,ある程度期間が経つと乱雑になってくるとのこと。
必要な薬品をすぐに取り出せる状況にすることで,業務の効率化も図っていけることでしょう。
先月,塩崎隊員は活動計画作成の会議を配属先と実施したようです。
前任の保健師隊員(世界日記の前執筆者でもあります)の活動を引き継ぎながらも,今後もますます活動の幅を広げていくことでしょう。
また,塩崎隊員もジブチ環境教育分科会のメンバーの一人です。
ディキル市の街の環境改善にも,分科会一同で知恵を出し合い,ディキル市民を巻き込みながら取り組んでいきたいと思います。
最後に,塩崎隊員に【活動計画策定を終えての気持ちと今後の展望】について語っていただきました。
「配属先に赴任して9か月が経とうとしています。
赴任して7か月目に活動計画策定にかかる協議を配属先とJICAを交えて行いました。
日々の活動では同僚とはフランス語,患者さんとはソマリの人とアファールの人がいるのでソマリ語,アファール語を交えて会話します。
私は語学が苦手で患者さんの言っていることが分からないことも多々あります。
看護師にとって患者の訴えが分らないというのがこんなに辛いのかと思い知らされて,自分に何ができるのかと悩むこともありました。
しかし,患者さんと意思疎通が図れたり,患者さんが外国人の私に相談してくれたり,入院時はぐったりしていた子供や乳児が治療を経て笑顔が多くなったり元気になったりする姿を見るといつも頑張ろうと思います。
活動計画策定を終えて同僚と5Sを日々の業務で取り入れて,処置台など使いやすいように工夫したり,入院患者のカルテの記入を行い,患者の治療に役立てようとしたりするなど地道に活動しています。
また,最近では有志による病院のゴミ拾いやディキルの小学校で手洗いの指導も同僚と始めています。
そして,嘔吐・下痢などで来院する乳児も多いので病気の予防について今後地域住民に啓発できたらと考えています。
考え方が日本人と大きく違うジブチ人と一緒に活動することは予期しないことの連続ですが,この与えられた機会に感謝しつつ色々勉強できたらと思っています。」
患者の気持ちに寄り添いたいという想いが,いつかディキルを,そしてジブチを変える力になることでしょう。
塩崎隊員,ありがとうございました。
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