2019/12/02 Mon
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124.ジブチ隊員⑤柔道
こんにちは。
2018年度1次隊,青少年活動隊員の遠藤浩之です。
今回はジブチ隊員を紹介する記事第5弾です。
現在ジブチでは12名の隊員が活動しています。
職種は小学校教育(3名),青少年活動(2名),服飾,理科教育,体育(2名),柔道,看護師,コミュニティ開発です。
さて,ジブチ隊員紹介第5弾はこちらの方を紹介します‼
(ご本人の許可をいただいて掲載させていただいております。)
名前:白石 匠
隊次:2018年度2次隊
職種:柔道
配属先:ジブチ柔道連盟
活動先:Stade Hassan Gouled(国立競技場),CDC Hadji-dideh(地域開発センター;ハジディデ)
私の配属先CDCと柔道連盟は国の管轄が青年・スポーツ省で同じです。
今回は活動の一環として,白石隊員の活動先にお邪魔してきました。
白石隊員の主な3つの活動についてお伝えしていきます。
①国立競技場での活動
柔道連盟が主に活動しているのは,この国立競技場。
大きなサッカーグラウンドや柔道場などがあり,スポーツ振興に大きく貢献している施設です。
ここは比較的富裕層のジブチ人が柔道を習いに来ているようです。
さすが,柔道を学ぶ場。
きちんと一礼してから畳に上がる生徒たち。
くつをそろえる子どももちらほら。
正直,これだけでも私にとっては衝撃的な光景でした。
私の活動先CDCでは,学習する場というよりは遊びの場としての機能の方が実質的に高いため,子どもたちがモノを大切にしたり,何かに敬意を払ったりするといった行為を見たことがなかったからです。
また職員がそういった指導をしている場も見たことがありません。
白石隊員の活動を見学していると,小学校4年生位の女の子が他の生徒の靴までそろえている姿がありました。
日本でも,ここまでできる子は多くないことでしょう。
確実に,白石隊員の活動成果・教育成果がじわじわとジブチの子どもたちに浸透していることが分かります。
白石隊員はジブチ柔道隊員の初代にあたります。
おそらくこれまで,一礼や履物をそろえるといったことは,ここジブチではそれほど浸透していなかったのではないかと思います。
本当に素晴らしい。
②CDCハジディデでの活動
白石隊員は,私の活動先CDC(地域開発センター)の一つでも活動をしています。
ここは,国立競技場よりも地域に密着した活動だといえます。
よくCDCに遊びに来る私が知っている子どももここで柔道を学んでいます。
ここでも,教育がきちんと行き届いているなと感じました。
決して広いスペースではないため,打ち込み・乱取りなど人数を分けて実施していました。
つまり何人かは,端で待っている時間ができてしまいます。
それでも,子どもでさえ,ある程度静かに待っています。
これも普段の私の活動先との比較になってしまいますが,CDCでのアクティビティでは子どもたちはいつも「私が‼私が‼」と順番を守らずに,というか「やりたい」という気持ちを抑えられずにいる子どもがほとんどです。
「遊び」に来ているか,柔道を「学び」に来ているかの違いもあると思います。
「活動推進員」と「柔道指導者」という立場の違いもあるのかもしれません。
CDCでの活動も,もう少し教育的要素を入れることができないか…というか,CDCの職員に「子どもを教育をする場」という意識をもってもらうことはできないかと考えさせられました。
③CDCでの啓発活動
今年,在ジブチ日本大使館からの「草の根無償資金協力」により,柔道用畳がジブチ柔道連盟を通してCDCに供与されました。
そこで,白石隊員に全CDCセンター長の週例会議に参加してもらい,畳の管理方法などの説明を行っていただきました。
CDC職員は柔道に精通している訳ではないので,そもそも「柔道とは?」といったところから説明してもらいました。
嘉納治五郎,精力善用,自他共栄…といったところから,あいさつの徹底,相手やモノに敬意を払う精神などなど。
柔道隊員が直々に説明してくれたことで,センター長の胸にも突き刺さったはずです。
技術指導だけでなく,「柔道を通して,人を育てる」。
そんな白石隊員の地道活動を垣間見ることができました。
日々の練習を通して,柔道連盟の職員も生徒も白石隊員から「大事なこと」を学んでいるはずです。
最後に,白石隊員に任期折り返し地点での気持ちを語っていただきました。
「私の職種である柔道は,日本的な価値観が強く反映された武道なので,外国人からするとその価値観は理解しづらいことが多いのだと思います。たとえば,礼節の部分です。座礼・立礼ともに頭を下げるという行為は,イスラム教のお祈りをするときの姿勢に似ています。イスラム教の人にとってその姿勢は,イスラム教の唯一神アラーに対してのみ行う行為のようです。しかし,相手への敬意を表すことは柔道にとって大切です。柔道の技を覚えたがる生徒も多いですが,それ以前に,なぜ礼をするのか,なぜ敬意を払うのかといった柔道への向き合い方も学んでほしいと思います。相手の文化を踏まえる。それでも柔道の大事な部分をおろそかにする訳にはいかない。協力隊の活動はやはり難しいです。
柔道や日本人の考え方に戸惑うジブチ人も多いと思います。それでも,中にはちゃんと理解してくれる生徒や懸命に努力する生徒もいてすごいなと感じています。任期は残り1年ですが,ジブチの柔道が良い方向に向かっていけるように活動2年目も自分のペースで頑張ります。」
白石隊員,ありがとございました。
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