2019/07/03 Wed
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63.ジブチ隊員③青少年活動
こんにちは。
2018年度1次隊,青少年活動隊員の遠藤浩之です。
今回は私以外のジブチ隊員を紹介する記事第3弾です。
現在ジブチでは11名の隊員が活動しています。
職種は小学校教育(2名),青少年活動(2名),服飾,理科教育,体育(2名),柔道,看護師,コミュニティ開発です。
さて,ジブチ隊員紹介第3弾はこちらの方を紹介します‼(もちろんご本人の許可をいただいて記載させていただいております。)
名前:関 温理
隊次:2018年度1次隊
職種:青少年活動
配属先:SOS子どもの村(NGO)
活動先:ジブチ市のSOS子どもの村
今回も自分の活動先の休日を利用して,関隊員の活動先にお邪魔してきました。
SOS子どもの村はNGO団体の教育機関です。
本部はオーストリアで,世界各地にSOS子どもの村は設置されています。
様々な理由で学校をリタイアした生徒が再び学ぶ機会を望んでここにやって来ます。
対象年齢は16~25歳。
センターでは,就職に役立つフランス語,英語,情報処理の3つのクラスが開講されています。
卒業後は,就職を希望する生徒だけでなく,バカロレア(日本でいう高校レベルの教育の修了を証明する国家試験)を受けて大学に行くことを希望する生徒もいるようです。しかし失業率の高いジブチでは就職先を見つけるのが非常に困難です。
そこで,現在このセンターでは様々な対策を講じているとのことでした。
訪れたときの感想を今回も3点に絞ってお伝えします。
①整えられた教育環境
まず驚いたのは,施設の美しさです。
ジブチの街中,特にSOS子どもの村があるバルバラ地区は非常にゴミが散乱しています。
ジブチでは残念ながらゴミのポイ捨て,唾の吐き捨てが悪しき習慣となってしまっています。
老若男女にかかわらず道端に,さらには建物内にもゴミのポイ捨て,唾の吐き捨てをします。
しかし,SOS子どもの村にはゴミが落ちていない。
壁への落書きもない。
トイレも清潔。
掃除婦さんが毎日きれいにしてくれているというのもあると思います。
しかし,利用している生徒たちが清潔維持に努めていました。
自分たちが利用する施設を汚してはいけないという意識があるようです。
さらに「バルバラクリーンプロジェクト」として,同僚,生徒とともにバルバラ地区の清掃活動も行っているようです。(1枚目の写真)
2枚目の写真はSOS子どもの村にある図書室の様子です。
日本のようにコード番号でしっかり管理し,整理整頓も行き届いています。
この管理力の高さはジブチでは信じられないほどです。
一緒に訪れた他の隊員と私は驚嘆してばかりいました。
②職員のモチベーション
整えられた教育環境の裏にはやはり職員の高いモチベーションが隠されていました。
つばの吐き捨て禁止のポスターが貼られていたり,授業中のルールを各教室共通して張り出していたりしました。
インターンとして働いている学生もいましたが,その方も非常にやる気に満ち溢れていました。
生徒がパソコン室の利用時間を過ぎても使い続けていたり,図書室が少しうるさくなったりすると,即座に生徒に声を掛け指導していました。
他にも,情報処理の授業を担当する先生は停電が起きても声を張り上げて授業を続行しているようです。
電気がなくてパソコンが使えないはずなのにすごい。
ここのSOS子どもの村を統括する責任者(学校でいう校長先生のような方)とも少しお話する機会がありました。
学識と気品がにじみ出ているような素晴らしい方でした。
③就職支援
英語の語学力を活かして,英語の授業支援などを行っている関隊員。
活動先の実態を把握してさらなる活動を開始しました。
4点紹介します。
(1)裁縫クラス
関隊員の働きかけにより,新しく裁縫の授業がSOS子どもの村に導入されました。
失業者の多いジブチで,手に職があるというのは大きなアドバンテージです。
布は安く手に入るジブチで,服飾・裁縫の技術は需要が高いと思います。
今後裁縫クラスが一時的な授業ではなく,任期終了後も継続されるような仕組み作りを現在配属先長と考案中だそうです。
(2)お土産プロジェクト
関隊員は,「お土産プロジェクト」の支援にも携わっています。
「お土産プロジェクト」とは,ジブチ人や難民による手工芸,絵画作品を販売し,彼・彼女たちの収入につなげるという活動です。
これまでも,ジブチ派遣のコミュニティ開発や女性(青少年)の職業訓練にかかわる活動に携わる職種の隊員を中心に継続されてきました。
(3)読書感想文活動
図書室利用促進のための活動である,読書感想文活動の実施もインターンの学生や同僚と協働して準備を進めていました。
関隊員の助言をもとに,インターンの学生がすばらしいワークシートを作成していたので,私も頂戴しました。
(4)グローバルシンキングクラス
週に一度,同僚とともに「グローバルシンキングクラス」というものを開講しているようです。
ここでは,日本語を切り口として,環境問題などのグローバルな問題を学び,考えるといったことが行われています。
このように,ジブチの現状,さらに生徒や配属先が求めていることを的確に把握し,実践に移す関隊員の活躍ぶりが垣間見られました。
職員のやる気,生徒のやる気。
そして関隊員のポジティブ思考と実行力の高さが相まって,素晴らしい環境が出来上がっていました。
新規のボランティア派遣とは思えないほどのスピードで,協働体制の構築及び配属先の改善が行われていました。
最後に,関隊員に現在抱えている想い,今後の展望について語っていただきました。
「赴任してから1年。自分ができることを全力でやってきましたが,なかなか上手くいかないことが多い毎日です。その中でも、配属先が求めていることを汲み取り,それを同僚と(時には生徒と)ああでもないこうでもないと,意見をぶつけ合いながら活動を創っていく毎日が,私にとってはとても楽しいです。素直で可愛い生徒が沢山いるこのセンターでの生活の中で,彼らへの愛情が日に日に増してくるがゆえに,厳しく指導することも多いです。遺児や孤児,そしてドロップアウトした青年たちが一縷(いちる)の望みをかけてこのセンターにやってきます。そんな彼らの行動や発言が少しずつ良い方向に変わっていく姿を目の当たりにすると,とても嬉しい気持ちになります。今では1年後,この地を去ることを思うと,とても寂しく感じたりもします。今後は、就職支援活動の一環として開講した裁縫クラス,図書館改善プロジェクト,バルバラクリーンプロジェクト、グローバルシンキングクラスなどの活動を通して,生徒の成熟度を高めるだけでなく,彼らの未来が少しでも明るいものとなるよう,残された時間を大切に過ごしたいと思います。」
ジブチ隊員のムードメーカーでもある関隊員。
ジブチ人も関隊員からたくさんの元気をもらっていることでしょう。
関隊員,ありがとうございました。
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