JICA海外協力隊の世界日記

マテ茶とおしゃべりでとらんきーろ

22)隊員紹介①看護師隊員

 みなさん、JICA海外協力隊の醍醐味と言えば、どのようなことが思い浮かぶでしょうか。外国に住むことができる、任地の人と同じような生活をし異文化を肌で感じることができる、任地の人と協働して活動することができる等々様々な点が思い浮かぶと思いますが、私が考える醍醐味の一つに隊員同士の出会いがあります。日本で自分の職業を続けていては出会わなかっただろう人と出会い、一緒に活動できる時間はかけがえのないものです。JICA海外協力隊に参加する人たちは発想豊かでアグレッシブな人たちが多く、私自身いろいろな人から刺激を受けています。そこで私の記事を読んでくれている方々にも素敵な隊員について知ってもらいたいと思い、インタビュー記事を書くことにしました。

 記念すべき第一弾は看護師隊員Sさんです。Sさんは2018年から1年半パラグアイで活動していましたが、コロナのパンデミックで一度帰国をし、再派遣制度で再度パラグアイに戻って半年間活動されていました。パラグアイの人の為に自分に何ができるのかと考え積極的に行動する姿に私自身学んだことが多く、とても尊敬している先輩隊員です。そんなSさんにインタビューをお願いしてみました。

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①活動について教えてください

 私は著者のまりこさんと同じでパラグアイの厚生省が医療サービスの質の向上を目的としてパラグアイ全土に配置されている【家族保健ユニット:Unidad de Salud Familia】(以下USFと略す)で看護師として活動していました。USFは病院ではなく、地域住民に対する第一次医療(健康の維持増進)のための施設です。例えば、すでに高血圧や糖尿病等の生活に起因する疾患を持つ患者に対しては継続フォローを行い、地域住民に対して予防できる疾患に対する正しい知識を伝えるために学校教育機関や地域の集会などで健康に関するプロモーションを行います。その他にもいろんな活動があります。私は同僚たちが日々計画的に健康に関するプロモーション活動が行えるように計画書や教材作りをしたり、時には同僚と一緒にできることを手伝ったりと後方支援を担っていました。

②これまでの経験(現在の職業になった理由、協力隊参加の動機等)

 私は小学校低学年の時に母の手伝いなどで地域の高齢者が集まる憩いの場所によく出向いていました。高齢者の方々と過ごし、お手伝いをさせて頂くことに楽しさややりがいを感じ、「人のために働きたい」と思うようになりました。また高学年では世界の伝記で「マザーテレサ」の存在を知ったことで看護師になり、いつか世界のどこかで医療を必要としている人のためにボランティアをしたいと思うようになりました。

 青年海外協力隊への参加の動機は、看護師4年目を迎えたときです。これから看護師としてどうしていきたいかと何度も考えていた当時、私よりも若い患者さんが治癒困難な病気で亡くなりました。患者さんは「必ず治療に打ち勝ち、自分の人生を生きたい」と生前私に話をしてくれていました。そして「やりたいときにやりたいことに挑戦し後悔のない人生を生きたい。」と背中を押してもらい、幼少期からの夢であった海外でのボランティア=青年海外協力隊に出会い、ボランティアをすることを決めました。

③活動の中で印象深かったこと

 印象深かったこと、、、いろいろあります。例えば、パラグアイは15食の食事をとる機会があります。診察中に患者さんの問診などが終了していない中、朝食を摂取しにいく同僚がいるため、最初は驚愕しましたが、それが任地では当たり前でした。

 またその他に一番印象深かったことは、同僚たちの健康教育の場での話術(スキル)です。私は人前で話す際に緊張もしますし、スペイン語とグアラニー語を話す必要があるため、いくら練習しても間違えてしまいます。そこで、いつも紙でカンペを持っていました。しかし、同僚たちは地域住民の対象者に応じて、同じテーマでも話し方を工夫したり、行動変容できるようなお得な情報を取り入れたりしていました。同僚の話し方、知識の豊富さ、そして落ち着いて堂々と健康教育を行う姿が、健康教育というよりも、地域住民と楽しく笑いながら井戸端会議しているような姿がとてもいい雰囲気で、印象深く、いつも素敵だなと思っていました。

④今後の目標

 ありがたいことに、私は2018年~2020年の1年半、そして2023年の6か月、合計2年間、2度パラグアイで青年海外協力隊として活動をさせて頂きました。2年間で出会ったパラグアイの家族、同僚、任地の人々には本当に感謝しています。日本では経験できないようなことも、様々な対象者と対話を繰り返すことで培ったコミュニケーション力や順応性、問題解決能力、自分の得手不得手など、自分自身を俯瞰できる2年でした。

 今後の目標として、いつか青年海外協力隊での経験やこれまでの看護師保健師としての経験を、国際地域看護を目指す次世代の看護学生さんたちに伝える立場になりたいと考えています。

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 Sさん、ありがとうございました。パラグアイに再度戻ってきた理由を聞いた時、日本で待機していた2年の時を経ても必ず戻ってきて活動がしたかった、前回パラグアイでお世話になった人たちに直接お礼が言いたいと話されていたのがとても印象的でした。その言葉通り、再派遣の6か月間は人との繋がり・活動ができる限りある時間を大切に過ごし、誰もがSはいつ寝ているのかと疑問を持つくらい活発に行動されていましたね。最終報告を聞きに行ったときは同僚・地域の方々にとても愛されていたのが伝わってきてこみ上げるものがありました。今後はこれまでの経験を次世代の人に伝えていきたいとのこと、Sさんの熱い想いが多くの人に届き、国際地域看護を目指す人が増えることを願っています。今後のご活躍も応援しています!

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