JICA海外協力隊の世界日記

チュニジア女性は逞しい!?

百間は一見に如かず --- 日本を知ってもらう  『にぽにか』の活用

JICAボランティア事業の目的の一つに「異文化社会における相互理解の深化と共生」があります。チュニジアの生活や文化を知ると同時に、日本の生活や文化についても理解してもらう、ということと理解しています。

チュニジアでも日本のアニメは大人気で、若い世代はアニメを通じて比較的等身大の日本を理解してくれていると思いますが、活動をしていると、40歳以上の方々は日本にほとんど興味がないように感じます。
この年代の方々は「日本」を社会科の授業で習っていたそうです(*)が、そのイメージは「綺麗な車」、「星のように技術が発達している国」、「お金持ち」といった少し偏ったものになっている気がしています。これらの少し偏ったイメージが、「金銭面や物質面の支援をして」と言われたり、ひいては自立した取り組みの妨げに繋がっているようにも感じることがあります。
*現在のチュニジアの社会科の教科書には、世界で2番目にGDPが高い国として中国のことが10ページ以上にも渡って掲載されていますが、以前はそのページに日本のことが記されていたそうです。

さて、事務所にもお客様が時々いらっしゃいます。農家の女性が多いのですが、私は、といえばいまだにチュニジアアラビア語もフランス語も上達せず、お客様がいらっしゃっても、相互理解の前に言葉にも話題にも困ってしまう・・・という悪循環。

日本に興味を持ってもらうにはどうしたものか・・・、と考えて思いつきました。そうだ、先日大使館からいただいた『にぽにか』を使おう!
『にぽにか』は、外務省が発行している、日本を紹介する雑誌です。日本の風景や建物、手工芸品、食べ物などがカラーでとても美しく紹介されています。

手元にあったアラビア語の『にぽにか』を配属先の事務所の机の上に並べました。

すると、早速効果あり!

事務所に農家の女性のかたが訪れて、待っていただいたりしている間、『にぽにか』をお見せします。そうすると、「綺麗ね」「これは何?」と色々なことを聞いてもらえて、話が弾むのです。「これは日本のアリス(結婚式)です」などと簡単な解説もできますし、チュニジアアラビア語を話せなくても、アラビア語で説明が書いてあるので、読んでもらって理解していただけます。

その中でも有効なのは、日本の「食べ物」や「着物」、「結婚式」などの文化の説明です。ここスースには日本料理屋はほとんどなく、皆さんは行く機会もありません。日本の文化の理解は尚更難しい。

しかし、『にぽにか』を使えば、楽しくチュニジアと日本の文化の比較もできます。

チュニジア人が好きな「マグロ」。こちらではオイル漬けの缶詰が主ですが、「日本人もマグロが大好きで、生を好んで食べます。とても美味しいの。これが寿司、刺身・・・、」と写真を見ながら紹介したりしています。

また、日本の着物はジョッバというチュニジアの民族衣装に構造が似ています。簡単な作りの大きな布を、帯を使って着るときに形作っていきます。「日本の着物はチュニジアのジョッバと似ているよ。」などと話をします。

それから、チュニジアでは結婚式がとても重要なもので、結婚式は1週間も続き、とても華やかです。日本では伝統的な結婚式は廃れつつありますが、『にぽにか』での「結婚式」の特集では、美しい水引で飾られた「結納品」が掲載されて、キラキラ光るものが大好きなチュニジア人の目を惹きます。

『にぽにか』の効用を色々と書いてまいりましたが、一番の効用は私の心の慰めかもしれません。冊子に掲載されている、とても美味しそうな、そして今は食べることができない日本食を見るたびに、条件反射で涎が出てきそうになります。「あー、日本のこんなに美味しいものをチュニジアの人にもぜひ知ってもらいたい」といつも思ってしまいます。もっと早く出会いたかった・・・。

Webサイトhttps://web-japan.org/niponica/index_en.htmlもありますので、ぜひ、皆さんも一度ご覧ください。

*写真はチュニジアの結婚式の様子。夜、ダンスパーティが開かれます。

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