JICA海外協力隊の世界日記

古田賢二のネパール大好き日記

私の業務計画

職場に配属されて1か月が過ぎた9月頃、私のDFTQCにおける業務プランについて、カウンターパート、上司や所長と話し合いを行いました。先方からは特段のリクエストはなく、何をしたいと思っているか私の考えを聞かせて欲しいとのことでした。私は長期的な視野に立った業務プランと2年間の任期中に行う業務プランを提示しました。長期的な視野に立った業務プランは、食品の安全を担保するために不可欠な事項のうち、ネパールに於ける制度的な欠落や取組のない事項について、「食中毒調査」、「国民の食事摂食調査」、「食品技術行政の地方自治体への移管」、「国民へのリスク情報の開示」への取組を提案しました。分かりやすく説明したつもりでしたが、みんなピンと来ない様子で反応は芳しくありませんでした。続いて、2年間の任期中に行う業務プランを説明しました。「実験廃棄物の分別収集と適切な処理」、「食品施設に対する科学的な監視の実施」、「残留農薬検査及び残留基準作成支援」、「食中毒監視体制の確立」を掲げたところ。実験廃棄物処理への取組を要請されました。DFTQCでは、ヒ素や重金属の検査、強酸や強アルカリを使った成分分析などを行っています。検査終了後、有害物質を含む廃液は未処理のまま放流されているため、検査に伴う廃液や廃棄物の処理を提案しました。本来の食品の安全から離れてしまうためじくじたる思いでしたが、DFTQCの検査レベルや職員の検査技術を知る絶好のチャンスと自らを納得させて「分別収集マニュアルの作成」、「実験廃棄物の適切な処理」、「焼却炉による処理と貯蔵保管」を目標に作業を開始しました。

一通りの準備が整った11月に、DFTQCにおいて食品の安全に係るシンポジウムが開催されました。この場で、私のカウンターパートから、昨年実施したカビ毒の調査について発表が行われました。この発表を聞いて、私は雷に打たれたように立ちすくみました。天から私の活動テーマが舞い降りてきたのでした。

カビが生産する毒素は、微量で発がん性、肝臓障害、神経障害、ホルモン作用等を引き起こすなど重大な健康危害要因です。日本を始めとする先進国ではモニタリングと汚染防止対策が実施されていますが、発展途上国においては緒に就いたばかりです。ネパールでは、FAO/WHOの支援を下に、カウンターパートが中心となって、2013年に322検体の検査を実施し219検体(68.0%)からアフラトキシンを検出しました。しかし、FAO/WHOの支援終了に伴い、調査は継続されていませんでした。カビ毒の検査方法が簡易法であることや調査は実態の把握に留まり汚染防止対策に及んでいないことから、当該調査を継続発展させていくことを活動テーマに決めました。

12月に大急ぎで事業計画を立案しました。先ず、カウンターパートと入念に話し合い事業計画の大筋について詰めました。そして上司と所長に説明し賛同を得ました。さらに、年度途中であるためDFTQCからは事業に必要な機材やサンプリングの経費の捻出が困難なことから、JICAからの支援を仰ぐため担当の調整員に説明し必要な申請を行いました。書類の作成や説明などに忙殺され、先に準備していた実験廃棄物の処理事業はしばらくお休みして、カビとカビ毒の調査及び健康被害の防止対策に没頭することになりました。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ