JICA海外協力隊の世界日記

古田賢二のネパール大好き日記

カビとカビ毒の調査計画

前回のブログにも書きましたが、DFTQC(私の所属先)において、これまで実施されてきたカビ毒の検査は、抗原抗体反応を用いたエライザー法という簡易法です。この方法では検査できる食品の種類が限られることや、様々な種類のカビ毒の検査をすることができません。食品の中からカビ毒を分離するためには、高速液体クロマトグラフィーという分析機器が必要で、さらに分離したカビ毒の量を測るためには蛍光検出器という付属装置が必要です。幸い、当DFTQCには高速液体クロマトグラフィーが配備されていましたが、蛍光検出器は設置されていませんでした。そこで、蛍光検出器の新規設置を含めて、検査計画をたてました。

題して「ネパール産食品のカビ毒の汚染実態調査と危害防止対策の樹立」です。

概要は次のとおりです。

1 フィールド調査を実施して、トウモロコシとピーナッツを主体に、収穫時期、乾燥方法や保存状態等の明らかな検体を収集する

2 ネパールの地理的、気候的、民族的多様性を踏まえた多様な検体を収集する

3 検査機器を整備するとともに検査技術の習熟を図り、広範なマイコトキシンの検査を実施する

4 マイコトキシンを生産するカビの生息調査を実施する

5 カビの生育防止及びマイコトキシンの産生防止条件を検討し、汚染防止対策を樹立する

6 農民、食品加工事業者、消費者へのカビとカビ毒汚染防止対策の普及啓発を図る


本計画にとって最も重要である高速液体クロマトグラフィーの蛍光検出器が、3月の初旬に設置されることが決まりました。機器の設置に先立ってフィールド調査を実施しサンプを予め収集しておくため、2月中旬にネパール東部地域に出張することになりました。

さらに、同じ地域に何度も出向くことができないことから、カビとカビ毒のリーフレットを携行し、サンプリングに協力していただく農家や地域の指導者の皆さんに、調査目的を説明するのと同時に普及啓発も行うことにしました。リーフレットはもちろんネパール語です。リーフレットを作成するに際して、読み手にとって分かりやすく興味を持ってもらえるよう、写真やイラストを多用することや一問一答のQ&A方式にすることにこだわりました。悪戦苦闘すること1か月、ネパール語の語学研修の先生にもご協力いただいて原案を作成し、カウンターパートに見せました。カウンターパートもリーフレットの作成に没頭し、残業も厭わず夜遅くまで作業をしてくれました。結果として私の原案は、基本レイアウトと一問一答の質問項目など骨組は残ったものの、ほとんど跡形もなく修正されてしまいましたが、十分満足のいく出来栄えに仕上がりました。印刷の入稿が遅れ間に合うか心配しましたが、なんとか出発の前日に仕上がり出張先にリーフレットを携行することができました。

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