JICA海外協力隊の世界日記

インドネシア日記~ソロ活動中~

#9 母との別れ

こんにちは!

今回はインドネシアにおける私の母、プロボさんとの思い出について書かせてください。

彼女は私の隣の家に住む、職場の同僚です。出会いは1月下旬。話し声が大きく、早口だったので、「なんでいつも怒っているのかな」「少し怖そうだな…」というのがプロボさんへの第一印象でした。

しかし、隣人であるということもあり、「ごはん食べた?」「どこに行くの?」など毎日、声をかけてくれたことから、私は少しずつ心を開いていきました。

彼女は早朝に私の家の扉をドンドンと力強く叩き、「ケン、ごはん食べな!」と美味しいごはんを持ってきてくれます。朝が苦手な私は眠い目を擦り、無理やりに笑顔を作って「ありがとうございます」と受け取っていました(笑)。

任地に来て2ヶ月が経過した3月上旬に、私はお腹を下したことがありました。そのことを聞きつけたプロボさんは、仕事中であるにも関わらず、真っ先に私のもとに駆け付けてくれ、「大丈夫?安静にしてね」と優しい言葉をかけてくれました。その後、家のドアノブには、消化によさそうなスープがかけてありました。

このように異国の地で一人で生活していると心細くなることもしばしばありますが、彼女が近くにいることで助けられてきたのです。

4月頃、インドネシアでは断食月明けに1週間ほどの大型連休がありました。予定が何もなく、一人で過ごすと伝えたところ、プロボさんは家族との集まりに招待してくれました。私にとって初めての国内旅行でした。

旅行中、私がまだ行ったことのなかった世界遺産「ボロブドゥール寺院遺跡群」に連れて行ってもらったり、自然を堪能できるアクティビティなどを体験させてもらったりと、3泊4日を楽しく過ごすことができました。

上の写真はプロボさん家族と夕食を共にしたときの写真です。美味しいインドネシア料理を食べながら、日本とインドネシアの文化の違いや、イスラム教徒にとっての断食の意味などを教えてもらいました。

この旅行は私にとって忘れられない経験となりました。

見返りを求めない、心からのおもてなしをしてくれる彼女に、今後恩返しをどういう形でやっていこうかと考えていた矢先、7月上旬、プロボさんが遠くの施設に異動することが発表されました。

まさに青天の霹靂です…

異動することがわかるとすぐに、私は彼女のところに赴き、「離れることが寂しい」、「感謝しています」とだけ伝えました。正確にはそれしか伝えることができませんでした。本当ならもっともっと伝えたいことがあったのに…。これほどまでに自分のインドネシア語のレベルが足りていないことに悔しいと思うことはありません。彼女の顔を見て話していると、思わず涙がこみあげます。

プロボさんは「私がしたことに何か間違いがあったらごめんなさい。こちらこそありがとう。」と涙ながらに言ってくれました。

言葉の壁はありながらも、お互いがお互いの気持ちを理解し合えている気がしました。

これが異動の1週間前の出来事です。

きたる異動の日。

たくさんの荷物や仕事道具を車に積んで、職場の同僚10名ほどでプロボさんを異動先まで送り出すことになりました。

片道4時間かかる道中で、休憩がてら晩ご飯を食べました。上の写真はその時のものです。別れの時を惜しむように、私はここぞとばかりに彼女の横に座りました。

新しい職場に到着し、最後の挨拶の際、私は1週間前に伝えたかった言葉の一つを伝えました。「あなたがずっと健康で、笑顔でいられますように願っています。あなたに出会えて良かった。」と。

今度は涙を流さずに言うことができました。

私ができる恩返しとは何でしょうか。いろいろと考えてみますが答えは出ません。しかし、一番大切なことは以下のことだと考えています。

まず、ここインドネシア で健康に2年間過ごすこと。

そして現地の人達と仲良く活動をおこなうこと。

どういった成果を上げられるのかはわかりませんが、健康であってこそ、ボランティア活動が継続できるものだと思うのです。

2年後、プロボさんに元気で、たくましくなった姿を見せることを目標に、このインドネシアライフを楽しもうと心に誓いました。

以上でプロボさんとの思い出を締めくくらせていただきます。

ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました!!

それではsampai jumpa lagi!(読み方は ”サンパイ ジュンパラギ”  意味は またお会いしましょう" )

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