JICA海外協力隊の世界日記

Habari Tanzania~タンザニア日記~

#7 ある日の活動(機械のメンテナンス)

活動先である職業訓練校の機械コースには、体育館程の広さの屋内実習場にたくさんの工作機械が並んでいます。その多さにまず驚いたのですが、さらに驚いたのは、その半数ほどが何かしらの不具合で稼働していないこと。

機械の多くは1960~70年台に中古品をヨーロッパなどから寄贈されているケースが多いそうで、定期的なメンテナンスが不可欠です。現場の先生から、「型式が古すぎてスペアパーツが手に入らない/または高額で手が届かない」ということをよく聞いていました。

今回メンテナンスをしたのは、「パワーソー」と呼ばれる鉄棒などをカットする機械。電動モーターによって自動で往復する強力なノコギリみたいなものです。また、ノコギリ刃の昇降には油圧が使われています。
昨年私が赴任した時には稼働していたのですが、いつの間にか使えなくなっていました。

7-1_powersaw.jpg
↑パワーソー

外から見て分かった問題は、
・油圧によるノコギリ刃の昇降が機能しなくなっている。
・油漏れが起こっている。
の2点でした。

分解して分かった原因は、
①オイルシール(ゴムパッキンのようなもの)を固定するための金属部品が欠落している。
②油漏れを防ぐためのOリング(環状ゴムパッキン)が1つ欠落している。
③油圧システムを調節するために必要なボルト1本が欠落している。
の3点。

なので対策は、
①→実習場の機械(旋盤)を使って金属部品を自作(図面はないので現物合わせのおおよその寸法で)。
②→Oリングを近くのお店に買いに行く(色んな人に聞きまわって2日間かけて手に入れました)。
③→機械コースの在庫品のボルトを使用。
となりました。

7-1_part.jpg
↑自作した金属部品

試行錯誤でかれこれ1か月弱を経て、ようやく問題なく稼働できるようになりました。

私自身、初めて触る機械だったので、学生たちと機械を分解して仕組みを知るところから始め、ああでもないこうでもないと手探りで進めていました。ただ、同僚の先生に「マニュアルがあるよー」とそれを受け取ってからは、物事が結構スムーズに進みだした気がします(もっと早く知りたかった)。マニュアルがなければ、「ココにはこの部品があるはず、、?」と推測でしか物事を判断できなくなります。


7_manual.jpg
↑使用したマニュアルの1ページ

今回の不具合の原因は全て経年劣化などとは関係なく、過去のメンテの際に分解し、再度組み立てる際にミスや紛失に気付かなかったことにより発生したものだと思われます。そして、他の機械でも同様の不具合は多いように感じます。あれこれ不具合の原因を推測する前に、まず「マニュアル通りに正しく組立てられているか確認する」ことが必要だと痛感しました。

また、小さな部品一つを買うにしても、日本ではネットで検索して豊富な種類の中から発注して、数日のうちに届きます。
ですがタンザニアではまだそのようなものはありません。近くの商店街に行ってお店を回り、しかも本当にぴったりのサイズがなく、「まぁ何とかフィットするからいいか」というケースもよくあります。今回Oリングを探し回った際に感じた不便さは、日本の便利さを再確認できた経験でもありました。それでもココでは、機械が少なくとも「動く」ことが第一なので、まずはそれを目指して日々活動していきます。

ではまた次回。

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