JICA海外協力隊の世界日記

微笑みの国から

カンボジアに進出する日系企業

私の業務活動のひとつに、日系企業との連携強化がある。良質な人材を探し、提供することが求められているが、日系企業が期待するレベルの人材を確保することはなかなか難しい。カンボジアの製造業分野では、全体の60%を超える縫製業に支えられ、単純労働者の大きな就職先になっている。一方、カンボジアに進出している日系企業は、自動車電子部品、電気・電子部品等々を製造しているが、相対的に技術者及び、中間管理者不足に悩まされている。

私は赴任して6が月間の間に、プノンペン市経済特区の日系企業を訪問してきた。この経済特区には40社を超える日系企業が進出している。カンボジアにある経済特区(全国に34区ある)の中で、最多の日系企業数である。「工場労働者」という言葉は汚い仕事、労働環境の悪さというのが一般的にカンボジア人が抱いているイメージである。このイメージを変えるのはなかなか時間がかかり、難しい。しかし、日系企業の持つ労働環境水準の高さ、労働者への待遇の良さが少しずつであるが、認識され始めている。こうした企業側の努力に答えられる公共雇用サービス機関としての役割を充実させたいと考えている。

海の見える町・シアヌークビル

10年ぶりに訪れたシアヌークビルに行くには、首都プノンペンから南へ、バスでおよそ5時間半から6時間かかる。出張で訪れたとき、スタッフに連れて行かれた懐かしいビーチは、昔の面影はなかった。10年前、白い砂浜に並べられたデッキチェアの数は、少なく、見渡す限りの白浜が目の前に広がっていた。海の家も少なく、のんびりと1日が過ごせた。物売りも遠慮がちに近づき、顔見知りにならない限り適度の距離感があった。今は、海岸に近い道路には、飲食店が立ち並び、海の家もびっしりと建てられていた。何より驚いたのは、その海の家の前がコンクリートで歩道が作られていたことである。確かに、歩きやすく、長いビーチの端から端までいけるが、反面、以前はのんびりと白砂の上を歩けたのに、デッキチェアが波打ち際に近いところまで並べられ、浜辺の空間が狭くなってしまった。こんな風に変わってしまったシアヌークビルには来ることもないかと思っていた。

ところが偶然にも、昔ながらにのんびりとでき、白浜が広がり、デッキチェアに寝転び1日を静かに過ごせるスポットを見つけたのである。喧騒のビーチから2キロほど離れたところにポツンと1軒、バンガローハウスがあった。人気のロッジらしく、多くのヨーロピアンが宿泊していた。私たち夫婦は散歩が好きで、朝早く白浜の上を裸足でどこまでも歩いた。それは、10年前の、今は喧騒のビーチに変わってしまった海岸を歩いたときと同じ感覚(海のにおい、潮風、さわやかな空気)であった。

外国人観光客が増え、船着場を新設し、近くの島々の簡単に行けるようになり、過ごし方の選択が広がった。にぎやかなビーチを好む観光客や地元カンボジア人がいて、静かなビーチを好む観光客がいる。この選択の範囲を狭めないでほしいと願う。

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