JICA海外協力隊の世界日記

微笑みの国から

スウェーデンから来た同僚 ?

2015年、7月中旬、私は初めて勤務先であるNEAを訪れた。与えられた事務室は広くとても一人では使いきれないほどであった。私のデスクは、一番入り口に近い一角にあった。そして一番奥の一角に座っていたのが、ラーズさんだった。スウェーデン公共雇用サービス機関に勤務し、国際協力プロジェクトのリーダーである。

20132月にスタートしたプロジェクトは、主に農村地域に住む若者層へのスキルアッププロジェクトである。20173月に終了するが、この間3ヶ所の地方ジョブセンターと3ヶ所のユースセンターの開設に資金援助してきた。

2012年、カンボジアを訪れたラーズさんの第一印象は、タイとベトナムを混ざり合わせた国だったそうだ。スタッフを含めカンボジア人は一般的に、親切で、笑顔を絶やさず(時として、その笑顔が曲者であることもある)、人間関係は作りやすかったようだ。しかし、高社会福祉制度を持つスウェーデンから来た彼は、貧富の差が大きいこと、彼のアパートで働くメイドや掃除人たちの卑下さ加減に戸惑うという。人はみな平等であると信じてきた彼にとって、大きなショックであった。

将来のカンボジアについて、政治におけるリーダーシップが正しく発揮できるかどうかにかかっていると考えている。民主主義が進み、市民社会が確立されれば、カンボジアに未来はある。もちろん教育改革も進められなければならないが。

仕事が終われば、好きなスイミング、部屋で読書や音楽を聞いて楽しむ。中国に旅行に行くのが好きで、カンボジア正月休みを利用して、4月の中旬に1週間の旅行に出かける。食べることにも楽しみを見出している。私は初めて聞いたサラダ料理であるが、バナナの花を細かく刻み、野菜、香菜、豚肉を混ぜ合わせたサラダが美味しいらしい。親指を立てて、ウインクしながら、チガイン(クメール語で美味しいを意味する)チガインとうれしそうに語ってくれた。

初めて出会い、お互いに自己紹介をした後、これからは独り言を言わないですむ、話がしたければ君がいるからね。一人ぼっちの生活から開放されたね。とてもうれしい、と冗談口に話が弾んだことを覚えている。

 

妻は草の根外交官(随伴者である妻からのレポートです)

私は、去年の8月からタヤマビジネススクールで、日本語のボランティアをしている。10年前に、カンボジアに夫の随伴で来た時も、保健省のスタッフに日本語を教えていた。それは、日本に定住する外国人に日本語を教えるボランティアを信州で11年間していた経験が海外で生かされたのかもしれない。

週に一回行くタヤマビジネススクールには、現在400名近い生徒が昼と夜の部に、日本語を習いに来ている。タヤマビジネススクールは、日本語を学びたい生徒に、無償で日本語と、日本の躾や礼儀作法を教えている。私が教室へ入ると、拍手で迎え、一斉に起立して、教室が割れんばかりの挨拶をする。質問に答える生徒は、椅子を引いて立ち、「お疲れ様です」で始まる。彼らの多くが、日本語を習得した暁には、日本企業に就職する希望があるからだ。

日本企業では、電話の受け答えに必ず「お疲れ様」という言葉が出る。タヤマビジネススクールではそれを日本語の授業の中にも入れて、生徒に身に付けさせている。

この学校の先生はカンボジア人で、日本語が話せる。私が唯一日本人の教師だ。私の話す一語一語を理解しようと、彼らは目を輝かしながら、授業を受けている。その姿に感動しながら、教室の温度が35度を指しても、汗が滝の様に流れ出ても、来週もまた、彼らの輝く目と、教室が割れるような元気な声を聞きたい、見たい一心で私はタヤマビジネススクールにに通うのである。

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