JICA海外協力隊の世界日記

コロンビア 新発見!

活動の振り返りとこれから

 ボランティアの活動期間も残り半年を切り、これまでに行ってきたことを振り返ることは今後の活動を進めていくにあたり有意義だと思い、休日を使ってまとめてみることにしました。

【2018年】
 11月にSENA鉱業センターに配属後、活動の課題を把握するために過去の資料を読むことから始めました。炭鉱からの廃水を化学的に処理し、環境基準に適合する設備をつくることが私の仕事ですが、2016年に鉱業センターがコンサルタントに依頼して作成したプラントの計画は、鉱山廃水の浄化のためには根拠に乏しい記述が多く、機能しないと感じました。また、強酸性で鉄分を多く含むという問題点も、実際の廃水の分析値を見ることで確認することができました。

【2019年6月まで】
 年明けから現場の廃水を使ったラボ試験を開始しました。いくつかの試薬を使いアルカリ側に調整することで、理論通り鉄分を低減できることが実証されました。この頃の問題点としては、鉱業センターの主目的が職業訓練であるという性格上、訓練生の実習が優先され、思うようにラボ試験や分析ができなかったことでした。時間や場所をなんとか調整して得られた実験結果を基に、次のステップであるパイロット試験を想定した装置を見積もり、カウンターパートに購入を依頼しました。また、日本の鉱山の廃水処理技術を紹介するため、大学などでの講演会も開始しました。

【2019年12月末まで】
 7月の健康診断一時帰国の後、パイロット試験用のポンプなどが揃っていることを期待して職場に戻りましたが、残念ながら購入はおろか予算取りもされていないことがわかりました。幸い遊休プラントを改造して廃水処理を行う別のプロジェクトでの予算は下りていたため、パイロット試験を省略して一足飛びに実験室の1万倍の大きさの本プラントを目指すことにしました(通常はこんなスケールアップはしません)。実験室での残試験と平行して11月頃からプラントの工事が始まりました。年内を期限に処理水の分析用サンプルを採取する必要がありましたが、電気工事が間に合わずポンプや撹拌機が使用できないため、中和剤や凝集剤は重力でタンクに添加するという原始的な方法で年も押し詰まった12月28日になんとか完了することができました。
職業訓練のための組織であるため、化学や環境に関する教員、電気や土木に関するエンジニアは人材豊富ですが、一つのプロジェクトを実施するための担当者やスケジュールが明確になっておらず、リーダーが個々のエンジニアに依頼して回るような状況でした。

【2020年6月の帰国まで】
 なんとか年内にサンプルは採取できましたが、本格的にプラントを稼働させるには課題が山積しています。特に問題なのは予算承認から物品購入や工事実施までの契約のための期間が2ヶ月以上かかるということです。コロンビアの商習慣なのか、SENAの購買手続きなのかわかりませんが、環境対策のような急を要するテーマには柔軟に対応できないものか、と日本の感覚で思ってしまいます。
まだまだ困難なことが待ち受けていますが、残りの任期中に設備を稼働させることを目標に、知恵を絞っていきたいと思っています。

 今回はこれまでの振り返りとこれからの活動について考えたことを書かせていただきました。

 冒頭写真:処理後の水はこうなるであろう、という実験風景です。

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