JICA海外協力隊の世界日記

特派員はやじいのバヌアツ通信

海の病原プラスチィック展

ポート・ヴィラの街から東方に伸びるパンゴ通りを3km(40-50分)程歩くと、バスチィン・スーザン財団のギャラリー(美術館)があり、ここでSIK PLASTIK LONG SOLWOTA(ビスラマ語:直訳すれば”海の病原プラスチック”)の展覧会が10月6日~11月26日に開催されているとの情報を入手していたので、是非みてみたいと思っていましたがなかなか機会が見つけられず、最終日ぎりぎりに思い切って訪れてみました。写真1と写真2の背景にみられるように、ここでは普段バヌアツの諸島を人間の顔や動物の体に見立てたアート風の作品で飾られているのですが、特別展の期間は人間が廃棄し海に漂うプラスチィックが海をどんなに汚しているかを警告する環境保全教育の場を提供していました。

私が訪れたのは展覧(Exhibition)最終日の土曜日であったため誰一人といず私一人が見て廻ることとなりましたが、ギャラリー内の至る所にはプラスチィックで作ったクラゲが吊り下げられていました(写真2)。クラゲそのものは必ずしも海の病原となりうるとは限りませんが、日本でも8月の末に発生するクラゲは海をよごす厄介ものとして扱われており、何よりも海の環境悪化に伴って大発生する越前クラゲは漁業者にとっては漁業を壊す天敵とみなされています。こんな悪い例にならって、バヌアツでもクラゲの発生は害あって益なしとみなされているようです。

写真3は、プラスチックに限らず人間が海に廃棄したものを集めてポスター風に展示したものです。なるほど“これだけ多種多様の人造廃棄物が海に漂っており、海をよごしているのだなあ”とうなずけるような傑作ものです。バヌアツの海はかって私が暮らしたことがあるタイやマレーシアの海と比較すれば、比べものにならない程きれいですが、それでも最近少しずつ汚れが目立つようになってきています。プラステチックに代表される人造廃棄物は、海の美環境を汚すばかりでなく、海の生物の寿命を縮めることにもなります。例えばウミガメの大好物はクラゲですが、ウミガメは海に漂っているプラスチィックをクラゲと見間違って食べる例が沢山見られます。死んだウミガメのお腹を裂くと本当に大量のプラスチックが出てきます。こういった海の環境保全の展示会がバヌアツにも拡がってきたことは大変喜ばしく感じるとともに、更により多くの皆様に浸透していくことを願うばかりです。

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