JICA海外協力隊の世界日記

a journey to the better future

#2 ある日のできごと。 New Year started!

朝出勤すると、ある子どものお母さんが活動先の建物の前にいました。なにやら電話で話しているようでした。

「Oh, How are you doing?」 と片手でハグしてくれます。たしか、あけましておめでとうのあいさつもしました。

「あとでちょっと話したいことがあるから、時間ある?」と私。

「Yeah,いいよ」とお母さん。

このお母さんは私が配属されてからずっと通ってきている子のお母さんです。
Parents meetingなどで何度か会っていて、子どもがなかなか話さないこと、友だちと遊ばないこと、偏食があることなどを心配しているようでした。ちょっと声の大きい、ちょっと勢いのあるおかあちゃんです。

子どもは私と遊ぶことをとても楽しみにしてくれていて、最近遊びを通して摸倣ができるようになっていることに気づきました。この9か月ほどで目を見張るほどにコミュニケーションのスキルが向上しています。

お母さん「さあ、あなたの話を聞こう」

私「○○、最近よくまねができるようになった。私と遊んでるとき、私が遊具をたたくと○○もまねしてたたくの。これってコミュニケーションですごく大事なこと」「口真似もしてくれるの、こんなふうに(口を膨らましたり、プット吹いたり)」

お母さん「Yes, 私も最近○○が手をたたくようになってるの知ってる」

私「そう、真似して手もたたけるようになった」「ここから真似をして口から音を出すというのを覚えていけるようになるかもしれないよ」「おうちでやってほしいことはそういうふうにまねをして遊んでみること…」

お母さん「で誰が○○のspeech therapyをしてくれてるの」

私「…(私はspeech therapyではないんだけど…)trying to do, 私は言語聴覚士ではないけど、コミュニケーションを見てるよ」

お母さん(せっつくように)「○○はしゃべろうとしてる?」

私「確かではないよ。しゃべれるようになるには音を分析することや 自分がどんな口の形をしないといけないかわかる必要があるから(でもコミュニケーション意欲は確実に育っている…)」

お母さん「~~してて××して○○が理解してると思った。どうやって理解してるのかなと思った」(少し聞き取れませんでした)

私「○○は状況をよくわかっているから、耳から聞くだけじゃなくて目で見て理解しているところもあるよ、あとgive, get, come, goとか一語だったらジェスチャーと一緒に理解していると思う」

お母さん「OK また状況がどうなってるか、共有しよう、またね」

このお子さんはジャンプやジャングルジムに登るのが好きで、筋肉や骨から感じる感覚である固有受容覚を求めているなぁと感じています。そういう感覚を取り入れながら体を動かすことを通して一緒に遊ぶうちに、私にも興味を持ってくれるようになり、私がしている固有受容覚を使った遊びにも興味をもってまねをしてみようと思えるようになったことはちょっと変化ではないかなと思いました。口の動きなどもよく見てまねをしてくれるので、自分の出した音や口の感覚を比較したり、そんな遊びから発話に繋げていけないか…と考えました。言語聴覚士ではないので、詳しいことはお手上げになるのですが…。お母さんとの会話ですが、なんとなく話がかみ合わず、どうしたらいいかなと考えるきっかけになりました。背景知識ももちろん違うし、日本語ほど細かく説明するのも難しいです。私の配属先は言葉が話せない子が多く、speech therapyを希望しているお母さんも多いです。しかし、ジャマイカにいる言語聴覚士は2人と聞いています。まだ会ったことがありません。多くの療法士はプライベートの施設で働いているため、費用も高いです。けれど、もちろん話せるようになったらそれでいいのではなくて、相手のしぐさや表情や声のトーン、スピードなどから間や感情を読み取りながら返すというやりとりも大事になってくると思います。そのきっかけづくりとして遊びを通して相手に興味を持つ、自分のしてほしいことを上手に伝えるなど作業を通して学べることを中心に作業療法では取り組んでいけたらと思います。私自身も作業療法の技術やお子さんにとって楽しい遊びの考案、やりとりのスキルも求められるので、こどもとうまくいくこともあればうまくいかないこともあり、私自身もたくさん学び成長する必要があります…(笑)

お母さんに対しても、英語の上達はもちろん、実際に見に来てもらって説明するというのもやっていきたいと思います。

もう一つの言葉の壁はパトワ語(現地語)です。お母さんはスタッフとはパトワ語(現地語)で話していて、英語より親しみがあるのだろうなとも思います。スタッフにも入ってもらって補足説明してもらいながらできたらと思います。

この日一番心に残っていることは、給食での小さな幸せ。
その日の給食はスパゲッティでいつもより子どもたちの食がすすんでいました。
私は他の子のスプーン操作の練習をしていたのですが、「マミー」など数語しか話せない女の子がいて、私にカラになったお皿を見せてきました。
「もっとほしいの?」と私。 うなずくその子。
キッチンに行って余分にあるかを尋ねたのですが、その日はないようでした。
他に持っているお菓子も確認したのですがない様子。

しばらくしてからその子が「マミー!」と私を呼んで少しだけスパゲッティの入ったお皿を見せてくれました。「わぁ、もらえたの!よかったね~」その子はうなずきながらとてもうれしそうな笑顔を見せてくれました。
そんな小さな気持ちの共有に幸せを感じました。

写真はセンターの外観です。かなりのどかなところにあり、気づいたらそこで牛が草を食べているときもあります。

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