JICA海外協力隊の世界日記

a journey to the better future

#3 ミス、チン

ジャマイカの人たちは奴隷制の時代に西アフリカから連れて来られた人が多いと言われており、おそらく他のカリビアン地域に比べてアフリカ系の人が多いです。肌が濃くて、カーリーヘアの人が多いなと思っています。私は、お肌がすべすべで髪はねじるとゴムなしで止まるので毎日毎日見ているとなんだかうらやましくなってきます。アフリカ系といっても、その歴史の中で中華系やインド系、ヨーロッパ系の移民も受け入れており、少しインド系よりの人かなと思う人もいて、いろんな人種のミックスだろうなと推測しています。また配属先のスタッフも祖父はインド系だと言っていました。

 日本にいるときは人種についてあまり意識したことがなかったですが、こちらの人はraceが気になるようです。もしかしたら黒人として今まで差別されてきたというのもあるかもしれません。買い物をしていたら「ぼくたちはblack、肌が白い人のことはwhiteだけど、あなたは何?」と聞かれて、「うーん、、、yellowかな?」と答えたこともあります。


 私の任地では中華系のスーパーでは中華系の人が働いていることはありますが、ほとんどの人は車を持っているので、町では見るからにアジア系の人や肌の白い人が歩いているのはめずらしいです。
そして、ジャマイカに人は人を見た目で呼ぶことが多いようで太っている人をfat manと呼んだりします。
日本の中で今まで私は日本人であることや肌の色をそこまで気にしたことがなかったのですが、ここでは歩いているだけで「ミス、チン」(中国人)と呼ばれます。容姿があきらかに違うため目立つようです。そしてジャマイカ人にとっては日本人も中国人も同じと思っている人も多いようです。
 
 「ミス、チン」と呼ばれた時の反応は人それぞれ違うと思うのですが、私は最近は無視しています。少し前までは「Hi,」など気前よく手を振って返事をしていたのですが、友だちになってほしい、電話番号を教えてほしいなどしつこく言われたこともあって応えるのが嫌になりました。
だれもジャマイカ人同士では知らない人にそんなふうに声をかけていないし、おそらくあまり深く考えず絵本“ウォーリーを探せ!”のように、珍しい中国人見つけた!と思ったことがつい口から出てくるのかなと想像しています。ジャマイカ人にも何度か話題に出したことがありますが、ジャマイカンカルチャーだよと言われることが多いです。でもなんだかあまりいい気持ちがしません。
ジャマイカでは通りすがりに知らない人にも「morning」など挨拶をする習慣は少なからずあるので、「ミス、チン, are you all right?」などと聞いてくれる人は挨拶なのかなと思って「Yes, thank you」と答えています。

ミスチンの話題が長くなってしまいましたが、ある朝通勤途中にメイン通りを歩いていたら、「ミスチン」と呼ばれました。いつものように無視していても何度も大きな声で「へーいへーい」とずっと呼んできます。
なんだろうと思って振り返ったら、職場の子どものお母さんでした。
子どもを送るついでに私も乗せて行ってくれようとして呼んでくれたのです。「ミスチン」と呼ばれて無視したことをちょっと申し訳なく思いました。私は歩いて30分かけてマンデビルのタクシー乗り場まで行き、そこからタクシーに乗っているので、全部で通勤に小一時間かかります。なので途中で乗せてもらえるのはとても助かり、また日本でもあまり患者さんの家族にそんなふうにしてもらったことはないので、ジャマイカの人たちのそういうちょっとした親切に心が温かくなることがたくさんあります。

これまでもほかのお母さんにも何度か歩いている途中で呼び止めてもらって一緒に乗せて行ってもらったことがあります。
ジャマイカ人の多くの人は日本の中古車に乗っています。すごくボロボロになっても使っていることもあって、車の正面のライト付近から下が全部剥がれていても使っているのを見かけたこともあります。ある子どもの家族の車もハンドルのクラクションのところが取れていて配線がみえていたこともあっていろいろ考えさせられました。まだ家に車があって、子どもが学校まで送ってもらえるだけでも少し恵まれているほうだと思います。障がいの重い子は家から出られていない子もいるようです。また通学の交通費がかかるので毎日通えないという子もいます。実際に私の配属先にいる13歳の子は今年初めて学校に行ったという子がいますし、昨年のイベントで17歳の息子がいるけど一度も学校に行ったことがないというお母さんにも出会いました。

お母さんが呼び止めてくれたその子は隣の県から毎日1時間かけて車で送ってもらってきています。お母さんとも初めてちょっと車の中で話をしました。Basic school、幼稚園までは地元の学校に行っていたそうですが、その先に行くところがなくて私の配属先まで通ってきているようです。受け入れている学校の数もまだ足りていないようです。

「ミスチン」と呼ばれることが通勤途中だけでも3,4回あってすごく嫌でストレスに感じるもあれば、あんまり言われずなんとなく聞き流して気にしていないときもあって、そのときのイライラ度はそのときの私の心の持ちようでもあるなぁと思います。

そして、こうして垣根なく、ジャマイカでよくしてもらっていることもたくさんあって本当に感謝しているし、私も日本に帰って外国から来ている人にあったら以前よりもっと困っていることはないか、寂しいおもいをしていないかなど気にかけてあげることができたらと思います。

写真はマンデビルの中心部アップタウンの様子です。左が生鮮食品を主に売るマーケット、右は商店。朝なので人通りが少ないように見えますが、いつもたくさんの人がいて賑わっています。もう少しわかりやすい写真をのせられるよう、がんばります…

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