JICA海外協力隊の世界日記

a journey to the better future

#11 basic school

明けましておめでとうございます。

更新が滞ってしまい、申し訳ありません。

私は8月で任期を終了し、特別登録制度を利用して、任期終了後から3年の間に派遣が可能になった時期に再派遣を目指すという選択をしました。

現在は地元の市の障害児者支援センターにて作業療法士として外来作業療法と児童発達支援事業に通園されているお子さんの作業療法的な視点での介入を行う仕事をさせていただいています。日本で障害を持ったお子さん、親子通園、障害を持った子どもの発達や地域で生活することを支える仕事に携わるのは初めてで、毎日大変ですが学びの日々です。

3月に帰国してから、オンラインで同職種との交流や活動報告会、JICAの研修を通して活動について振り返る機会がたくさんありました。

現在の心境についてはまた追って記せればと思います。

ジャマイカは12月まで学校が閉鎖されていましたが、1月より政府に認められた百数校が再開されることになったようです。配属先の子どもたちも3月からずっと自宅待機でしたが2月から段階的に再開される予定と聞いています。学校が閉鎖されてから、もうすぐ1年。自宅待機中子どもたちや家族がどう過ごしているのかはわからないのですが、同僚が毎日課題を伝えて家で行っているようで、時折音声などを送ってくれます。

今回は、もう1年ほど前になってしまうのですが、以前書き溜めていて投稿できずにいたジャマイカの地域のbasic schoolを訪問した時の様子を記しておきたいと思います。読んでいただけますと幸いです。

2020.2.19

Georges valley basic schoolに行かせてもらった時のことです。

配属先CBRJにボランティアで来ている方が運営の相談役として関わっている幼稚園ということでお願いして連れてきてもらいました。配属先から車で5分ほどのガタガタ道の途中にあります。

ジャマイカのbasic schoolは日本でいう幼児教育で、3歳から6歳の子が通うそうです。多くは教会が運営していると聞きました。

ここの先生は3人、子どもは3つのクラスにわかれています。どの先生もにこやかで親切。役職はわからないのですが、一番年長の先生は声も大きく押しの強い、パトワ語で早口で話すジャマイカのおばちゃん!という印象。

朝からだいたい時間割通りに進んでいきます。朝の会ではたくさん歌を歌っていました。ピアノがなくても上手にリズムや音程を先生が誘導できているのがすごいなぁと思いました。私は自己紹介をさせてもらいました。「(先生)日本は何食べるの?」「(私)白いごはんだよ」「(先生)ヤムやスイートポテトはないんでしょ」「(私)スイートポテトとアイリッシュポテト(じゃがいも)はあるよ」「(先生)日本からジャマイカに来るのにはこのあいだ勉強した重要な書類、パスポートが必要なんだよ」先生の振ってくれる説明と質問がおもしろかったです。

それからクラスに分かれてそれぞれの課題に取り組みます。私はその間を行ったり来たり自由にさせてもらいました。だいたい朝のメインのクラスはサークルタイム30分、勉強の時間1時間。そのあと外遊びなどがあります。

3歳児のクラス。子どもが7人に先生が一人。 フルーツに対応する色の線繋ぎ。次の時間に、 "f"の発音の練習、”f”に関する歌、そのあと”Fly”鳥が手を動かして鳥が飛ぶまね、そのあと“Father”の絵を描くと“f”に関連するアクティビティーが進みます。子どもが飽きないようにすぐにトピックに移る、クラスをさらに半分に分けて、1グループ目の3人に教えている間は2グループ目の4人には塗り絵をさせるなどクラスマネジメントが上手でした。外遊びの時には、数字のカードを一つずつ持たせて番号が呼ばれたら滑り台を滑っていいというルール。子どもたちはあんまり数字をわかっておらず、先生が答えを言ってその番号を持っている子を誘導しているように見えました。

4歳児は、5人。実際のキュウリ、キャベツ、レタス、玉ねぎ、ヤム、キャッサバ、ビートルーツなどを用意していました。食べられるもの、洗って火を通したら食べられるものを先生が順に説明し生徒も知っているものや先生が教えてくれたことを復唱したりしていました。勉強の時間では、3つのグループに分かれて①“J”の大文字、子文字を短い棒を組み合わせて作る、②先生とJのつく言葉の入った歌を歌う、③8をノートに書くというのを行い、終わったら別のグループに移動という流れでした。午後のクリエイティブな時間では、ヤム芋に模した画用紙に色を塗る作業。砂が張り付けられている楕円形の紙に茶色と黄色の絵の具を塗っていきます。子どもは先生から筆を絵の具がつけられた状態で受け取ります。筆はポンポンとおくように、塗る箇所も指定され、子どもはほぼその通り行っていました。外遊びは小さい敷地の中にジャングルジム、ブランコ、シーソーがあり5メートルほど離れたところに小さな滑り台があります。先生の指示でこの遊具で遊ぶというのが決まっており、子どもはそれに従って遊んでいました。先生の指示通りにしなればならないことが多く、自分で何かを考えて探索していくという場面が少ないなと思いました。

5歳児のクラスは6人。サークルタイムは社会のような授業。「水の上を走る乗り物」というお題でした。子どもからboatshipなどが出てきていました。教科書にはほかに筏や水上バイクなどが書かれています。教科書を見るより先生が前に出て言葉で説明していることがほとんどで、生徒は先生の話を聞いて、先生の質問の正解に合うように答えるというものが多かったです。マンデビルは海に面しておらず、頻繁に海にいけるような家庭ばかりではないと思うので、このなかで本当に水上の乗り物を見たことのある子どもは果たしてどのくらいいるんだろうと思いました。勉強の時間では4本線の書かれた黒板に短文を先生が書き、それを自分のノートに写す。その後足し算の練習。10までの足し算がノートに書かれており子どもはその数字の下に数字分棒線を書いて数えていく、数字と棒線が一致していない子もいました。またできないとすごく怒られて泣いてしまう子もいて、厳しいなと思いました。

昼食のあと休憩タイムというのがあり、生徒は15分ほどいすに座って顔を伏せ静かにしなければならず、それができない子は先生に注意されます。

一人だけ、ずっと同じところに座っておらず、ほぼ一日中それぞれのクラスを行ったり来たりしている子がいました。私にも興味を持ってくれて、話しかけてきたり隣に座ろうとして来たり。先生はその子のことをAutistic(Autism:自閉症、先生はその子のことを自閉症の傾向があると伝えたかったのだと思います)と言い、その子の行動をむやみに制さず、他のことは違う対応をしていました。しかし、壁の掲示物で遊んでしまって砂を床にばらまいたときには一度ひどく怒られているときもありました。渡されている課題も本人には難しくできていないものもありましたが、同じクラスの他の子より易しいものをしていました。

1時半ごろから親が迎えに来て生徒は帰り始めます。そのころ先生にいろいろと質問させてもらいました。それぞれ学年ごとにカリキュラムがあり、先生は毎日lesson planを作って授業に取り組んでいるとのこと。手書きで毎回丁寧に書いており、生徒が机に向かっているときなど隙間時間を見つけてひたすら作っていました。例えば4歳児のクラス。カリキュラムのなかに単元で学ぶことや推奨されるアクティビティー、学ぶべきボキャブラリーが書かれています。それに合わせてこんなトピック、こんなことを伝えるということが1つの学習でノート1ページに渡ってびっしりと書かれていました。とても丁寧に説明してくれてありがたかったです。ちなみに”e”は線と線の間に“c”を書いてから線をもう一本足すというように教えるそうです。またヤムの絵を書いていた授業の学習目的は、「創造性をはぐくむこと」「素材や感触を感じること」だそうです。創造性とは何なのか、カリキュラムの解釈が難しいなと思いました。このクラスの次の単元は「乗り物」。次のタームでは「コミュニティー」について学ぶそうで、コミュニティー内のfarmerを訪ねることもあるそうです。おもしろいですね。

前述の同じところに座っているのが苦手そうな子の捉え方や対応について先生の考えを知りたかったのですが、マンデビルまで一緒に送ってくれるという人を待たせてしまっていたので断念しました。その方も退職後この学校の相談役、ボランティアをしているそうで作業療法のことなどについて尋ねてくれました。ジャマイカの文化を知ることが大事だと思うんだと伝えると共感してくれて、「普通なら見学したらそれでおわりだけど、あれはどうなんだ、これはどうなんだ、と熱心に聞いていて、その行動がいい。」と言ってくれたのがうれしかったです。

感想としては、幼児教育の専門家ではないので、なんとも言えないのですが、ジャマイカに来る前に見学させてもらった保育園や自分が通っていた幼稚園に比べて勉強の要素が大きく、その内容も生徒にとって少し難しい感じがしました。そして生徒は先生のいうとおりにしないといけないことが多く、あまり自分で考えて試してみる、自由に遊ぶという要素が少ないなと思いました。ジャマイカの小学校は2時で終わります。生徒の多いところは朝7時から始まり午前中のみ、午後は入れ替えというところもあります。幼稚園の先の授業時間が少ない分、早いうちから始めるのだろうか…とも思いました。また5歳児のクラスでは、先生が前に立って説明している時間が長いことも特徴的だなと思いました。他のイベントなどでもジャマイカ人は演説するのがとても上手です。先生一人に対して生徒の数は少ないところは丁寧に子どもと接することができてよいなと思いました。

写真3枚目:ありがたくいただいた給食。定番のライスアンドピーに、「pot roast chicken」初めて食べた!と思ったのですが、鍋でローストしたチキン?おいしかったです。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ