JICA海外協力隊の世界日記

a journey to the better future

#12 JCPD

こちらもまた1年ほど前の話題になります。よろしければお読みください。

2020.2.3

Jamaica Council for Persons with Disabilitiesに行った時の話です。

発端は一昨年11月。JICAのプログラムで日本に研修に行った人たちのための同窓会のイベントに参加した時でした。私は日本文化を伝えるコーナーで子どもたちに折り紙を教えていました。そこに来てくれた一組の家族のお母さんらしき人に、普段はどんなことをしている?と尋ねるとソーシャルワーカーと教えてくれました。私はソーシャルワーカーのことも知りたいと思っており、さらに尋ねるとJCPDで働いているということを教えてくれました。私も今、作業療法士としてNGOで働いているんだよ、と伝えると、「ジャマイカに必要な、足りていない分野」と喜んでくれました。詳しく話を聞きたいとお願いし、メールアドレスを交換しました。

JCPD Jamaica Council for Persons with Disabilitiesは労働省管轄の障害者の登録をし、障害者への様々なサービスを行う政府機関です。また申請すると補助金がもらえるようになっており、その支給も行います。ホームページにもそのような簡単な情報は載っているのですが、どんな人が対象で、どういう手続きを踏めばその補助金がもらえるのかなど詳しいことがわからず、実際に訪ねたいと思っていました。

当日なかなか建物が見つからずやっと入った建物の中で受け付けの視覚障害がありそうな女性と話しをし、今呼ぶからそこで待っていてねと言われ待つこと小1時間。受付の女性も私のことは見えないけど、まだ待っていることを察して、なんどかアクションをしてくれました。約束した彼女はとても忙しいようで、しかし笑顔で迎え入れてくれました。そして私の拙い英語を丁寧に聞き、わからないところは聞き返してくれて私の質問の意図にあった解答をしてくれました。

彼女自身も身体に障害のある様子でした。また福祉の視察などをするためにJICAなどを通じて日本に3回行ったことがあるとのことでした。偶然なことに以前マンデビルでソーシャルワーカーとして働いていたことがあるそうで、CBRJの古いスタッフのことも知っているとのことでした。

以下のことを主に質問しました

JCPDのサービス

CBRJに通ってきているような障害の重度な子どもに対するサービスについて

・障害児の学校卒業後の社会参加について

1.JCPDのサービスについて

障害者に対して経済的な発展、教育的な発展、社会的な発展という点で働きかけている。

経済的な発展について、両親や介護者が子どものためにビジネスを始められるように支援している。3つの補助金がある。

①少額の補助金 高等教育の奨学金、リハビリテーションなどの教育資金、ビジネスを始める資金、手術代、メガネなどの補装具などに使えるそうです。

最大30,000JMD/年の支給。予算は12,000,000JMD/年。JCPDのソーシャルワーカー、grants administratoradministrator1チームとなり案件に対して調査、支給の決定を行う。

②ビジネスを始めるための補助金 150,000JMD支給される。予算は10,000,000JMD/

③歩行器、車いす、補装具などの補助(移動の補助になるものだそうです) 

最大 250,000JMDの支給 60,000,000JMD/

②と③は原則1度申請したら3年は再申請できない。これはJAID(ジャマイカ知的障害者協会)、JCPD、労働省(視覚障害者協会と兼ねている人が参加)、CCCD(カリビアンクリスチャン聴覚障碍者協会)、JBDC(ジャマイカビジネスデベロップメント協会)の代表者で構成されている委員会でソーシャルワーカーのアセスメントを元に協議した上で支給されるそうです。

③については自分で購入したいものを探す必要があります。

だいたい申請したら通ることが多く、支給までに6か月かかるそうです。この補助金の制度はあまり周知されておらず、ラジオやパンフレット、ウエブサイトで広報していると言っていましたが、ウエブサイトにもこういった詳細は載っていません。パブリックエデュケーターという役割の人がおり、必要なら説明を受けられるそうです。配属先で話題にすると障害のある息子を持つ同僚が以前①か②を受け取ったことがあるそうで、これで鶏を飼った、しかしうまくいかなかったと言っていました。別の同僚にもこういう話を聞いたよ、ということを伝えましたが、申請後時間のかかることもありあまり興味を持てなさそうでした。福祉用具を取引している会社も紹介してもらい、うまく利用すれば子どもたちの移動に必要な車いすなどの補助具が増えてよいだろうなと思いました。

他にも住宅の補助や税金の免除もありますが、ホームページにも載っているので割愛します。

これらの補助金はJCPDに登録し申請することで受け取ることができます。登録するとIDがもらえるそうです。登録は任意。今だいたい35,000人くらいが登録しているそうですが、だいたい人口の10%が障害を持っている人と考えるとジャマイカ全体の障害者は約280,000人いる計算になり、あまり多くない印象を持ちました。

2.CBRJの重度な子どもを対象としてきて、重度な障害のある子どもに対するサービスについて、また卒業後の社会参加にはどのような方法があるか。

重度の障害者に対しては、卒業後やリハビリを続けるためのプログラムがないそうです。様々な専門職が必要なためというところも理由として挙げられるそうです。彼女は日本の様子も見ており、そういったサービスも整備される必要があると思っているとのことでした。

その他に重度な障害者のみの対象ではないですが、政府管轄の以下の場所を教えてくれました。

Independent living skills(the Assessment & Guidance Centre)

今はすごく規模が小さい。 30代、40代の人たち8~10人が利用。Art therapyなどをしている。

Ability foundationという訓練施設。

HEART(職業訓練機関)から資格のあるが派遣されている。プログラムもHEARTで作られたもの。軽度から中等度の障害の利用者が主。

Early stimulation program

0~6歳が対象。センターに通う方法と家に来てくれるサービスがある。キングストン、ポートランド、モンテゴベイの3拠点。CBRJの子どももここでアセスメントを受けた記録を見たことがありました。

また今後国連の障害者の権利条約を批准して2014年に制定されたジャマイカ障害者法(The Disability Act)に則ってこれから事業の拡大に取り組んでいこうとしているとのことでした。

彼女はとても丁寧に答えてくれて、福祉用具の会社や各々の施設の連絡先、担当者などをメモしてくれてこれまで会ったジャマイカ人の中でもすごく対応の細やかな人だなと思いました。私が日本に来たことのあるジャマイカ人には親しみを持って接してもらうことが多くて感謝している、というと、彼女も私も日本でたくさんよくしてもらったからと伝えてくれました。やはりこうして、よくしてもらった経験や出会い、実際に日本を訪れてもらうことは日本の理解にもつながるし、そういった留学や交流の事業もとても大切だなと思いました。補助金の仕組みがわかったところで、まだ移動の補装具を持っていない子たちの助けにならないか、働きかけていきたいと思いました。重度な障害を持つ人たちへのサービスや社会参加はまだ行き届いていませんが、政策レベルでは必ず必要と考えていてそのために努力したいというところも伝わってきました。実際に政策の現場にいる人にも話を伺う機会ができてよかったです。

写真1枚目:ジャマイカの日本へのJICA研修生の同窓会にて彼女に折り紙を教えているところの写真

写真2枚目:JPCDのちらし

写真3枚目:いただいた資料 ジャマイカ障害者法とJCPDが発行しているジャマイカの障害者に関する調査資料

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