JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

# 17 仕事観の違い

先日、

イスラム教の犠牲祭があり、

世界中のイスラム教徒の間で

祝われました。

.

犠牲祭は、

イスラム教の預言者の一人である

イブラヒムがアッラーの命令に従い

息子をささげようとしたところ、

羊が身代わりになったという話が

由来とされています。

.

この話に倣い、

多くのイスラム教徒は

アッラーへの捧げ物として、

羊や牛、山羊などを屠り、

親しい人や貧しい人々と

分け合います。

.

その日の朝、

任地で散歩をしていると、

家の玄関前やガレージで

手際よく羊を捌く若い男性や

それを見つめる子供たち、

奥で料理の下ごしらえをする女性

などの様子があちこちで見られ、

ムスリムの温かい家族の雰囲気を

感じました。

.

ほとんどの場合、

こういった宗教行事の際は

どこも仕事が休みであり、

日本人としては少し不思議な感覚です。

今回は、チュニジア人と日本人の間の

「仕事」に対する捉え方の

違いや共通点について

考えてみたいと思います。

1年前、

偶然バスで隣になった

学校の先生と話をした時に、

「日本人は組織のために働くって

聞いたけど本当?」

と質問されました。

.

その時はただ単に、

「当たり前のことを聞くなぁ」

と思いつつ話を続けたように

記憶していますが、

それ以降、任地で活動をする中で、

同僚との考えのすれ違いを感じた時、

時折この質問が頭に浮かびます。

.

私の配属先では、

仕事における「報連相」が

比較的少ないように感じます。

一つの団体でありながら、

皆がそれぞれ違った活動を行い、

それらの情報が十分共有されずに

うまく進まないケースもあります。

.

また、

他のメンバーが行う活動に対して

皆が積極的に協力するというよりは、

それぞれが自分の都合や興味を

優先しているように感じます。

このため、私は度々、

「もう少し、みんなが組織のために

働く精神を持ってもいいのではないか」

と偉そうにも思います。

.

他方、事務所の中ではいつも、

楽しそうに会話をしたり

昼食を一緒に作って食べたりと、

同僚のみんなは家族のように仲良く

過ごしているように見えます。

.

このように、

仕事においては日本と相反する

「個人重視の考え」、

組織内の人間関係では日本のような

「家族的一体感」が存在し、

この2つの共存によって

私は時々違和感を覚えるのです。

.

しかしながら、考えてみると

自分の職場を家族のように認識し、

その組織の繁栄を自分の成功と捉え

組織のために一生懸命働くという意識は、

日本的なものかもしれないな、

とふと気づきました。

私には社会人経験が

ほとんどないので

日本人の仕事観を

深く理解している

わけではありませんが、

少なくとも私の解釈では、

日本の戦後復興を支えたのは

先人たちによる労働であり、

それを裏付ける終身雇用制、

つまり、一生懸命働けば

医療や年金、生活が保障される

という認識と安心感だと言えます。

これに比べ、チュニジアでは、

経済的に不安定な状況の中、

一生懸命働き、

組織に貢献したとしても

その分自分の生活が

保障されるとは限りません。

そんな中、国内外での

より良い雇用の機会を掴みとるために、

普段の活動や仕事とは別に、

セミナーやワークショップに参加し、

見識を深めたり人脈を広げたりする

傾向があります。

現在、

日本でも前述のような

終身雇用制の存続が

危ぶまれている中、

ともすれば、

「組織のために働く」という

日本人的な美徳は

過去のものとなり、

チュニジア人のように

個人のスキルを磨きながら

より良い生活を求め続けるように

なる(あるいは既になりつつある)

のかもしれないなと思いました。

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