JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

# 18 共和国記念日と自由について

任地に配属されてから早くも

1年9か月が経ちました。

私が任地へ来る

5か月前に生まれた

同僚の息子さんは最近、

頻繁に「レー (違う)」と

言うようになりました。

これは日本でいう

「イヤイヤ期」なのかなと

私は勝手に思っています。

自我が芽生えて主張を始める

大事な時期であると思いますが、

その分なかなか言うことを

聞いてくれない彼への対応で

同僚は少し疲れ気味なようです。

さて、

7月25日は66回目の

共和国記念日。

1957年のこの日、

それまで252年続いた

フサイン朝下での

君主制から共和制へ移管され、

初代ブルギバ大統領が

誕生しました。

また、この共和国記念日は、

独立のために自らを犠牲にした

すべての殉教者をしのぶ

機会でもあるそうです。

このように、共和国記念日は

主権や自由、国民の尊厳を

表す象徴として、

今でもチュニジア人の心に

刻まれているようです。

ただ、

そんな歴史的な体制移管から

今日にいたるまで、

チュニジアは経済や政治的に

不安定な状態が続いており、

政府は「自由の担保」と

「混乱への対応」の間で

難しい舵取りを迫られている

と考えられます。

そんな中、

2年前の725日、

大統領の命令によって

議会の機能が

一時的に凍結されると、

去年の同日には

大統領の強権化が懸念される

内容の新憲法が承認されるなど、

多くの国民の間で不安と緊張が

広がっています。

最近読んだ本の中で、

こんな記述がありました。

「アメリカのある社会学者が『自由を祝福することはやさしい。それに比べて自由を擁護することは困難である。しかし自由を擁護することに比べて、自由を市民が日々行使することはさらに困難である』といっておりますが(中略)。

自由は置き物のようにそこにあるのではなく、現実の行使によってだけ守られる、いいかえれば日々自由になろうとすることによって、はじめて自由でありうるということなのです。」

(丸山真男『日本の思想』)

自分たちの自由や権利を守るため

日々奮闘するチュニジア人にとって、

この言葉は強く共感しうるもの

であると思います。

ただ私は個人的に、

これを理論として納得できる一方、

コロナ禍で見られたように、

例外的な混乱状態を乗り越えるため

一時的に自由が制限されなければ

ならない場合もあるような気がします。

そんな中、

どんな権利や自由が守られるべきで

どのように主張、行使される必要がある

のだろうと漠然と思いを巡らせる

一日でした。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ