JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

# 16 地名にまつわる話

最近、

ネットフリックスで

「サンクチュアリ‐聖域‐」

というドラマを見るのに

ハマっています。

「大相撲」を舞台にした

珍しいこのドラマでは、

神秘に包まれた角界の奥深さと

主人公である個性的な力士の

成長模様が描かれています。

ドラマの中で度々耳にする

「タニマチ」という相撲用語。

「力士の後援者やごひいき」

を意味するのですが、

「明治の末頃、

大阪の谷町で病院を営む

相撲好きな外科医が、

力士からは治療費を取らなかった。」

という有名な逸話からきている

と言われています。

実はこの地域は

私の地元なのですが、

確かに言われてみると

家の近くに相撲部屋があって

力士たちが散歩する様子を

見た覚えがあります。

このように、

自分が住む地域の地名や

それにまつわる話によって

過去と現在が繋がっているような

感覚に浸るのが好きなのですが、

今回は、チュニジアのある地名と

それにまつわる話をご紹介します。

今月上旬、

任地からバスで30分程の

Nabeul (ナブール)という街へ

一人で散歩に出かけました。

気持ち良く晴れた青空の下、

名産のモザイクアートや

漆器等を物色しつつ、

のんびり歩いている中で

私が気になったのは、

街の至るところで見かけた

「NEAPOLIS(ネアポリス)」

という単語でした。

何となく響きが

「ナブール」に似ているけど

なにか関係があるのかな、と

気になって早速、

メイン通りにある博物館へ

行ってみました。

館内には私一人。

入館直前に

「あと20分で閉めるよ」

と言われた私は、

解説パネルやキャプションを

さっと流し見しながら

テンポよく進んでいくと、

「NEAPOLIS, NABEUL」

というパネルを発見し、

しばらく立ち止まりました。

こちらの説明によると、

ネアポリスはギリシャ語で

「新しい街」を意味するそうです。

古代ローマの有名な政治家、

ジュリアス・シーザーの下で

アフリカ大陸に配置された植民地の中に

このネアポリスが含まれています。

このローマ支配時代、

ネアポリスは工芸品の技術と、

イタリアとアフリカをつなぐ

ルートの開拓によって

大きな成長を遂げ、

7世紀のアラブ勢力侵入まで

その発展が続きました。

チュニジアの方東部、

イタリアから目と鼻の先にある

この地域は、長い歴史の中で常に

地政学的な視点から

重要視されていたことが よく分かります。

この日は

ガイドさんがいなくて

情報が限られていましたが、

何となく自分の中の謎が解け、

改めて工芸品等を見ていると

この地の時空を散歩したような

気分になりました。

チュニジアの街のいいところは、

伝統的な建築物や食べ物、工芸品が

現在でも多く残されていて

その景観等から昔の雰囲気が

想像しやすいということ。

今回のように、

街の名前に焦点を当てながら

違った視点で歴史をたどってみると

また新たな発見に出会うことができ、

今見ている景色もより興味深く

感じられるだろうと思いました。

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