2023/08/15 Tue
活動 環境
# 19 環境活動のシナジー
「地球温暖化は終わった。
地球沸騰化の時代に入った。」
。
これは、
7月の世界の平均気温が
観測史上最高を
記録したことを受けて
国連のグテーレス事務総長が
言った言葉です。
。
近年、 気候変動の影響は
世界各地で見られていますが、
北アフリカ・中東地域は
特にその影響を受けている
地域の一つとされており、
チュニジアにおいても、
先日首都チュニスで
49℃を記録したり
北西部で山火事が続くなど、
現地の人々も経験したことがない
異常気象を肌で感じています。
。
このような状況を受け、
私の配属先を含む
様々な環境NGOや活動家が
政府の迅速な対応や
社会の変革を求めて
活発な活動を行っています。
また、個々の活動だけでなく、
それぞれが協力し合い
主張や活動の影響力を
高めようとする試みも
多く見られます。
。
今回は、
その中で私が関わった例を
ご紹介します。
今回ご紹介するのは、
オランダ外務省の
戦略的パートナーシップの下、
途上国を拠点とする4つのNGOと
2つの国際NGOによって
運営されるプログラムです。
。
その主な目的は、
女性や若者、先住民族、
都市の貧困層等を代表する
様々な市民団体をつなぐことにより、
グローバルとローカルの声を
結集させることであり、
その対象国として、
気候変動への脆弱性や
経済的重要性に基づき
チュニジアを含む
7か国が選ばれています。
。
同プログラムの枠組みの中で
私の配属先を含む
複数の団体に資金が提供され、
現地プロジェクトが
実施されています。
またそれだけでなく、
勉強会や交流イベントを通して
それぞれの団体同士のシナジーを
生み出すことを目的とした取り組みも
積極的に行われています。
私の配属先は今年3月、
このプログラムを通して知り合った
芸術団体とコラボをして
リサイクルペーパーづくりの
ワークショップを行いました。
また7月には私の配属先が
他のメンバー団体に向けて
プロジェクトの実施状況を共有する
イベントを行いました。
。
このように、
団体同士で協働したり
情報を交換することによって
活動の幅が広がったり
自分の活動を客観的に
分析することができる
という意味で、
このプログラムは
とても有益である
ということができます。
。
ただ一方で、
いくつか課題もあるようです。
今年6月5日、
「世界環境の日」に行われた
環境省主催の展示会に、
このプログラムもスタンドを構え、
訪問者に向けて活動を紹介しました。
一方、同じ日に
プログラムの一員である 団体が
汚染対策に関して
政府へ抗議するデモを行いました。
つまり、 一つのプログラムの中で、
ある団体は政府主催の
イベントに参加する一方で
他の団体は政府に抗議をする という、
矛盾したメッセージを
与えかねない結果に
なってしまいました。
。
自分たちの主張や活動の
影響力をより高めるために
同盟を結ぶことは有効的である
と考えられますが、
その中で同盟として統一性と
個々の主張の自由を
同時に守るのは難しいようです。
このような問題は
我々だけのものではないようです。
。
例えば政府間において、
持続可能な開発目標(SDGs)や
気候変動対策に関する議論の中で
目指すべき目標に関しては
大筋の合意が得られても
その具体的な施策については
中々足並みが揃わないことや、
対立が生じてしまうことが
少なくありません。
。
このように、
グループの輪を広げて
その影響力をより高めるために
個々の多様性を認めることによって、
喫緊の課題を扱うのにもかかわらず
具体的な議論が進まなかったり
協調することが困難になるという
ジレンマが生じてしまいます。
。
その中で 私達にできることは、
多様なアクターと協働する中で、
辛抱強く議論を続け、
共有できる目標や施策を見出す
努力を続けることではないか
と思います。
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