JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

# 19 環境活動のシナジー

「地球温暖化は終わった。

地球沸騰化の時代に入った。」

これは、

7月の世界の平均気温が

観測史上最高を

記録したことを受けて

国連のグテーレス事務総長が

言った言葉です。

近年、 気候変動の影響は

世界各地で見られていますが、

北アフリカ・中東地域は

特にその影響を受けている

地域の一つとされており、

チュニジアにおいても、

先日首都チュニスで

49℃を記録したり

北西部で山火事が続くなど、

現地の人々も経験したことがない

異常気象を肌で感じています。

このような状況を受け、

私の配属先を含む

様々な環境NGOや活動家が

政府の迅速な対応や

社会の変革を求めて

活発な活動を行っています。

また、個々の活動だけでなく、

それぞれが協力し合い

主張や活動の影響力を

高めようとする試みも

多く見られます。

今回は、

その中で私が関わった例を

ご紹介します。

今回ご紹介するのは、

オランダ外務省の

戦略的パートナーシップの下、

途上国を拠点とする4つのNGOと

2つの国際NGOによって

運営されるプログラムです。

その主な目的は、

女性や若者、先住民族、

都市の貧困層等を代表する

様々な市民団体をつなぐことにより、

グローバルとローカルの声を

結集させることであり、

その対象国として、

気候変動への脆弱性や

経済的重要性に基づき

チュニジアを含む

7か国が選ばれています。

同プログラムの枠組みの中で

私の配属先を含む

複数の団体に資金が提供され、

現地プロジェクトが

実施されています。

またそれだけでなく、

勉強会や交流イベントを通して

それぞれの団体同士のシナジーを

生み出すことを目的とした取り組みも

積極的に行われています。

私の配属先は今年3月、

このプログラムを通して知り合った

芸術団体とコラボをして

リサイクルペーパーづくりの

ワークショップを行いました。

また7月には私の配属先が

他のメンバー団体に向けて

プロジェクトの実施状況を共有する

イベントを行いました。

このように、

団体同士で協働したり

情報を交換することによって

活動の幅が広がったり

自分の活動を客観的に

分析することができる

という意味で、

このプログラムは

とても有益である

ということができます。

ただ一方で、

いくつか課題もあるようです。

今年6月5日、

「世界環境の日」に行われた

環境省主催の展示会に、

このプログラムもスタンドを構え、

訪問者に向けて活動を紹介しました。

一方、同じ日に

プログラムの一員である 団体が

汚染対策に関して

政府へ抗議するデモを行いました。

つまり、 一つのプログラムの中で、

ある団体は政府主催の

イベントに参加する一方で

他の団体は政府に抗議をする という、

矛盾したメッセージを

与えかねない結果に

なってしまいました。

自分たちの主張や活動の

影響力をより高めるために

同盟を結ぶことは有効的である

と考えられますが、

その中で同盟として統一性と

個々の主張の自由を

同時に守るのは難しいようです。

このような問題は

我々だけのものではないようです。

例えば政府間において、

持続可能な開発目標(SDGs)や

気候変動対策に関する議論の中で

目指すべき目標に関しては

大筋の合意が得られても

その具体的な施策については

中々足並みが揃わないことや、

対立が生じてしまうことが

少なくありません。

このように、

グループの輪を広げて

その影響力をより高めるために

個々の多様性を認めることによって、

喫緊の課題を扱うのにもかかわらず

具体的な議論が進まなかったり

協調することが困難になるという

ジレンマが生じてしまいます。

その中で 私達にできることは、

多様なアクターと協働する中で、

辛抱強く議論を続け、

共有できる目標や施策を見出す

努力を続けることではないか

と思います。

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