JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

# 20 ビゼルト旅行 -景観について-

7月の熱波から一転、

最近任地では比較的

涼しくて過ごしやすい

天気が続いています。

ただ相変わらず

雨が降らないため、

いつも配属先の庭で

水やりをしているのですが、

先日、オリーブの実が

沢山なっていることに

気が付きました。

去年は9月末に収穫して

塩漬けにしたものを

みんなで食べましたが、

今年も、私が任地を離れる

10月上旬までに

収穫ができることを

密かな楽しみにしています。

さて今回は、

先日他の隊員たちと行った

旅行について振り返りたい

と思います。

8月上旬、

チュニジア北部に位置する

ビゼルトという港町へ

2泊3日の旅行に行きました。

.

1日目は首都チュニスから

バスでビゼルトまで移動し、

少し疲れた私たちは

ホテルでゆっくりと過ごしました。

そしてメインの2日目、

午前中ホテルのプールで泳いだ後,

お腹を空かせた私たちは

美味しい魚料理を求めて

港へと向かいました。

.

ホテルから15分程歩くと、

ある短い橋に辿り着き、

海上にいくつもの船が

停まっているのが見えました。

.

橋のすぐ手前に建つ

立派な要塞が気になりながらも

すぐ側の階段を降りていくと、

海に面した石畳の道が続いており、

向こう岸には古いモスクと

モダンな色合いの家々が

見えました。

.

チュニジア独特の、

鮮やかな青を基調とした

綺麗な街並みを楽しみながら

一通り写真撮影を済ませると、

次は地元の人や観光客で栄える

中心地まで進んでいき、

ローカルなレストランの

テラス席へ吸い込まれるように

入りました。

.

みんな揃って頼んだ

「今日のお魚」ランチには

メインの焼き魚はもちろん、

様々な伝統料理が

含まれていました。

.

お腹を満たした私達は

可愛い野良猫を目で追いかけつつ

のんびりと散策をしました。

.

決して観光地化されている

とは言えませんが、

伝統的な建築や人々の温かさ、

鮮やかな色に包まれた街全体に

居心地の良さを感じました。

今回の旅行の中で

目にした美しい景色から、

以前読んだ本の中にあった

「建物の外観は公共財」

という言葉を思い出しました。

.

この本を通して訴えられていたのは、

街の景観を構成する各建造物が

「伝統様式と最新の技術」の融合

「自然と人々の生活」の調和

と共にデザインされることで、

街全体がより魅力的になるという、

筆者の経験に基づく考えですが、

今回の旅行を通して

改めて理解できたような

気がしました。

.

また彼によると、

日本では戦後の目まぐるしい

経済成長と引き換えに、

そのような景観や

それを守ろうとする

人々の「公共の精神」

が失われているのではないか

と問題提起されています。

.

私は、

チュニジアの今後の成長を

応援する一方で、その街並みが

画一的なビルの連続へと

移り変わることなく、

地域の特徴があふれる現在の姿が

今後も続いてほしいと思います。

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