JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

#2 環境教育って?

私の職種は「環境教育」です。

この分野の特徴として、

「射程となるテーマが幅広いこと」

「情報が日々更新されること」

「あらゆる問題と密接に関わっていること」

の3つが挙げられると思います。

まず、扱われる「環境問題」は、

現在喫緊の課題として世界中で議論されている

「気候変動」や 「生物多様性」の問題だけでなく、

水質汚濁や 大気汚染、地盤沈下などの「公害」も含まれ、

小学校の教科でいうと理科や社会、「総合的な学習」等が対象になります。

次に「情報の更新」の観点では、

例えば気候変動においては

国連の専門機関が発表する報告書等によって、

人類が過去にどれほどの温室効果ガスを排出したのか、

排出ガスによって世界の平均気温がどれほど上昇したのか、

気温上昇によってどれほどの人々が被害にあっているか等

定量的な評価がなされ、それを基に様々な政府間交渉がなされます。

このように、日々専門的な議論や国の方向性の決定が行われるために

常にアンテナを張って情報収集を行い続ける必要があります。

最後に「あらゆる問題との関連」でいうと、例えば

気候変動が引き起こした風の向きの変化によって

大規模な干ばつあるいは局地的な豪雨が発生し、

農作物の収穫量減少、食糧価格の高騰、

そして大規模な飢餓につながる、という例が実際に存在します。

「風が吹けば…」ではありませんが、

環境問題は経済や安全保障など諸問題と

「鶏が先か、卵が先か」の関係になっているため、

網羅的に理解することが重要であると思います。

とはいっても、私たち協力隊員は専門家ではありませんので、

すべてを把握していなければならない訳ではありません。

大切なのは、

どのようにして人々の関心を環境問題に向けられるかであり、

環境教育において求められる能力は、

学校での授業やワークショップにおける

「ファシリテーションスキル」であると言われています。

人々が環境の問題に対して関心を持ち、意識を高め、行動へと移すまで、

私たちは地道に、そして創造的な発想と共に活動を行うよう努めています。

私の配属先は民間の環境保護団体です。

同団体は主に5人程のプロジェクトコーディネーターと

50人以上の若いボランティアらによって構成されています。

基本的に、国際機関や欧州の大使館から支援を獲得しながら

数年程度のプロジェクト単位で活動を行っており、

その他「アースデー」など様々な環境関連の国際記念日に合わせて

地域住民を巻き込んだイベントを行うこともあります。

私の主な役割は「活動の企画や実施の補助」です。

企画の際には「問題と解決策の関係などを構造的に捉えること」や

「創造的なアイデアを含めること」を心掛けながら提案をしています。

最初はなかなか仕事を与えられることがありませんでしたが、

自分から活動内容や作業の仕方など、

押し付けにならないように気を付けながら

積極的に提案をするようにしていると、

配属先の方からお願いされることが多くなってきました。

ただ、今度は任せてもらう作業があふれてきて、例えば

既存プロジェクトの進捗報告書の作成をお手伝いしながら

別に新たなプロジェクトの企画を一緒に考えつつ

同僚の娘さんのためにウサギさんの絵を描く、みたいな。。。

任せてもらえるのはありがたいことですが、

今後は自分の能力や体力と調整できるようにしていこうと思います。

環境教育と一口に言っても、

配属先によって活動内容は様々であり

他の環境教育隊員の話を聞くと

まるで違う職種であるように感じることもあります。

私の場合、日々気候変動や生物多様性について

ウェビナーや現地での勉強会を通じて得た新しい情報を、

活動の企画や実施にすぐ活かすことができるので

おもしろく、やりがいがあります。

次回は私の隊員としての活動計画、

配属先に対して何を提案しているのかをご紹介します。

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