JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

# 10 ラマダンと環境

先週3月22日より、

ラマダン(断食月)が

始まりました。

ラマダンは

イスラム暦の第9月にあたり、

ムスリムの人々にとって

最も神聖な月といえます。

この期間中、

ムスリムの人々は、

精神的に成長して

神との絆を強めるよう、

祈りをささげ、コーランを読み、

意識して無私無欲な行動をとり、

うわさ話やうそ、争い等を

慎んで過ごします。

またご承知の通り、

基本的にすべてのムスリムは、

ラマダンの期間中

日の出から日没まで

断食をしないといけません。

ただし、病人、妊婦、高齢者など

身体的にやむを得ない事情があれば

断食が免除され、他の期間に

埋め合わせをすることも

できるそうです。

日の出前と日没後には

家族等で集まり食事を共にします。

預言者ムハンマドが断食明けに

水を飲んでデーツ(ナツメヤシの実)を

食べたことにならって、

彼らはまずデーツを口にします。

中東で定番のデーツは、

栄養価が高いうえに消化しやすいため

理にかなってもいるようです。

ちなみに私も断食に挑戦しています。

初めの数日は少し頭痛等がありましたが、

この1週間で段々と慣れてきて、

朝はぱっちりと目が覚め、

代謝も良くなってきているように感じます。

さて今回は、

このラマダンと環境について

考えてみたいと思います。

チュニジアの国立消費研究所のデータによると、

チュニジアではラマダン期間中、

食糧ごみが66.6%増加するそうで、

種類別でいうと、

パンは46%, 果物は31.7%, 肉は19.2%

の増加とされています。

確かに、

以前首都のゴミ中間処理施設を

見学した際も、ラマダン期間中は

収集するゴミの量が増えると

聞いた気がします。

ただ一方、チュニジア政府は

今回のラマダン開始時期に合わせ、

パン屋さんでのプラ袋使用を禁止にし、

違反者には罰則が与えられるようになったそう。

私もこの頃バゲットを買うときは

鷲掴みして帰っています。

ラマダン開始から

1週間がたった3月30日は、

去年国連で採択されたばかりの

「ごみゼロ国際デー」でした。

チュニジアでは年間約250万トンもの

廃棄物が排出されているとされている中、

レイラ環境大臣は先日、

各セクター間連携の下での

2050年までのゼロウェイスト達成を

目指すと言及しました。

また彼女は、

そのためのアプローチとして

「市民への啓発」及び

「投資家への働きかけ」の重要性と、

「有機ゴミのコンポスト化」の可能性を

強調していました。

私の配属先でも現在、少しずつですが

市民への啓発やコンポストの普及活動を

地域レベルで行っています。

国際、国家、そして地域レベルで

環境への取り組みを呼びかける上で、

私は、今回見てきたような

宗教的側面を改めて考慮することが

カギになるのではないかと思いました。

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