2023/04/03 Mon
宗教 環境 生活
# 10 ラマダンと環境
先週3月22日より、
ラマダン(断食月)が
始まりました。
ラマダンは
イスラム暦の第9月にあたり、
ムスリムの人々にとって
最も神聖な月といえます。
この期間中、
ムスリムの人々は、
精神的に成長して
神との絆を強めるよう、
祈りをささげ、コーランを読み、
意識して無私無欲な行動をとり、
うわさ話やうそ、争い等を
慎んで過ごします。
。
またご承知の通り、
基本的にすべてのムスリムは、
ラマダンの期間中
日の出から日没まで
断食をしないといけません。
ただし、病人、妊婦、高齢者など
身体的にやむを得ない事情があれば
断食が免除され、他の期間に
埋め合わせをすることも
できるそうです。
。
日の出前と日没後には
家族等で集まり食事を共にします。
預言者ムハンマドが断食明けに
水を飲んでデーツ(ナツメヤシの実)を
食べたことにならって、
彼らはまずデーツを口にします。
中東で定番のデーツは、
栄養価が高いうえに消化しやすいため
理にかなってもいるようです。
。
ちなみに私も断食に挑戦しています。
初めの数日は少し頭痛等がありましたが、
この1週間で段々と慣れてきて、
朝はぱっちりと目が覚め、
代謝も良くなってきているように感じます。
さて今回は、
このラマダンと環境について
考えてみたいと思います。
。
チュニジアの国立消費研究所のデータによると、
チュニジアではラマダン期間中、
食糧ごみが66.6%増加するそうで、
種類別でいうと、
パンは46%, 果物は31.7%, 肉は19.2%
の増加とされています。
確かに、
以前首都のゴミ中間処理施設を
見学した際も、ラマダン期間中は
収集するゴミの量が増えると
聞いた気がします。
。
ただ一方、チュニジア政府は
今回のラマダン開始時期に合わせ、
パン屋さんでのプラ袋使用を禁止にし、
違反者には罰則が与えられるようになったそう。
私もこの頃バゲットを買うときは
鷲掴みして帰っています。
ラマダン開始から
1週間がたった3月30日は、
去年国連で採択されたばかりの
「ごみゼロ国際デー」でした。
。
チュニジアでは年間約250万トンもの
廃棄物が排出されているとされている中、
レイラ環境大臣は先日、
各セクター間連携の下での
2050年までのゼロウェイスト達成を
目指すと言及しました。
。
また彼女は、
そのためのアプローチとして
「市民への啓発」及び
「投資家への働きかけ」の重要性と、
「有機ゴミのコンポスト化」の可能性を
強調していました。
。
私の配属先でも現在、少しずつですが
市民への啓発やコンポストの普及活動を
地域レベルで行っています。
。
国際、国家、そして地域レベルで
環境への取り組みを呼びかける上で、
私は、今回見てきたような
宗教的側面を改めて考慮することが
カギになるのではないかと思いました。
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