JICA海外協力隊の世界日記

北(アフリカ)の国から ~遥かなる地中海より~

#7 ベルベル人と穴倉式住居

今日2/14はバレンタイン。

「愛」を象徴する西洋のイベント

という印象がありますが、

チュニジアでもチラホラ

ハート型のチョコレートや

プレゼント用の箱が売られている

のを目にします。

このように、

アラブ諸国の一員でありながら

西洋の文化も受け入れられているのが

この国の特徴と言えますが、

今回は、私が先日行った

旅行の思い出と共に

先住民「ベルベル人」と

「穴倉式住居」について紹介します。

先日、配属先に休暇をいただき、

南部の方へ旅行に行ってきました。

私が住む北東部は地中海に面しており、

柑橘系などの農業が盛んですが、

車に揺られながら南へ進むにつれて、

一面のオリーブ畑→

塩湖へと景色が移り変わり

約7時間後には目的地である

サハラ砂漠周辺に着きました。

色んな町を観光しましたが、

特に印象に残ったのは「マトマタ」でした。

この地域には、ベルベル人と呼ばれる

先住民が住んでいて、その人口は

国全体の0.5割から1割程度だそうです。

※「ベルベル」とは、

ギリシャ語で「野蛮」を意味する

「バロバロイ」に由来する侮辱的な表現とも

言われているため、彼らの言葉である

「アマジク」と呼ばれることもあります。

彼らが住む住居は「穴倉式住居」と呼ばれ、

その特徴的な構造から、現在日本でも

小学3年生の国語の時間で紹介されているようです。

地域一帯に広がる大きな岩山の

上部に散在するこの住居の造り方は、

まず垂直に約10m掘り、

底に円形の中庭を造った後、

今度は地面と並行にトンネルを掘って

廊下、入り口を確保します。

そして中庭の壁を削り、各部屋を

作っていく、という流れだそうです。

このユニークな構造は、

「敵から見つかりにくい」という点に加え、

年中一定の温度に保つことができるため、

暑さ対策という観点からも合理的であると言えます。

先日、関連の仏語記事を見つけました。

ベルベル人が築きあげてきた文化は

未来に継承すべきであるにも関わらず、

人口のほとんどがイスラム教徒で

構成されているチュニジアでは、

あまり重要視されていないようです。

特に2011年の革命前は、

政界の人たちからも目を向けられず、

学校の歴史の授業でも

「チュニジアの先住民である」

としか教わらなかったとか。

このため、革命後に

10ほどの市民団体が立ち上げられ、

ベルベル文化の価値を高めるべく

活動が行われているそうです。

ただ彼らが住む山間部では、

生活の基盤が立てられないために

移住せざるを得ないという

悲しい例も少なくないそう。

今回私たちが行ったような観光のほかに、

彼らの歴史・文化を風化させないようには

どんなことができるでしょうか。

参考:

RFI « Tunisie: la communauté berbère dans le sud du pays veut valoriser son patrimoine » 2月10日掲載。

<https://amp.rfi.fr/fr/podcasts/reportage-afrique/20230209-tunisie-la-communauté-berbère-dans-le-sud-du-pays-veut-valoriser-son-patrimoine>.

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