JICA海外協力隊の世界日記

人類みなアミーゴダイアリー in BRASIL

エミリー夢への第一歩 ~日本遠征14~ さわやかNo,63

この日のキャプテンは、チーム唯一の女子選手のエミリー
彼女は私と出会う前から,「将来は日本で野球がしたい!」と夢を持っていました。
ブラジルでは女子野球は未だ存在せず,女の子はソフトボールをするのが一般的。なので,これまでもソフトボールへ何度も誘われたそうなのですが,「私は野球がしたいから。将来も野球を続けたいから,野球の技術を磨きたい。」と,これまでソフトボールには行かず,男子の中に混じって,ずっと野球を続けてきました。

そんな彼女の夢の背中を押すことも,今回の遠征の廣瀬の中での1つの目標。実際に,自分の目で見て,体感することは,夢を語るだけとは違ったものを感じることができます。


今回お邪魔したのは,そんな彼女の目指す“女子野球チーム”の強豪である,履正社スポーツ専門学校女子野球部
現在,日本国内での拡がりがすごい“女子野球”。『野球は男子のスポーツ』というのはもう古い概念。たくさんの女子選手が野球界で活躍しています。
ここ履正社スポーツ専門学校では,“野球”そのものが学べるカリキュラムが存在します。授業が“野球”。実際にグラウンドに出ての練習や,メディカルケアや経営学まで,野球に関したことを学ぶことができます。

11時過ぎにグラウンドに到着した私たち。女子野球部の練習は午後からだったので,まずは選手の皆さんと一緒に同じテーブルに座り昼食をいただくことに。皆さん気さくにブラジルの子どもたちを迎えてくださり,「チャーリー♪」「ポッター♪」とニックネームを付けて選手との距離を縮めてくれます。(見た目チャーリー・ポッターということで。距離の詰め方がさすが上手。)

そうした距離の詰め方に,子どもたちもすっかりルンルン。おかげで,すぐに馴染んだ子どもたち。

食事を済ますと,すぐにグラウンドへ移動し,合同練習がスタート。いつも以上に緊張した面持ちで,お願いしますの挨拶をするエミリー。
アップをし,キャッチボールの後は,全員でのボール回し。エラーが出たら,全員でベースを一周するという連帯責任バッリバリのボール回し。「うわ!やばい。あ,ごめんなさい。」と,自分のエラーでみんなを走らせてしまう緊張感。ミスをしてヤッベーという顔をしながらも,楽しそうな子どもたち。なんとかカバーをしようという気持ちも随所に見られて,良い練習でした。

その後のノックも,レベルの高い選手の皆さんに混ざりながら,一生懸命にやっていました。

『力抜いて!』と私が声を掛けたのはエミリー。『入団テストちゃうよ!』と思わず言いそうになる程,気合いみなぎる顔でプレーしていた彼女。それだけ特別な想いで練習してたんじゃないかなと思います。

猪坂コーチとともに,指導してくださったのは,亀山努コーチ。
元阪神タイガースの選手で,現在でもプロ野球の解説等してらっしゃいます。また,亀山さんは23日に交流をさせていただいた,枚方リトルが1999年に世界一になった時の監督。そんな亀山さんの指導でみるみる変わっていく子どもたち。声の掛け方,イメージの持たせ方,気持ちの上げ方,全てにおいて勉強になる指導を間近で見させていただきました。瞬時に子どもの性格を見切って,一人一人にあった指導をされる亀山さん。父が昔,同じチームで野球をしていたというご縁も。また機会があれば指導に関してお話を聞かせていただきたいです。

《あとがき》
夢である“日本の女子野球”に触れられたエミリー。訪問後,『どうだった?』と聞くと,「最高に楽しかった。絶対に日本に帰ってきたいと思った。ありがとう!!」と話してくれました。
“外国人女子選手が日本でプレーする門が現在開きつつある。3年もすれば,そのような道も整備されるんじゃないかな?”と聞きました。
彼女がブラジルでの義務教育を終えて,“日本でプレーしたい”という夢を持ち続けていた日には,彼女の夢を後押しできるような力になりたいなと思います。

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次回 おまけシリーズ『日本を知る・体験する』へ続く...
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