JICA海外協力隊の世界日記

人類みなアミーゴダイアリー in BRASIL

大阪府堺市で出会ったブラジルにルーツを持つ子どもたち さわやかNo,79

2019.09.06

~子どもたちの生活を支える場~

大阪府堺市のLuzia Tanakaさんのお宅にお邪魔してきました。

今回の訪問は大阪のJICA国際協力推進員(簡単にいうと,JICAの大阪窓口!各地域におけるJICA事業の総合窓口として、地域の様々な国際協力アクターと連携しながら活動されるスタッフです)の方のお誘いを受け叶いました。

大阪の真ん中から南に延びる南海電車に乗り,着いたのは下町風情あふれる街。
お家の最寄駅に着くと,Luziaさんがわざわざお迎えにきてくださいました。
到着したのは一軒家。見た目は普通のお家なのですが,中に上がらせてもらうとポルトガル語のポスターやあいうえお表,また高校入試のための赤本等が壁や本棚にビッシリと並んでいます。

ここはブラジルにルーツを持つ子どもたちが,ポルトガル語の勉強や学校の授業をカバーするために週に一回集まってみんなで勉強をする場所
日本で生まれ,日本で育った子どももいれば,ブラジルで生まれ小さいうちに日本にやってきた子も。様々な境遇の中で育ったブラジルにルーツを持つ子どもたちがここに集まっています。

私は元々Luziaさんのことは,ブラジル在住中から知っていました。というのも,YouTubeにある『O outro lado do mundo 軌跡 ~在日ブラジル人の25年~』という,ドキュメンタリー番組をたまたま見つけLuziaさんが取り上げられているお話を見ていました。

当時,サンパウロに住んでいたLuziaさんは,大阪に住んでいた弟さんから「日本は教育のレベルが高い。子どもに日本の教育を受けさせてみたら」という言葉を受け,まずは“子どもにとって日本の教育はどうなのか”を自分の目で確かめるために単身で日本へやってこられました。
その後,お二人の娘さんを日本へ呼び寄せ,ご自身も働きながら日本での生活を始められました。しかし,ご自身の娘さんも含め,彼女たちを取り巻く環境の中で,マイノリティーの存在である子どもたちにサポートが必要であるという想いが日に日に大きくなったそうです。

~アイデンティティを確立するため~

そこで家を開放し,子どもたちへの日本で生活する上でのサポートをスタート。

この教室兼“安心の場”であるLuziaさんのお宅での一番の目的は,“ポルトガル語を教える”ことだとおっしゃいました。
“継承語としてのポルトガル語”という観点からみて,子どもたちのアイデンティティの確立の必要性を感じたのだそうです。
自らのルーツに向き合い,様々な感情が渦巻く中で,“自分”という一人の人間を確立させる。そこに目的を置いて長きにわたり,教室に通う子どもたちに寄り添ってこられたLuziaさん。

この日,この教室に集まっていたのは中学生と高校生,また社会人として活躍している方々。学校終わりに隣町からバスを40分乗り継いでここに来ている生徒さんもいるほど,何としてでも行きたくなるような,ここに通う皆さんにとって心開ける場所
話しててもポル語+関西弁でめちゃくちゃ明るいしノリが最高!!

でも,そんな彼らも過去にはやっぱり人には言いたくないこともたくさんあったみたいで...。
家庭ではポルトガル語,学校では日本語。一見みるとバイリンガルでめっちゃ良いやん!カッコいいな〜!って思ってしまいますが,その裏には想像できないほどの努力と想いが取り巻いている事実。
国によってマイノリティーが住みやすい・そうでないがあるけど,日本が前者になる日が早くくるといいなぁと思います。

いずれはこうした場所を作るのが私の夢。
せっかくポルトガル語とブラジル文化をかじった大阪人。何かしらで少しでも貢献できる形を探そうと思います。
今回はお邪魔させていただき,本当にありがとうございました!!

☆月末には生徒さんのお母さんがブラジル料理を振る舞うイベントがあったり,フェスタの時期がきたら,地域を巻き込んでHalloweenやFesta Juninaというブラジルのお祭り等もされているそうです!また今後も関わらせていただけたらと思っています!

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