JICA海外協力隊の世界日記

人類みなアミーゴダイアリー in BRASIL

力をもらった数々の出会い さわやかNo,88

もうそろそろこの世界日記を書くことができるリミットが近づいてきました。思い返してみると、主に現地での経験や出会いを記事にしてきましたが,日本に帰ってからもJICAの活動を通して,多くの素晴らしい出会いがありました。


これまでの出前講座でも多くの生徒さん・学生さんとの出会いがありましたし,先日も,2019年の秋募集に応募した方々から『JICAボランティアの試験受けてきました!』と嬉しい連絡をいただきました。

このボランティア志望の方々と出会ったのは,9月に大阪で行われたJICA関西主催のJICAボランティア経験者の体験談と説明会。

私はこの説明会で体験談を話させていただきました。
2年間の活動の様子を中心に,ブラジルで生活・ボランティアをして学んだことをその日来ていただいた方にお話しさせていただきました。

その会の中で,私の興味を湧き立たせてくれた1人の女性との出会いがありました

約40名の方が話を聞きに来てくださっていたのですが,その方は私の体験談の後の10分間の休憩の時に「私,実は日系メキシコの4世で日系社会にとても興味を持ちながら話を聞かせていただきました。また2ヶ月前までバックパッカーで世界一周に行っていて,ブラジルも行きました!」と話しかけてくれたのです。

これまで,JICAといえばアフリカやアジアに派遣される協力隊に興味を持つ人はあっても,『日系社会ボランティア』に興味を持つ人は少なかったので,というかその存在を知る人も少なかったので,私はそれに興味を持ってくれたことがとても嬉しく,休憩も終わりかけだったので『またゆっくり話しましょう』と言いました。

計3名の体験談が終わり,次のプログラムでは座談会としてフリートークが行われました。

話を聞くと,彼女は大学4年生の年なのですが,大学3年の1年間を休学したと言います。休学中は半年間を生まれ故郷のメキシコに戻り留学をした後,残りの半年間で世界一周の旅に出かけたそうです。大学生1人でバックパック一つで世界を回ろうとした勇気に感銘を受けたのはもちろん,話を詳しく聞いていくと更なる驚愕の興味を引くお話が。


世界一周の後半,彼女はどうしてもいきたい国があったのだそうです。それは“ウルグアイ”。

なんでも彼女はメキシコ留学中に,元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカさんについて詳しく調べた機会があったそう。

留学中の友だちに,ムヒカ元大統領は大統領でありながら給与の90%を寄付し,昔友人からもらったビートルを唯一の財産とし,世界で一番質素な暮らしをしている大統領であるということを聞きました。

「そんな大統領がこの世界にいるんだ」彼女はそこから,ムヒカ大統領について詳しく調べていく事になります。
そんな中,ブラジル・リオデジャネイロで行われた「+20(持続可能な開発会議)」でのスピーチに出会います。


「本当の幸せとは何かを今一度考えなければいけない。大量に物を作り大量に消費することに人間は幸せを感じている。それは果たして環境のことを考えているのだろうか。何年かしたら壊れるものを経済を動かすために大量に作り,売る。それは本当に私たちが行うべきことなのでしょうか。それが本当の幸せの真実なのだろうか。」


多くの日本人にも影響を与えたこのスピーチ。
彼女はこのスピーチに出会い,さらにムヒカ大統領のことを知りたくなったという。
そこで思いたち,

「ムヒカさんに会いに行こう」

彼女は世界一周中にウルグアイを訪れ,ムヒカ元大統領を訪ねることを目標としたそうです。
とは言っても,知り合いでも何でもない彼女は何一つとして手掛かりはありません。

ウルグアイに着いたはいいものの,持っていたのは少量のお金。

そこで,現地の人を捕まえては「ムヒカさんに会いたいのですが」と尋ね,バスを乗り継ぎ,人に尋ねを繰り返し,ようやくムヒカ元大統領が暮らす家にたどり着いたそうです。

この行動力にあっぱれです。

さらに,「日本からあなたに会いに来ました。京都の大学で勉強しています。あなたにいくつかインタビューをしたいと思いここに伺いました。お時間よろしいですか?」


ムヒカさんに了承を得て,そこから約40分のインタビューをされたそうです。
彼女とムヒカさんの会話が記録された録音を聞かせていただいたのですが,緊張感バリバリの中,優しい空気が流れた空間がそこにはありました。


「すごい」の一言。話を聞き鳥肌が立ちました。

自分には考えられません。一国の元大統領。引退されているとはいえ,多くの世界の人々に影響を与えた人に突撃アタックできる強心臓の持ち主。

後日談として,彼女のこの経験が産経新聞のエッセーに掲載されました。この行動力とムヒカさんとの会話の内容が多くの人の心を打ったということも教えてくれました。

中には学校に行くことができていなかった小学生の男の子が彼女のエッセーを読み,「この人の勇気すごいね」と男の子の背中を押したことが,また記事にもなりました。


人の心を動かす力。誰もが持っている力ではありません。


私も感銘を受けた一人。
この話を聞き,鳥肌が止まりませんでした。
私も小学生の男の子と同じく,『カッコいい。ここまで行動できる勇気が素晴らしい。』そう思いました。


たった一人の行動で,多くの人に影響を与えられる。その行動があったから,救われた人がいる。


JICAボランティアも同じ。日本から外国に出かけ,自らの行動で誰かの背中を押し希望を与えることができるか。
彼女の話を伺い,自分の2年間の活動を見つめ直すとてもありがたい機会となりました。

彼女は今後も,世界の貧困問題・環境問題等の国際的課題に対し携わっていかれるそうです。

まだまだ,自分も勉強しなければ。そんな気持ちにしてくれます。
JICAボランティアを経験したからあった出会いの数々。今後も多くの人から学び,今度はパワーを与えられるように人生歩んでいこうと思います!

出会ってくださりありがとうございました!!

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