2015/05/30 Sat
人
人類の根源的な問いと共生を願う心
今回は少し趣を変えて、私の母校(高校)の先輩にあたり、一般社団法人協力隊を育てる会設立発起人、初代会長として青年海外協力隊の事業に多大な貢献をされた茅誠司氏(故人)の一面について紹介したいと思います。
『連帯を求める世界の中にあって、日本の明日を支える時代精神は、どういう気風のものたるべきであろうか(中略) 海外ボランティア活動として展開されている青年海外協力隊員の活動は冒頭の根源的な問いに一つの無言の答えを示している。』
これは、茅氏が手掛けた一般社団法人協力隊を育てる会 設立趣意書より抜粋したものです。今から約40年前、昭和51年に書かれたものが、現代にも通じるメッセージ性を帯びているように感じます。
そして、文章は以下のように続きます。
『協力隊を理解し育てて行くことと、この歴史的な課題に取り組んで行くことは表裏一体であり、それはまた人類文明の明日を考えることとも合致して離れるところがない。
われわれはアジア・アフリカなどの民衆にギリギリの距離まで迫って生きている隊員たちの活動の中身を更に充実させ、彼らがその地の人と自然から感受するものをより深くより豊かなものにして行きたいと願い、その実現のために有為の青年の参加気運を助長したいと考える。』
私の母校には氏を記念した「茅賞」というものがあったのでお名前は存じ上げていましたが、青年海外協力隊と深いつながりがあったことはブータンに赴任した後、協力隊を育てる会から毎月届く会報によって知りました(会報の題字は茅氏が手掛けたものです)。
さて、今年は青年海外協力隊が初めて派遣されてから50年ということで、協力隊を題材とした映画「クロスロード-Crossroads-」が2015年11月に公開予定とのことです。こういった機会に、青年海外協力隊の理念と実像がより一層、社会に伝わることを願っています。
それは茅氏のように協力隊の歴史を支えてきた人たちの願いであり、今現場にいる私たち一人ひとりの願いでもあります。
(茅誠司氏の写真は、時事画報社「フォト(1961年5月1日号)」より)
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