JICA海外協力隊の世界日記

井上幸一のクルシェヒル滞在日記

ユヌス・エムレ(Yunus Emre)をご存知ですか?

北西アナトリアのサカリヤ川流域で生まれ、イスラム神秘主義のベクタシュ教団とも関係が深いトルコの民衆詩人:ユヌス・エムレ(?~1321)は簡潔なアナトリア・トルコ語で人間愛、神への愛を歌い上げ、トルコ近代文学にも大きな影響を与えています。その素朴な作風は現在でも人々に愛され、UNESCOを通して世界各国で翻訳されています。彼の墓だと言われるものがトルコ国内だけでも13ヶ所もありますが、最も有力な墓がクルシェヒル市内から50分程のお隣アクサライと県境の山並の一つ(1267m)にあります。

クルシェヒルもアクサライもお互いが墓の所属を主張して譲らず、現在では毎年9月に両県が交互に彼の墓前で追悼イベントを行い、今年は17日にクルシェヒルが主催しました。プログラムは墓参、ユヌス・エムレ研究家の講演、宗教音楽の歌と演奏、そしてハイライトは、ユヌス・エムレの詩を如何に情感豊かに朗読するかを競う一般市民参加の「コンテスト」で最終選考に残った3名がイベント会場のステージで詩を朗読し、最優秀を決める決勝戦です。今年はトルコ語教師のVedat BILDIRCIN(写真左から2番目の男性、隣の女性達は3位と2位)が最優秀賞に選ばれ、見事賞金を獲得しました。

授賞式に続いてユヌス・エムレと彼の宗教的師との交流がテーマの寸劇が有り、その後墓域から5分程下った荒れ地の中に、彼が祈り、詩を吟じ、生涯を閉じたと言われている小さな建物「suffering house」を見学して山麓の村の学校で名物料理“クルシェヒル・プラウ”のランチでイベントは終了です。イベントの警備が非常に厳しく、外国人向けの観光素材としては正直、無理かと。ユヌス・エムレと彼の詩に感心の有る方は、東京・渋谷区の「ユヌス エムレ トルコ文化センター 東京」を訪ねてみてください。次回は10月初旬を予定。

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