JICA海外協力隊の世界日記

Sasa!ケニア・ティカ通信

日本の高校生の目にはアフリカはどう映っているのか? ~日本の高校のオンライン国際理解研修に参加しました!

Sasaみなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
先月、山形県立小国高等学校の「オンライン国際理解研修」に参加したので、今回のブログではそれについて書きたいと思います。

皆さんは、今のアフリカについてどれくらい知っていますか?アフリカについて、どんなイメージを持っているでしょうか?
今回の国際理解研修に参加した生徒たちは、高校1年生です。
ここで自分のことを振り返ってみます。高校1年生の時、私のアフリカに関する知識って何があっただろうか?と。
ライオンとかゾウとかキリンといった野生動物たちのイメージはあったでしょう。ルワンダ虐殺は1994年ですから、まだその記憶は生々しく残っていたかもしれません(※私が高校1年生だったのは1998年)
でもやっぱり、日本の10代の若者からしたらアフリカは遠い世界であって、あれこれ考えることはおろか、意識することもあまりなかった気がします。まさか、20数年後に自分がアフリカにいるなんて、想像もしていなかったはずです。
かつての自分と同じように、アフリカに関する知識はほとんどなく、普段からそんなに関心を持っていないであろう高校生たちに、少しでもアフリカについて関心を持ってもらえたらと思い参加しました。

小国高校のある「小国町」は山形県の南西端に位置し、国内屈指の豪雪地帯として知られています。
私が小国高校の国際理解研修に参加するのは、昨年に続いて2回目です。小国高校では国際理解教育に力を入れており、英語学習に留まらない、異文化理解を含めた教科横断的な教育を行っていて、これまでにアメリカや中国、マレーシアなどの10ヶ国以上の国とオンラインで交流を行ってきたそうです。
今回のオンライン国際理解研修・アフリカ編では、現在ケニア・モザンビーク・ルワンダ・ジンバブエなど、アフリカ各国に派遣されているJICA海外協力隊員との交流を行い、今のアフリカのリアルを知ってもらうことを目指しました。

冒頭で高校側より、アフリカ大陸の地理的な大きさ(日本の80倍!)や、年齢の若さと将来的な人口増加の見込み(中位数年齢:日本48歳、アフリカ18歳!)、アフリカならではのテクノロジーの発展(携帯・電子マネーの普及、ドローンの活用など)といった基礎情報について講義が行われ、その後で生徒たちと私たちJICA海外協力隊員との交流が行われました。

交流の中では、私たちがアフリカでどんな活動をしているのか、なぜ協力隊に参加しようと思ったのか、といったことを話した後、以下の7つのテーマを中心にディスカッションを行いました。

1.食べ物
2.伝統服
3.宗教
4.経済
5.教育
6.現地語
7.カルチャーショック

これらのテーマについて、以下のようなことを話しました。

【ケニアの紹介】
・アフリカの北と西にはイスラム教徒が多く、それ以外ではキリスト教徒が多い。ケニアはキリスト教徒が多く、人口の8割以上
・ケニアでは民族語・スワヒリ語・英語のトリリンガルの人が多い
・宗教・言語については、ヨーロッパ諸国による植民地支配の影響がある
・ケニア国内には40以上の民族がいる。民族によって、それぞれの言語・文化・ファッション・食文化などがあるので、一概に「ケニア人は~」と語れないことが多い。他のアフリカ諸国も、ヨーロッパによる植民地支配の影響によって、多民族国家である場合が多い(国家の成り立ちがヨーロッパや日本と異なる)
・教育については、8-4-4制から、日本と同じ6-3-3-4制に移行している途中。昔よりは良くなってきているようだけど、お金がなくて高校に行けない生徒や、義務教育さえもドロップアウトせざるを得ない子供たちは、日本よりもずっとたくさんいる
・ケニアでは「Mペサ」という電子マネーが普及している。電子マネー普及率は日本より高いかも?
・ケニアに1年半以上住んでいるけど、ケニアの料理でこれがおいしい!と自信をもってお勧めできるものはあまりないかも(高校生たち苦笑)。バナナやマンゴー、アボカドなどの果物は日本よりずっと安くておいしい
・スワヒリ語やキクユ語でのあいさつ

【高校生の感想】
・同じ大陸でも、気候や産業など色々な違いがあるのが面白かった。自分が思っていたアフリカに対するイメージが大きく変わったような気がします。
・普段、アフリカの国々のことを考えたことがなくて、アフリカの国々の現状や歴史などを知ることができとても楽しかったです。
・今まで思っていたアフリカのイメージとは全然違っていて、多くの人々がスマホを持っているのが意外だったし、キリスト教徒が多いのにもびっくりしました。経済格差はどこの国でも大きな課題だなとも思いました。
・アフリカの国が、ICTなどの方面でこんなに発達しているとは思っていなかったので、新しい発見だった。
・日本よりもキャッシュレス化が進んでいたりして、意外と発展している地域が多いんだなと思いました。

2グループとそれぞれ30分間、計1時間という短い交流時間の中で、どれほどアフリカに興味を持ってもらえる話ができたのか不安でしたが、以上のような感想をもらえました。
小さなことでも、彼らの心に刺さる内容があったのなら良かったと思います。
将来、アフリカに関わる仕事をする若者たちが、小国高校から輩出されることを期待したいです!

昨年に引き続き、小国高校のオンライン国際理解研修に参加させてもらったわけですが、最後にこの研修の企画・運営者についても触れさせてください。

小国町の「高校魅力化コーディネーター」である阿部 宣行さん。
元々、私と同じくJICA海外協力隊の2019年度3次隊・環境教育隊員として、いっしょに福島県の二本松訓練所で派遣前訓練を受けた仲間です。
現在は、日本の高校生の視野を広げるため、学校現場で探究学習や国際教育を担当されています。

山形県立小国高校HPへのリンク

私たちの派遣前訓練は、2020年1月から3月。Covid-19のパンデミックが発生し、世界中の隊員が一斉帰国を余儀なくなされた、まさにあのタイミングでした。
私は幸いにして、約1年間の待機期間を経て2021年3月にケニアに派遣されました。
段々と派遣再開される国が増えて、数年の待機期間を経て派遣されていく同期隊員たちがいます。
今回の国際理解研修に参加したアフリカの隊員たちも、みな同じ時期に二本松・駒ヶ根の訓練所で派遣前訓練を受けた同期ですが、派遣時期は別々です。元々予定されていた派遣国とは別の国に振り替えになった隊員もいます。

一方で、JICA海外協力隊以外の道を選択した同期もたくさんいました。阿部さんもその一人です。
進む道は別になりましたが、それぞれに自分の活動に邁進していく中で、今回こうしてそれぞれの活動が交わる機会に恵まれました。改めて協力隊に参加して良かったと感じましたね。
それまでの人生の中では出会わなかった、様々なタイプの人との出会いがあるのが、協力隊に参加する一つの魅力だと思います。

それではみなさん、Kwa heri!

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