JICA海外協力隊の世界日記

Sasa!ケニア・ティカ通信

ケニア隊員のティカ見学を受け入れました!

Hamjambo!みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
4月13~14日に、同じくケニアで環境教育の活動をしている同期隊員が、ティカに見学に来てくれました!

現在ケニアには環境教育隊員が4名いるのですが、同じ環境教育隊員でも、実は活動内容が大きく異なります。
JICA海外協力隊の「環境教育」は、大きく2つのタイプに分けられます。
一つは自然環境・生物多様性の保全に関わる環境教育活動を行う「グリーン系」。
もう一つは、廃棄物関係の環境教育活動を行う「ブラウン系」です。

今ケニアで活動している環境教育隊員の中で、ブラウン系は私だけです。
他の隊員は、動物保護や森林保全などのグリーン系の活動に主に取り組んでおり、ゴミ関係の活動を行うことはあまりないそうです。
そのため、ケニアのゴミ処理の現状や問題について学びたいということで、見学に来たというわけです。

ティカのカンゴキ処分場(Kang'oki Dumpsite)について見学レポートを書いてもらいましたので、そちらをお読みください!

今回、ティカのカンゴキ処分場を訪問させてもらいました。処分場に着いてびっくり。当たり一面ごみごみごみ・・ゴミの山。
ケニアに来る前からダンプサイトと、そこでウェイストピッカーとして生計を立てている人々の写真を見て衝撃を受けましたが、実物のダンプサイトは想像の倍の大きさで、この国が抱える途方もなく大きな課題に言葉が出ませんでした。
ケニアには充分なゴミ処理施設がありません。ゴミを一緒くたにして野焼きにするか、オープンダンプと呼ばれるゴミ山に投棄するか、になります。

私は活動の一環として、ケニア西部の動物保護施設でゴミ拾い活動をしています。
配属されて早々、園内にゴミが散乱しているのを見て、これはゴミ拾いをしなきゃ!と思い始めてみたはいいものの、処理施設がないのに拾ったあとはどうするんだ、という同僚の問いに、私のやっていることは結局ただの自己満足なのだろうか、と悩んだ事もありました。日本の視点から物事を見ていて、盲点を突かれた瞬間でした。最初はポイ捨てなんて非常識すぎ!と憤りを感じていましたが、処理施設がないのならポイ捨ても仕方がないよな、と感じるようになりました。

でもだからと言ってゴミ拾いを諦めていい理由にはなりません。モヤモヤしながらゴミ拾いをしている中で、廃棄物管理の活動を行っている同期隊員の配属先でもっとゴミ問題について学ぼうと思い、訪問させてもらったというわけです。

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今回は最終処分場を軽く見させてもらうだけの予定でしたが、前日の雨の影響で地面がぬかるんで車が立ち往生してしまい、結果として約6時間の滞在となりました。暑さと異臭とハエの多さで気が滅入りそうでしたが、お陰で忘れられない貴重な経験をすることが出来ました。
ウェイストピッカーの子どもたち数名にも会いましたが、みんな人懐っこくて明るくて、日本語に興味津々。ケニアに来る前はゴミを漁って生計を立てているかわいそうな子たち、というネガティブなレッテルを知らぬうちに貼っていましたが、彼らの笑顔はとても眩しかったです。もちろん、表面上には見えない彼らなりの事情があると思いますが、これは実際に現場に足を運ばなければ得られない感情でした。

ゴミ問題はゴミ処理施設が不十分な途上国の問題だけではありません。日本含む先進国がもっと取り組んでいかなければならない課題の一つです。
例えば、日本はリサイクル率の高さを謳っていますが、実際にはプラスチックゴミの多くをリサイクル原料として中国に輸出していました。
2018年に中国がプラゴミの輸入規制を行ったため、多くの先進国が現在自国のプラゴミの対処に追われています。また、日本ではゴミの焼却が進められてきたため、生ゴミのリサイクル(堆肥など)が進んでいません。
他にも、古着の寄付などとして先進国が「善意」で送った結果、途上国が古着の「最終処分場」になってしまっている、というニュースを見ると、先進国側の問題も非常に大きいなと痛感させられます。

普段の生活の中で意識するのは難しいかもしれませんが、「ゴミ箱に入れたらはい終わり!」ではなく、ゴミは捨てた後どうなるのか、誰がどうやって処理をしているのか、少しでも関心を持つことで変わるものがあると思いました。
今回の訪問は、自分の活動の糧になったのはもちろんですが、日本へ帰国後に、自分が出したゴミが遠くの国にどう影響を及ぼすのか、自分の身の振り方を考えるという意味でも非常に有意義な時間でした。

また、同期隊員の活動を見て、配属先や任地が異なると、こうも人間関係や悩むポイントが異なるのだな、という気づきもあり、頑張っている同期をみて励みにもなりました。
みなさんもぜひ他の隊員の配属先に足を運んでみてください。きっと新たな気づきや刺激を得られるはずです。

そんなわけで初日は処分場で一日終わってしまい、街中のゴミ収集の見学ができませんでした。そこで予定変更して、翌日の朝に見学を行うことに。またゴミ収集トラックに乗って、収集員たちの仕事を見学したり、収集作業を体験したりしました。

処分場がぬかるんで、トラックがスムーズにゴミを捨てられなくなると、処分場だけでなく街中にも影響が出ます。
例えば、トラックが1日に街と処分場を3往復しているとして、処分場でぬかるみにはまってしまうとそれが1往復しかできないことになります。そうすると、いつも回収しているゴミの3分の1の量しか回収できなくなってしまいますよね...

案の定、街中はゴミが多くなっていました。ゴミが街中に溢れていると、それだけ作業効率も下がります。
こうしてケニアのゴミ収集の様子を見学していると、日本のゴミ収集がどれだけ様々な工夫の上に成り立っているかがよくわかります。
有料のゴミ袋を使うこと、ゴミをちゃんと分別すること、決められた日に集積場にゴミをだすこと、すべてにちゃんと意味があり、それらが守られているからこそ、日本では街中がゴミだらけにならずに済んでいるのです。
同時に、ゴミ収集がいかに大変で重要な仕事なのかということも。ゴミ収集員の人たちの仕事は、まさに社会を支える「エッセンシャル・ワーク」なのです。日本で暮らしていると、なかなか思い至らないことかもしれませんが。

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ケニアは、JICA海外協力隊員がたくさん派遣されている国の一つです。
隊員がたくさんいることのメリットの一つとして、今回のように他の隊員の活動を見学に行きやすい、というのがあると思います。
隊員として自分の配属先の活動に集中していると、なかなか別の視点を持てなくなります。こうして他の隊員の活動を見学することで、自分の活動に役立つ新しい発見があるかもしれませんし、他の隊員のがんばっている姿を見て、自分のモチベーションアップにつながることもあるでしょう。
途上国でもネット環境が整ってきている今の時代には、オンラインでも情報交換することも可能です。しかし、実際に現地を訪れ、目で見て、雰囲気を体感することも大切であると改めて思いました。

私の任期は残すところ10ヶ月ほどになりましたが、残りの期間の中で、他の隊員たちの活動を見に行く機会を作りたいと思っています。
それではみなさん、Kwa heri!

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