2022/07/07 Thu
人 任国 活動
ゴミ拾いとリサイクル
Niaje?みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
今回は、ケニアのリサイクル事情について書いてみたいと思います。
みなさんの住む地域では、缶や古紙などのリサイクル品がどのように回収されているかご存知でしょうか?
可燃ゴミと同じように、決まった曜日に回収されるパターンや、自治会で資源物回収を行うパターン、スーパーマーケットやショッピングモールが資源物を回収しているというパターンなど、お住まいの自治体によって色々ではないかと思います。
では、私の住んでいるケニアのキアンブ郡ではどうかと言いますと、自治体で資源物を回収するような取り組みは、ほぼ行われていないというのが実状です。
あらゆるゴミがいっしょくたに捨てられており、そのまま回収されて処分場に運ばれています(回収すらされないゴミもたくさんあります...)。
稀にショッピングモールなどに資源物回収ボックスが置かれていることはありますが、ほとんどのゴミは分別されていないと考えられます。
そんなケニアのような国でも、リサイクルは存在します。途上国のリサイクルにおいて重要な役割を果たしているのが、「ウェイストピッカー(Waste Picker)」と呼ばれる人々です。
ウェイストピッカーとは、ゴミを拾って生計を立てている人々のことです。ゴミの中から金属やプラスチック、古紙などの資源物を拾い集め、回収業者に買い取ってもらうことで、現金収入を得ています。
街中を歩き回って、家庭や商店から出されたゴミの中から資源物を集めるウェイストピッカーと、処分場で収集トラックが運んできたゴミから資源物を集めるウェイストピッカーがいます。
前者の仕事をしているストリートチルドレンのことを、特に「チョコラ(Chokora)」とも呼ぶようです。
生ゴミも資源物もすべてごちゃ混ぜになったゴミから、資源物を手作業で拾い集めています。
集めた資源物は、回収業者によって引き取られます。
処分場では同じ種類のものを一箇所に集めて、トラックで来る回収業者に引き渡されています。
上の写真は、ペットボトルの回収業者です。トラックの中にも、周りにぶら下げたフレコンバッグの中にも、ペットボトルがぎっしり入っています。
ガラス瓶や金属、古紙類なども同じように、回収業者のトラックによって運ばれていきます。
街中だと、集めた資源物を担いで回収業者のところまで持っていくようです。
このように計りで重さを計って、単価×重量でお金が支払われます。
回収された資源物ですが、ペットボトルなどはプラスチック製品の原料としてフレークに加工され、輸出されているそうです。一方で、古紙類はケニア国内の製紙会社で原料として使われることも多いようですね。
他にも、処分場では食品残渣を集めて売っている人もいます。ブタのエサになるのだそうです。
袋に詰めたものを、ボダボダと呼ばれるバイクタクシーが運んでいきます。
これはリサイクル(再資源化)というよりは、リユース(再利用)に該当するのでしょうね。
このようにケニアでは、ウェイストピッカーによって資源物のリユース・リサイクルが行われていますが、キアンブ郡全体で排出されるゴミのうちリユース・リサイクルされるのはほんの数パーセントにすぎないという調査結果があります。
このような方法でのリユース・リサイクルには限界がありそうです。
上↑の写真の中央左側に、ウェイストピッカーが回収した古紙類(牛乳パック)が集めて置かれています。
ケニアでは、発生するゴミの60~70%が生ゴミであるそうです。
まだ人口の増加と経済発展が続いている国ですから、年々ゴミが増加して、処分場を圧迫します。
そのため、生ゴミのリサイクルを進めることは理にかなっていると言えます。
生ゴミのリサイクルというと、最も一般的なのは堆肥化(Composting)かと思います。
ケニアは人口の3割以上が農業従事者であり、農業は主要な産業ですから、堆肥の需要も大きいはずです。
他にも、以前に見学した工場では、生ゴミをエサに昆虫を育てて、その幼虫をニワトリやブタのエサに加工していました。
バイオガスの製造も、化石燃料の消費削減の観点から良さそうですね。
ケニアでは、こういったリサイクルは政府よりも民間企業によって進められているという印象です。
さて今回は、ケニアのリサイクル事情とウェイストピッカーとの関係について解説しました。
こちらでは「リニア・エコノミー(直線型経済)からサーキュラー・エコノミー(循環型経済)へ」という目標が、まことしやかに語られています。
ゴミの60%を占める生ゴミと、30%を占める資源物をリサイクルし、残る10%のゴミのみを埋立することで、持続可能な廃棄物管理ができる、というものです。
しかしながら、ケニアの現状を見ている者としては、まだまだ先が長いな...という印象を受けます。いずれはアフリカでも循環型経済が実現することを期待したいですね。
それではみなさん、Kwa heri!
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