JICA海外協力隊の世界日記

Sasa!ケニア・ティカ通信

ゴミ処分場の生き物たち

Jambo!みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。

最近は、ゴミ処分場での活動がメインになりつつあります。
前回のブログでは、ゴミ処分場で働くウェイストピッカーの人々について触れましたが、処分場にいるのは人間だけではありません。
たくさんの生き物たちにとっても、処分場は生存の場となっています。

例えば、昆虫だとハエがたくさんいます。生ゴミがたくさん捨てられていますから、ハエにとっては格好の繫殖場所です。
普通の日本人が一生に見るであろう数の何倍ものハエを見ることができます...(苦笑)

Kangoki Animals02.png

哺乳類だと、処分場で真っ先に目につくのはイヌたちでしょう。
ティカの街中では、そんなに野良犬を見かけることはないのですが、処分場にはたくさんいます。
このイヌたちはどうやら野良犬ではなく、ウェイストピッカーたちの飼い犬のようです。何頭ものイヌを引き連れている人もいます。

イヌたちは非常に人に慣れていて、人に対して吠えたり噛みついたりはしません。
寝ている真横を人が歩いたらびっくりして飛び起きそうなものですが、平気で寝ています。

処分場では、浸出水といってゴミから真っ黒な水がしみ出てきます。それがあちらこちらで水たまりになっているのですが、イヌたちはその水を飲んだり、水浴びをしたりしています...
どう考えても健康に悪そうに思えますが、イヌたちは処分場を走り回り、エサを漁り、仲間同士でじゃれたり喧嘩したりして元気に過ごしています。

おとなしくもたくましい処分場のイヌたちです。

次によく見かける哺乳類は、ウシです。
処分場の近くに、放牧をする人のコミュニティがあるそうで、彼らがウシの群れを連れて処分場にやってきます。

処分場に限らず、ティカの街の周りでも放牧をしている人たちがいます。
ウシやヤギ、ヒツジなどの家畜の群れを連れて、街の周辺の草地を回っています。時にはけっこう街中まで来ることもあります。
一度に何十頭もの家畜の群れを引き連れている人もいて、よくこんな数の動物をコントロールできるものだと感心します。

処分場にウシを連れてきてどうするのか、と思われるかもしれません。
前回のブログで、ケニアのゴミの60~70%が生ゴミだと書いたのを覚えていますでしょうか?
生ゴミには、たくさんの野菜や果物のくずがあります。ウシたちはこういったものを食べているのですね。

しかし、ウシたちをよく見ていると、生ゴミ以外の紙やプラスチック製の食品包装などを口に入れて食んでいることがあります。
ケニアでは、日本でいう「レジ袋、ビニール袋」の製造・販売・使用が2017年に禁止されましたが、それ以前には処分場や街中にたくさんのレジ袋が散乱していたそうです。
そして、死んだウシを解剖したところ、胃袋からたくさんのビニール袋が出てきた、ということがあったようです。それがレジ袋禁止の一つの要因になったと聞きました。

とは言え、このウシたちがエサを漁っているのは、様々なゴミが集められてくる処分場です。
レジ袋がなくなった今でも、プラスチックの包装容器などを食べてしまうリスクは依然ありますし、それ以外の有害物質を口にしている可能性は高いと思います。
恐ろしいのは、おそらく処分場で育ったウシたちも、最終的には食肉となって流通していくことなのです...
ケニアでは肉と言えば牛肉です。一番安く、よく食べられています。処分場でゴミを食べて育ったウシの肉は果たして安全なのか...気になるところです。

さて、処分場のイヌとウシの関係はどのようなものでしょうか?両者は仲良し...とはいきません。
イヌたちは、縄張りに入ってきたウシたちに吠えかかり、追い払おうとします。
大抵のウシはおとなしく引き下がるのですが、中には気の強いウシがいて、逆に角を向けてイヌたちを追い払おうする者もいます。特に、写真に写っているような、体格の大きいウシが強気ですね。

処分場にいる生き物で、鳥たちは外せません。
直立すると身長1mを超える大型の鳥であるアフリカハゲコウや、カササギのように白い羽のあるムナジロガラス、日本のものと似ているスズメやトビ、色鮮やかなムクドリやインコの仲間、サギやトキの仲間など、それだけでブログが一本書けそうなほどに様々な鳥類が処分場の周辺に生息しています。
前述のとおり、処分場にはおびただしい数のハエが生息していますし、それ以外にもたくさんの昆虫がいるでしょうから、鳥たちにとっては絶好の餌場であろうと推測できます。
周辺には湿地があり、もともと鳥が多い場所だったかもしれません。

それ以外にも、ウェイストピッカーに聞いた話では、夜になるとハイエナやシマウマなどの野生動物たちが、処分場にやってくるのだそうです...!
夜の処分場は非常に危険な場所ですし、そこにハイエナが現れるとなると、見に行くわけにはいきません。しかしすごい話です。アフリカならではですね。

処分場はオープンダンピング(野積み)で、フェンスなどがあるわけではないため、様々な生き物たちが入り込んでくる環境にあり、彼らはゴミの中から食べ物を漁っています。
生き物たちはたくましいな、と思う一方で、この環境が動物たちの健康や行動に大きな影響を与えているのではないか、と気になってしまいますね。

それではみなさん、Kwa heri!

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