JICA海外協力隊の世界日記

Sasa!ケニア・ティカ通信

任地のゴミ事情と配属先の課題 その③

Jambo!みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。

引き続きティカの街中のゴミ問題について知っていただこうと思うのですが、ちょっと脱線したいと思います。
私の配属先であるティカ環境事務所は、ティカの街のゴミ収集や路上清掃を担う部署で、100名を超える職員が働いています。
この職員の男女比率ってどれくらいだと思いますか?

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正解は、男性4:女性6です。
意外な結果でしょうか?それとも予想通りでしたか?

この部署には、ゴミの収集員やトラック運転手、最終処分場で働く職員、市役所の清掃員など様々な仕事がありますが、特に人数が多いのは路上清掃員です。
冒頭に挙げた写真のように、路上にポイ捨てされたゴミをほうきで掃いて、街をきれいにする仕事です。
職員全体の約半数を占める路上清掃員。その多くが女性なので、全体の女性の比率が高いのですね。ゴミ収集員にも女性はいますが、トラック運転手には一人もいません。
日本の自治体の清掃事業に従事する職員は、おそらく男性の方が多いと思うのですが、この点に関しては単純な比較はできなさそうですね。

以前のブログでも軽く触れましたが、こちらでは路上のゴミのポイ捨ては当たり前です。何もせずに放っておけば、数日のうちに街中ゴミだらけになってしまうでしょう。
そのため、路上清掃の仕事は非常に重要なのです。
ティカの中心街(Central Business District=CBDと呼ばれます)には夜間シフトの清掃員がいて、日夜問わず清掃が行われているほどです。

そこまでしていても、日本人の感覚からすれば「街中にゴミが多いなぁ...」と感じます。課題は多いですね。

路上のポイ捨てが当たり前だったり、街中の至る所に違法ゴミ捨て場があったりするケニアですが、実際にはそれらの行為は違法です。
私の配属先の仕事の中には、ゴミの違法投棄の取り締まりもあります。

ここ最近、熱心に取り組んでいるのは、写真に挙げたような不法投棄禁止の表示です。
ゴミ収集用の重機を使って、違法ゴミ捨て場に岩を運び、ペンキで禁止の表示を描いて、即席の看板にするのです。
お金をかけずにできるうえに、前回のブログで触れた「スキップ」と呼ばれる大型のゴミ箱の設置と並行して行うことで、それなりに成果をあげています。

この禁止表示にも関わらずゴミを捨てた人を、実際に逮捕・起訴することもあります。
逮捕され、多額の罰金が課せられたことが口コミで広まると、人々が恐れてゴミを捨てなくなるそうです。
しかし、この取り締まり業務を行う環境担当官は数が少なく、しかも他にも様々な業務を兼任していることから、取り締まりには限界があるのも事実です。

さて、このように課題が山積みのケニアのゴミ事情に対して、私が担当する環境教育はどのように役に立つのでしょうか?

現在まだ、みなさんに「こんな活動をしています」と報告できる段階ではないのですが、同僚とともに計画している活動が2つあります。

一つ目は、「エコ・スクール・プロジェクト」というもので、学校を訪問し、環境教育の出前授業を行うものです。
対象となるのは、日本で言うと小学校高学年の、学校の「環境クラブ」に所属している児童です。
児童たちは、家・学校・街の環境をきれいにすることの重要性や、ゴミの分別などを学びます。
これは私の前任の隊員が立ち上げたプロジェクトで、今回はティカだけでなく、キアンブ郡内のより多くの学校に展開することを目指しています。

こういった学校の児童・生徒に対する環境教育ですが、即効性はあまりないと考えられます。
もちろん、児童たちがゴミをポイ捨てしなくなったり、家族に授業で学んだことを話すことで家庭へ波及することもあるでしょうが、やはり効果は限定的でしょう。
ゴミのポイ捨てや不法投棄を行っているのは、多くが大人だと考えられるためです。

しかしそうであっても、これはやらなければならない活動だと考えます。
何十年も前の日本では、ゴミのポイ捨て・不法投棄は当たり前で、今のケニアのような状況であったそうです。
そうした状況は、主に行政によるゴミ収集体制・施設・法律の整備や、不法投棄の取り締まりといった事業が連綿と続けられてきたことで改善されてきたわけですが、その一方で学校教育が果たした役割も大きいです。
現在では、日本の小学校3~4年生で廃棄物管理について学び、クリーンセンターや最終処分場などの見学を行っています。
環境やゴミについて学んだ児童たちが大人になったときに効果を発揮する、それが学校での環境教育の意義です。

その点を考えると、私の活動は対象の児童数が少ないので、効果は非常に限定的かもしれません。
しかし、千里の道も一歩より、ということわざもあります。将来的に持続・拡大していくような活動にしていく必要があります。

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もう一つの活動は、地域コミュニティからコミュニティ環境ボランティア(Community Environment Volunteer=CEV)というボランティアを募り、彼/彼女たちに環境教育を行って、それぞれのコミュニティにおける環境問題に取り組んでもらうというものです。

それぞれのサブカウンティには環境担当官が1~2名いて、彼/彼女たちが環境教育を担当します。
しかし彼/彼女たちは、それぞれサブカウンティの環境事務所のトップであり、他にも様々な業務を担当しているため、環境教育に多くの時間を割くことはできません。幅広く環境教育を行いたくても、限界があるのですね。

そこで、コミュニティ環境ボランティアを募り、一部の環境教育活動を肩代りしてもらおうという計画です。
正直なところ、無給のボランティアによる活動でどの程度の成果があがるのかは、今の段階ではわかりません。しかし、予想以上に無給ボランティアでも参加したいという人が多くいて、驚いています。
まずは活動を立ち上げてみて、どの程度の効果が見込めるのかを確かめてみたいと思っています。

いずれにしても、環境教育は将来的に継続・拡大していかないと効果がありません。一時的なプロジェクトを行っても、その時限りで終わってしまうでしょう。
私がケニアに来てもう9ヶ月が経過しています。残された活動期間は1年と数ヶ月。何かしらの成果を残して終われるようにがんばります!

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