JICA海外協力隊の世界日記

Sasa!ケニア・ティカ通信

任地のゴミ事情と配属先の課題 その②

Mambo! みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
前回のブログではゴミの最終処分場について書きましたが、今回は私の任地であるティカの、街中のゴミ事情と課題について書きます。
このテーマだと、かなり内容が盛りだくさんになってしまうので、何回かに分けて紹介したいと思います。

さて、冒頭に挙げた写真ですが、ティカの街中で見られる光景です。
日本ではなかなか見られない光景ですよね。

私の配属先では、こういった場所を違法ゴミ捨て場(Illegal Dumpsite)と呼んでいます。
周辺の住民たちが、自宅で出たゴミを捨てていくことで、自然発生的にこういった場所ができてしまうのです。

このような場所は、市内に一箇所や二箇所ではありません。
これは特に大きなものではありますが、大小含めて無数の違法ゴミ捨て場が市内に存在します。
ゴミのポイ捨ても当たり前なので、初めて来た時は何というゴミだらけの街だろうと思いました。
最近は、かなり見慣れてきてしまっていますが...

配属先のティカ環境事務所では、こういった違法ゴミ捨て場を減らすことを課題の一つとしています。
ゴミが放置されることで、病気を媒介するハエなどの害虫が繁殖したり、周辺に悪臭が広がったりと、環境問題を引き起こすためです。
こういった場所をそのまま放置するわけにいかないため、環境事務所の収集作業員が定期的に収集を行っていますが、あまりにゴミの量が多いとバックホーなどの重機を使用しなければならならず、ゴミ収集の効率を下げる要因になっています。

backhoe01.png

ゴミの収集は配属先の主要業務の一つです。
収集は、この写真のようなやり方で行われています。
ゴミ収集車が住宅地へ行くと、クラクションを鳴らします。それを聞きつけた人々が、ゴミを持ってやって来るのです。

正直に言って、このやり方は効率が良いとは言えません。
週に2回程度、平日の日中にゴミ収集車が来るのですが、勤め人や学生たちはその時間帯に家にいないので、ゴミを出せません。
町の隅々まで回るわけではないため、ゴミ収集車のルートから外れてしまう地区もあります。
しかし、配属先としても人員、設備、コストなどの面でやれることには限界があるのです。

キアンブ郡の方針として、一般家庭のゴミ収集は民間のゴミ収集事業者へ移管したいという意向があります。
民間事業者が一般家庭のゴミを、行政は事業者(会社や工場など)のゴミをそれぞれ収集する、という住み分けを目指しています。
これは日本とは反対です。日本では、一般家庭のゴミは行政が収集することになっており、事業者は自らの責任で民間事業者に依頼してゴミ処理をしなければなりません。

これには、いくつかの狙いがあります。
一つには、人員や設備の不足を民間事業者の参入によって補いたいという狙いです。
人手を増やして、ゴミ収集サービスがカバーできる範囲を広げることで、ゴミの収集率を高めることができますね。
そしてもう一つ、雇用創出の目的があるそうです。
ケニアでは若者の失業率が高いため、ゴミ収集事業の門戸を職のない若者へと開きたい、ということだそうです。
若者グループがゴミ収集業者として政府に登録申請する場合、通常の業者と比べて年間の登録費が割安になるなどの優遇措置があるようです。

しかし郡政府の意向とは裏腹に、ゴミ収集のためにお金なんて払いたくない、という人はたくさんいます。日本と比べれば、貧しい人が多いのは事実ですから。
そういう人たちにしてみれば、税金を納めているのだから郡政府がゴミ収集をしてくれるのは当たり前だと思うでしょう。
わざわざゴミを出すのにお金など払いたくないし、郡政府が一般家庭のゴミを収集してくれないというなら、どこかその辺に捨ててしまおう、という考えになるのは無理もないことです。

調査によると、キアンブ郡におけるゴミの収集率は50%未満とみられています。
つまり、人々が排出したゴミのうち、半分以上が収集されないままになっているのです。
生ゴミなどは、ヤギなどの動物や、鳥や虫が食べたり、腐ったりしてそのうち分解していきますが、プラスチック類はなくなりません。
水の流れによって川から海へと流れついたり、土の中に埋まったり。あるいは道端で燃やされてしまったりしています。

限られたリソースの範囲内で、いかにごみの収集率を高めていくかが、配属先の重要な課題の一つです。

トラックでのゴミ収集のほかには、スキップ(Skip)と呼ばれるコンテナを用いたゴミ収集があります。
スキップを大型のゴミ箱として街の中に設置するという方法です。スキップには約5トンのゴミが入るそうです。

スキップの良いところは、スキップローダーという専用の車両による回収・輸送がしやすいことです。

skiploader01.png

車載の装置で積み降ろしができ、最終処分場まで輸送することが可能です。

ここ最近、配属先ではスキップの設置個所を増やして、ゴミのポイ捨て/不法投棄を減らす試みを行っています。
スキップによるゴミ回収も、環境面などの問題がないわけではないのですが、現状に比べれば改善が図れるだろうと思います。
「ゴミを不法に捨ててはいけない」という取り締まりを行うと同時に、「ゴミを捨てて良い場所」を提供することが必要なのですね。

次回も引き続き、ティカのゴミ事情と配属先の課題について書いていきたいと思います。
それでは、Kwa heri!

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