JICA海外協力隊の世界日記

Sasa!ケニア・ティカ通信

ケニア西部隊員の配属先訪問の旅~前編

Irio nade?みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
いよいよ残りの任期も残すところあと1ヶ月ほどとなりました。着実に日本に戻るタイミングが近づいています。

帰国前にやり残したことは少しでも減らしておきたい!と思い、先月1月に初めてケニア西部へと旅をしました。
ケニアは、アフリカ大陸の中ではとりわけ面積の大きな国というわけではありませんが、それでも約58万平方キロメートル日本の約1.5倍の広さがあります。
インド洋に面した海岸地域から、5,000mを越える国内最高峰ケニア山まで、地形もバラエティに富んでいます。温帯・熱帯・乾燥帯・寒帯と気候も多様です。
またケニア国内には、それぞれ異なる言語・文化・伝統を持つ民族が40以上もおり、それぞれの地域で暮らしています。

今回訪問したケニアの西部には、アフリカ大陸最大の湖であるヴィクトリア湖があります。
ケニア、タンザニア、ウガンダの3ヶ国にまたがる湖で、その面積は68,800平方キロメートルあります。
九州の面積が36,782平方キロメートル、四国が18,800平方キロメートルですから、九州と四国を両方とも湖に浮かべることができてしまうサイズです。65,268平方キロメートルのセイロン(スリランカ)島よりも広いです。その大きさがイメージできるでしょうか?
上の写真は、ヴィクトリア湖に沈む夕日です。ヴィクトリア湖を見ることができたのは、この旅の一つの大きな収穫だったと思います。

今回は前後編にわけて、私が訪ねたケニア西部地域や、そこで活動している隊員たちについて紹介したいと思っています。

最初に訪れたのは、シアヤ郡のシアヤ(Siaya)です。
現在ケニア隊員が派遣されている場所としては、最も西に位置しています。
ナイロビから陸路で400km以上の道のりを、長距離バスに揺られること約10時間かかって、ようやく到着しました。

シアヤ

シアヤは、ルオ(Luo)という民族の人々が多い地域です。
彼らの話すルオ語は、公用語のスワヒリ語や、私の任地で話されているキクユ語とは言語系統が異なる言語です。普段聞き慣れているのとは違う言葉が聞こえてくると、外国に来たような感覚になりますね。このブログの冒頭のあいさつ「Irio nade?」は、英語の「How are you?」にあたるあいさつです。

シアヤ郡の中心であるシアヤは、人口3~4万人程度の町です。30万人近い人口を抱える私の任地ティカと比べると、のんびりした雰囲気です。落ち着きます。
ナイロビやティカと比べると標高が低く、気温と湿度が高いですが、日本の夏に比べるとそれでもさわやかな気候と言えます。

ここシアヤで活動しているのは、大谷隊員です。
シアヤにある、犯罪を犯した女性たちとその子供たちが収容されている更生施設で、青少年活動隊員として活動しています。
施設では、彼女たちにミシンを使った裁縫や、美容室での髪結いの技術などを指導し、社会復帰に向けたトレーニングを行っているそうです。

大谷さんはここで、彼女たちにアフリカ布を使ったポーチやコースターなどの小物づくりを指導しています。
作る技術を習得させるだけでなく、作った小物の販路を開拓し、収益を女性たちに還元しているほか、どんな商品が売れるのかを考えることも教えているそうです。
一部の商品は、首都ナイロビでも販売されているようですよ。
他の地域で活動している栄養士隊員とコラボして、料理教室も実施しています。

Western02-2.jpg

こうした講座を行っている間に、当番で子どもたちの面倒を見る体制をつくるというのも、彼女が取り組んでいることです。
この施設には、女性たちの子供たちがいっしょに収容されています。0歳の赤ちゃんもいます。
子供たちの面倒を見ながらトレーニングを受けるのは難しいので、みんなが講座を受けている間に、交替で誰かが子供たちの面倒をみるようにしているそうです。

続いて向かうのは、キスム郡のキスム(Kisumu)です。
キスムはヴィクトリア湖に面した人口約40万人の都市で、この地域の中心的な街です。ここキスムもルオ人が多い地域です。
シアヤよりもさらにヴィクトリア湖が近く、標高も低いため、気温と湿度が高く蒸し暑い気候です。

イギリス植民地時代の20世紀初頭に、ウガンダ鉄道がこの地まで建設され、そこから発展した都市だそうです。
街の規模は小さいものの、高いビルや商業施設が建ち並び、多くの車やバイクが行き来する光景は、首都ナイロビと大きく変わりません。
都市として整備・開発されてきた街という印象ですね。

キスム

ここでは、キスムで活動している2人の隊員について紹介したいと思います。

一人目は、KWS(Kenya Wildlife Service=ケニア野生生物公社)の「Kisumu Impala Sanctuary」という施設で活動している、原田隊員です。
この施設では、負傷したり、親が死んでしまったり、人間との軋轢(農作物を荒らす、人や家畜を襲うなど)によって問題が起きた野生動物たちを保護し、動物園のように公開しています。
ライオンやチーター、ダチョウなど様々な動物たちがここで飼育されています。インパラやシマウマなど一部の動物は、おりに入れられることなく、園内を自由に歩き回っています。

原田さんは環境教育隊員として、この施設に派遣されています。
KWSの飼育員たちとともに動物の世話をしつつ、来園者を対象とした環境教育を行ったり、来園者向けの展示物を整備したりしています。

また、園内のヴィクトリア湖岸には多くのゴミが漂着するため、湖岸のゴミ拾いを通じた環境美化にも取り組んでいるそうです。
集めたゴミを使って、環境教育プログラムとしてゴミ工作を行ったり、展示物を製作したりしているようです。上記の写真の展示物にも、一部ゴミが使われていますね。

Western03-2.jpg

二人目は、この地域を管轄する保護観察所に派遣されている佐野隊員です。

佐野さんは、ソーシャルワーカー隊員として派遣されており、保護観察所のオフィサーたちとともに働いています。
保護観察対象者の面談に同席しているほか、犯罪を犯した子供たちを一時的に収容するリマンドホームという施設でも活動を行っているそうです。

この続きは後編にて!それではみなさん、Oriti!(ルオ語でさようなら)

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ