JICA海外協力隊の世界日記

Sasa!ケニア・ティカ通信

ケニア西部隊員の配属先訪問の旅~後編

Chamgei!みなさんこんにちは。ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
前回に引き続き、西部地域への旅について書いていきたいと思います。
西部地域で活動している隊員の訪問が主な目的ではありましたが、他に訪れた場所もいくつか紹介したいと思います。

まず紹介するのは、ホマ=ベイ郡のビタ(Mbita)です。
ビタは前編で紹介したシアヤの南側に位置する、ヴィクトリア湖岸の漁村です。シアヤからルアンダ・コティエノという漁村へ行き、そこからWater Busと呼ばれるフェリーに乗って対岸のビタへと移動しました。
ビタは、ヴィクトリア湖に突き出した半島に位置しており、周りを湖に囲まれた地形をしています。

ビタ

ケニアの魚料理は、基本的に揚げ魚が多いです。素揚げで食べるか、揚げた魚をスープ煮したものが出てきます。
しかし、ここビタでは新鮮な魚が手に入ることから、揚げずに調理された「フレッシュ」な魚を食べることができます。ケニアではこれぞと思う「地のもの」に出会うことがないのですが、ビタの魚はおすすめです!

他にも、ヴィクトリア湖では「オメナ」という小魚の漁が盛んです。この小魚を日干しにしたものがオメナとして売られており、スープなどに調理して食べます。
オメナの漁は夜間に行われます。上の写真が漁の様子です。湖上にいくつも電灯を浮かべます。その明かりに昆虫が引き寄せられてきます。そうして湖面に集まった昆虫を狙って、オメナが水面に集まってきたところを、網で捕まえるのだそうです。
こうしてビタでは、湖に浮かぶ幻想的な夜景を見ることができるのです。

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続いて紹介するのは、カカメガ郡にあるカカメガ・フォレスト国立保護区(Kakamega Forest National Reserve)です。キスム市からマタツに乗って、3時間程度で行くことができます。
カカメガ・フォレストは、ケニア唯一の熱帯雨林として知られています。アフリカの熱帯雨林というとコンゴ民主共和国に広がる広大な森が有名ですが、かつてこの熱帯雨林は、西アフリカからコンゴを経て、ウガンダそしてケニアまで広がっていたのだそうです。
人類の活動領域が広がり、それにともなって森林が伐採された結果、ケニアに残った熱帯雨林は、ここカカメガだけになってしまいました。

他のケニアの森とは雰囲気の違う、鬱蒼とした森が広がります。しかし、熱帯雨林というイメージとは違って蒸し暑くはなく、かえってひんやりと涼しかったのが印象的です(ケニアでは1~2月が年間で最も暑い時期です)。
森の中では、様々な種類の植物のほかチョウ、サル、ヘビ、鳥類などの動物を観察することができます。かつては日本の研究者がここでチョウの研究をされていたと聞きました。ヒョウやシカ、イノシシなどの動物も生息しているようです。
かつてはここカカメガ・フォレストにもJICA海外協力隊員が派遣されており、その隊員の作った環境教育の資料が今でも施設に展示されています。

ここカカメガは、ルヒャあるいはルヤ(Luhya)と呼ばれる民族が多い地域です。ルヤ人は、ケニアではキクユ人に次いで2番目に人口の多い民族です。
ルヤ語はバントゥー系の言語で、スワヒリ語やキクユ語の仲間なのですが、ちらっと聞いた限りではぜんぜんわかりませんでしたね...

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キスム郡では、キスム市以外にアヘロ(Ahero)という町も訪問しました。
アヘロはキスム市の東、車で約40分程度の場所にある人口7~8万人の町です。稲作が盛んで、季節になると水田に稲穂が揺れる光景が広がるそうです。
町の市場には精米所が併設されており、ここで精米されたお米は私の任地ティカへも出荷されているようです。

アヘロ

このアヘロで活動しているのが、栄養士隊員の大野隊員です。
大野さんは、現地の保健事務所に配属され、コミュニティの学校での栄養クラスの担当をしつつ、地元で活動しているNGOともいっしょに活動を行っています。
地元で穫れるキャッサバや、スクマという葉物野菜を使用したケーキやクッキーなどのレシピを開発し、NGOの調理施設で製菓指導を行っているそうです。

また、前編で紹介した大谷隊員の配属先を1ヶ月に1回訪問し、収容者の女性たちに対する料理教室を実施しています。
ケニアでは、妊産婦や授乳中の女性の栄養不足が問題であり、そういった女性たちに対する栄養指導に力を入れていきたいそうです。

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旅の最後に訪れたのは、ウアシン=ギシュ郡の中心都市エルドレット(Eldoret)です。
標高2,000mを超える高所に位置する街で、温暖なヴィクトリア湖周辺の地域とは打って変わって冷涼な気候です。朝晩は特に寒さを感じました。

エルドレット

ウアシン・ギシュ郡をはじめとするこの地域はリフトバレーと呼ばれ、カレンジンという民族が多く暮らしています。このブログの冒頭の「Chamgei(チャムゲー)」というあいさつは、カレンジン語の「こんにちは」です。

カレンジン人は、マラソンなどの長距離陸上競技において優れた選手を多く輩出してきたことで有名な人々です。現在もっとも有名なのは、男子マラソンの世界記録保持者であり、東京オリンピックのマラソン競技で金メダルを獲得したエリウド・キプチョゲ選手ではないでしょうか。
キプチョゲ選手はここエルドレットを拠点としており、それゆえにこの街は「Home of Champions」を名乗っています。
余談ですが、エルドレットの近くにあるエルゲヨ=マラクウェト郡のイテンという街は、「マラソンの聖地」と呼ばれており、同じく多くのランナーを輩出してきた町です。日本人選手を含む多くの外国人選手が、合宿のためにこの地を訪れているそうですよ。

また、エルドレットは昨年第5代ケニア大統領に就任した、ウィリアム・ルト氏の拠点でもあります。
50万人近い人口を擁するケニア屈指の大都市であるエルドレットですが、ルト政権下でさらなる発展を遂げるのではないでしょうか。

ここエルドレットにある保護観察事務所に派遣されているのが、岩森隊員です。
岩森さんはこの事務所で、保護観察官たちの業務支援を行っています。業務のデジタル化推進によって、管理業務の効率向上や、業務上の抜け漏れを防ぐ体制構築に取り組んでいるそうです。
これまで手書きしていた帳票をパソコン上で入力するフォーマットに置き換えたり、紙で管理されてきた保護観察対象者の情報をパソコン上での管理に移行するなどの取り組みを行っています。

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こうして、西部地域への訪問の旅は終わりました。
私が派遣された2021年3月当時は、まだケニア国内でもCovid-19のパンデミックの影響が強い時期でした。ケニアに到着して早々にロックダウンが行われましたし、解除後に任地に派遣されてからも、公共交通機関の利用禁止や外食の自粛など、隊員生活にも制限がありました。こうやって他の隊員を訪ねて、バスやマタツで旅をすることができるようになったのも、ここ半年くらいのことです。
現在のケニアではCovid-19の感染流行は下火になっており、隊員数も増えていくようです。これから派遣されてくる隊員、活動を始める隊員の皆さんには、ぜひ機会を見つけて他の隊員の活動先を訪ねてほしいと思います。他の隊員の活動見学によって得られるものがあるのはもちろん、隊員の任地へ行く道中に見る光景や、出会う人々からも学ぶことが色々あるはずです。
今の時代、インターネットを使えばいくらでも情報は手に入れることができます。しかし、実際に足を運んで、経験することによってしか得られないものもあると思っています。

これから派遣されてくる隊員の皆さんには、ぜひ2年間の任期の中で多くの経験をしていただきたい、というのが任期終了間近の先輩隊員からのメッセージでした。
それではみなさん、Seiseri!(カレンジン語でさようなら!)

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